外国人材も社会保険は必須?手続きや注意点について解説

外国人労働者 2024.04.20

外国人材も社会保険は必須?手続きや注意点について解説

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近年、外国人の雇用は企業の人手不足対策として需要が高まっています。しかし、外国人を受け入れる際の社会保険はどうすればいいのか、疑問に思っている企業も多いのではないでしょうか。

外国人材を雇う場合でも、社会保険の手続きは日本人従業員と同様に行わなければならず、原則免除をされることはありません。企業として正しく制度を理解・適用することは、外国人材が働きやすい環境を作る第一歩となります。

本記事では、外国人材に適用される社会保険や手続きのポイントについて説明します。

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外国人材も社会保険加入が必要なのか?

社会保険とは社会保障の分野のひとつで、会社員や一定条件を満たす労働者が加入する制度で、病気やケガなどのリスクに備えて生活を保障するものです。経済的負担を軽減でき、労働者が安心して働くために重要なものとなっています。

加入条件や保険料はそれぞれ異なりますが、国籍による要件はありません。つまり、外国人も日本人と同様に手続きが必要となります。ただし、受け入れ先の企業の形態や業種、従業員の数、所定労働時間などにより、必要な保険制度が異なります。

外国人材に適用される社会保険と加入条件

外国人材であっても加入が必要な社会保険は以下の通りです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 労働保険
  • 介護保険

それぞれの概要について解説します。

健康保険

健康保険とは、病気やケガをした際の負担を減らすための保険です。健康保険にはいくつかの種類がありますが、全ての国民が公的医療保険に加入するという「国民皆保険制度」があるため、必ずいずれかに加入しなければいけません。

企業が条件を満たす場合は「強制適用事業所」とされ、指定された健康保険に加入する義務があります。条件を満たさない場合は「任意適用事業所」となり、健康保険に加入する義務はありません。強制適用事業所の条件は以下の通りです。

(1)次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所

a製造業 b土木建築業 c鉱業 d電気ガス事業 e運送業 f清掃業 g物品販売業 h金融保険業 i保管賃貸業 j媒介周旋業 k集金案内広告業 l教育研究調査業 m医療保健業 n通信報道業 o士業など

(2)国又は法人の事業所

常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

※引用:全国健康保険協会 適用事業所とは?

健康保険の加入対象者は「適用対象者」と呼ばれ、所定の条件を満たす外国人材も加入が必要です。適用対象者の条件は以下の通りです。

  • 企業の正社員や代表者、役員、パートタイマー、アルバイトなど
  • 1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上
  • 被保険者が101人以上の企業に勤務している(令和6年10月からは51人以上)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が8.8万円以上
  • 2ケ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない(休学中、夜間学生は加入対象)

※参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内

厚生年金保険

厚生年金保険とは、企業で働く人を対象とした公的年金制度です。加入している人は、65歳以上になった際に年金を受け取ることができます。日本の公的年金には2種類あり、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」と、企業勤めの人が加入する「厚生年金」の2階建てとなっています。

前述した健康保険と同じく、条件を満たしている人は「適用対象者」と呼ばれ、厚生年金保険に加入しなければいけません。原則、健康保険と厚生年金保険はセットで加入することになっており、どちらか一方だけの加入は原則として認められません。

外国人の中には「ずっと日本で働くか分からないため、入りたくない」と考える人もいるようですが、日本において働いている限りは加入が必要です。ただ、「脱退一時金」という制度があり、退職して母国へ帰国した場合、最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していなければ、脱退の際の一時金を請求できます。この制度を使えば、支払った保険料の返還をしてもらうことが可能です。

労働保険

労働保険とは、労災保険と雇用保険を併せた保険です。労災保険とは、業務中や通勤時の事故などによって負傷または亡くなったときに、一定の必要な給付をおこなう保険のことです。雇用保険とは、失業して収入が無くなったり、会社の都合で雇用の継続ができなくなったりしたときなどに、労働者の生活や雇用の安定を図り、再就職を促進することを目的とした保険です。

労災保険は、雇用されて働くすべての人が加入しなければなりません。企業は、アルバイトやパートを含めたすべての労働者を、国籍に関係なく労災保険に加入させる必要があります。

雇用保険は、以下の条件を満たす雇用者が加入しなければなりません。

  • 31日以上継続雇用の見込みがあること
  • 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること

※引用:外国人を雇用する事業主の皆さまへ

条件を満たせば、特定技能の外国人材や技能実習生についても加入対象となるので注意しましょう。

介護保険

介護保険とは、介護が必要な人に費用を給付し、適切な介護サービスが受けられるようにサポートする保険です。40歳以上になると加入が義務付けられ、保険料を納付することになります。保険料を納付することで、介護が必要な状態になったときに原則1割負担で介護サービスを利用することができます。

外国人材も40歳以上では同様に加入し、介護が必要な場合には日本人と同様に介護保険のサービスを受けることができます。

外国人材が退職したときの社会保険手続き

外国人労働者が退職になった場合でも、日本人と同様の手続きをおこないます。基本的には、健康保険の資格喪失届や、雇用保険の資格喪失届などを提出します。

また、外国人材を雇用する企業は、雇用状況を厚生労働省に届け出る「外国人雇用状況届」を提出しますが、退職する場合も同じ届出書を提出しなければいけません。届出を怠ると罰則の対象になるので注意しましょう。

外国人材の社会保険に関する注意点

社会保険には国籍の要件はありませんが、外国人材の社会保険手続きにはいくつかの注意点があります。

雇用時には必ず在留カードを確認

外国人を雇用する際には、必ず在留カードを確認しましょう。社会保険の手続きを行う前に、「雇用しても問題ない人材か」をしっかりと見極めることが重要です。

不法就労した外国人はもちろん処罰の対象となりますが、不法就労させた企業も処罰の対象となります。在留カードの原本を確認し、就労が可能か、在留期間は過ぎていないか、番号は失効していないかなどをチェックしましょう。

社会保障協定の確認

外国人材が母国以外で働く場合、原則として働いている国の社会保証制度に加入します。しかし、母国にも同様の制度がある場合、母国と日本の両方の保険料を支払うようになってしまうと、金銭的負担は大変なものになってしまいます。

このような二重負担や年金受給資格の問題を防止するために、加入すべき制度を二国間で調整することを目的として締結されるのが「社会保障協定」です。日本と協定を結んでいる国の人材であれば、日本の社会保障制度に加入することで相手国の制度の保険料を支払ったことになります。

日本ではすでに23ヶ国と協定を結んでいます。雇用する外国人材の母国が社会保障協定を結んでいるか確認し、制度の仕組みをしっかりと伝えてあげることが重要です。

家族が扶養になるには条件がある

社会保険には扶養という制度があります。扶養とは、自身の稼ぎで生計を立てられない家族や親族に対して、経済的な援助をすることです。一般的には、収入がないあるいは収入の少ない子どもや配偶者、両親などの親族を、自身の収入によって養うことを扶養といいます。

外国人材によくあるのが「海外在住の家族を扶養に入れたい」といったケースです。そのようなケースでも家族を扶養にすることは可能ですが、いくつかの条件があります。海外に居住する家族を扶養するための条件は、扶養対象が以下のいずれかに当てはまる必要があります。

  • 年齢16歳以上30歳未満の者
  • 年齢70歳以上の者
  • 年齢30歳以上70歳未満の者のうち、次の①から③までのいずれかに該当する者
    • 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
    • 障害者
    • その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

※引用:国外居住親族に係る扶養控除等Q&A

また、これらの条件にプラスして所得制限が設けられており、扶養する対象の親族の合計所得金額が48万円以下である必要があります。扶養対象となる親族の状況によって必要となる書類も変わってきますので、企業は扶養申請のサポートをしてあげることが望ましいでしょう。

外国人材への社会保険を正しく手続きしよう

本記事では、外国人材に適用される社会保険や手続きの際の注意点について解説しました。社会保険は国籍に関係なく適用されるため、外国人であっても日本人を雇用するときと同じように手続きが必要です。

社会保険の理解を進め、丁寧な説明・手続きをおこなうことは、外国人材にとって働きやすい労働環境と感じてもらえるきっかけとなります。必要な手続きを行い、安心して働ける環境を整えましょう。

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