外国人雇用にかかわる税金とは?税金の種類や免税制度について解説

外国人労働者 2024.04.29

外国人雇用にかかわる税金とは?税金の種類や免税制度について解説

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近年、外国人の雇用は企業の人手不足対策として需要が高まっており、これから外国人を雇用したいと考えている企業も多いでしょう。しかし、外国人の雇用を検討している場合、「外国人労働者の税金はどうすればいいの?」と疑問を感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか?

一般的に外国人労働者も、日本人労働者と同様に税金を支払う必要があり、免除されることはありません。しかし、外国人労働者特有の免税制度や、税金を支払う上での注意点などがあるため、雇用主は税金に関して理解を深めておく必要があります。

本記事では、外国人労働者に課される税金や税金に関する注意点について解説します。外国人材の雇用を検討している企業は、税金についての理解を十分に深めておきましょう。

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外国人労働者も日本で税金を支払う必要はある?

日本の企業で働く外国人労働者も、日本人と同様に住民税や所得税などの税金を支払う必要があります。ただし、該当する外国人労働者が「居住者」か「非居住者」かによって課税に変動があります。ここでいう「居住者」の条件とは、「日本に住所がある」もしくは「日本に1年以上住んでいる」かを指します。

状況によって課税に変動はありますが、外国人であっても税金は正しく支払わなければいけません。雇用する企業が正しく理解していなかったり、支払う税金に不足があったりすると、企業が罰則の対象となることもあります。責任をもって、外国人労働者の税金について正しく理解しておく必要があるでしょう。

外国人労働者に課される税金

外国人労働者に課される税金は、主に以下の2つです。

  • 住民税
  • 所得税

それぞれ詳しく見ていきましょう。

住民税

住民税は、都道府県が課税する道府県民税(東京都は都民税)と、市区町村が課税する市町村民税の総称です。教育、福祉、救急、ゴミ処理など、地方自治体が提供する公共サービスを維持するために必要な経費を分担し、それを税金として支払っています。

外国人も1月1日時点の住所地で課税され、企業は「特別徴収義務者」として、外国人労働者の給与から住民税を差し引く義務があります。

外国人労働者が居住者に該当する場合、前年の1月1日〜12月31日までの所得に応じて計算され、それに応じた住民税を支払う必要があります。企業はこの住民税を毎月の給与から天引きし、各市区町村に納めなければいけません。天引きする金額は、市区町村から申告があります。

非居住者に該当する場合は、日本に1年以上住んでいないので前年の所得がないとみなされて課税されません。

所得税

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から所得控除によって差し引いた金額に、一定の税率を適用して算出される税金です。給与所得や不動産所得など個人の所得に対して課されるため、所得のある人は必ず納める必要があります。

外国人労働者が居住者に該当する場合、企業が給与を支払うごとに「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて税額算出・源泉徴収をおこない、年末調整で過不足金額を精算します。

外国人労働者に配偶者や扶養親族がいる場合、「配偶者控除」や「扶養控除」を受けられます。控除を受ける際には、親族・扶養対象であることが分かる書類が必要となるため、企業は控除適用のサポートをしてあげることが望ましいでしょう。

非居住者に該当する場合は、企業が給与を支払うごとに原則20.42%の税率で源泉徴収されます。

『租税条約』によって税金が免除される場合もある

基本的に外国人労働者も日本人と同様に税金を支払う必要がありますが、「租税条約」によって税金が免除される場合もあります。

租税条約とは、二重課税の排除や脱税および租税回避などを目的に、二国間で締結される条約のことです。例えば、海外に進出した企業が日本国内と海外の両方で課税されると、二重課税になってしまいます。また、税の仕組みは国によって異なるため、国際取引が脱税や租税回避の手段に使われる可能性もゼロではありません。このような問題を解決し、国同士の健全な投資・経済交流の促進に役立てるため、租税条約が締結されています。日本の租税条約ネットワークは86条約等、155の国・地域に広がっています。(2024年4月1日現在)

この租税条約は日本で働く外国人の税金についても適用されることがあり、その外国人材の母国と日本との間で取り交わされた条約に従った対応をする必要があります。例えば、日本と取り決めを交わしている国の租税条約は以下のようなものがあります。

国名

内容

ベトナム

原則どおり課税

中国

生計、教育又は訓練のために受け取る給付又は所得は免税

フィリピン

年間1500米ドルを超えないものは免税(3年間に限ります)(所得税に限る。)

インドネシア

年間60万円を超えないものは免税(5年間に限ります)

タイ

5年を超えない期間内の実習に係る所得は免税(その所得が生計及び教育に必要な収入を構成する場合に限ります)(所得税に限る。)

スリランカ

年間36万円を超えないものは免税(所得税に限る。)

※参考:税金の免除に関するお知らせ|外国人技能実習機構

税金が免除される国の外国人材を受け入れる企業は、租税条約について理解を深め、適切な対応をおこないましょう。

外国人労働者の税金に関する注意点

外国人労働者の税金は注意すべき点もいくつかあります。事前に把握しておかなければ、後々トラブルに発展することもあるので、注意点をおさえておきましょう。

退職・帰国する場合は住民税の一括徴収が必要

雇用していた外国人労働者が退職・帰国する場合、企業は未徴収税額を最後の給与支給時に一括徴収する必要があります。住民税は前年の1月1日〜12月31日までの所得に対して課税される税金なので、年の途中で退職しても支払わなければいけません。

従業員が外国人の場合であってもそれは同様です。企業は外国人労働者の給与から住民税を差し引き、それを市区町村に納める義務があるので、徴収を忘れないようにしましょう。

一括徴収で支払えない場合は納税管理人を定める

退職・帰国する外国人材が、日本から出国するまでの間に住民税を納めることができない場合、納税管理人を定める必要があります。納税管理人とは、本人に代わって税金の納税や書類の受取などの納税事務を代行する人です。日本国内に住んでいる人、もしくは事業者を設定することが条件となります。

納税管理人が定まったら、税金を支払う市区町村に「納税管理人設定申告書」を提出し、申告する必要があるので注意しましょう。

税金が未納だと雇用主が滞納処分の対象となる

企業が正確に税金を支払っていなかったり、退職・帰国する外国人労働者の税金が未納だったりすると、その外国人を雇用している企業が滞納処分の対象となります。

企業は「特別徴収義務者」として、毎月支払う給与から税金を特別徴収し、居住する市区町村に納入することが義務付けられています。「個人の税金だからあまり気にしなくていい」と疎かにするのではなく、トラブルを回避するためにも責任をもって徴収をおこないましょう。

外国人材は税金が未納だと在留資格申請が通りにくくなる

税金未納や滞納をしていると、外国人材は在留資格申請が通りにくくなるリスクがあります。特に永住者ビザは申請が通りにくくなる可能性が高いです。「永住許可に関するガイドライン(令和5年12月1日改訂)」を確認すると、以下のような許可要件があります。

  • 法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
  • 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

やむを得ない理由で税金の未納や滞納があった場合は、入国管理局の判断によってビザが取得できる可能性もあるかもしれません。しかし、上記のような許可要件が定められているため、税金の未納・滞納があった場合は申請が却下されてしまう可能性が高いでしょう。

外国人労働者の税金について理解を深めよう

本記事では、外国人労働者に課される税金や税金に関する注意点について解説しました。基本的には日本人と同じように、住民税や所得税などの税金を支払う必要がありますが、租税条約のような外国人特有の取り決めもあるため注意が必要です。

もしも不備があると、外国人労働者はもちろん、雇用している企業も処罰を受けてしまうおそれがあります。外国人材の雇用をおこなう際は、事前に税金について理解し、適切に納税をおこないましょう。

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