認知症を改めて学び直して見えてきたもの

外国人労働者特定技能特定技能「介護」支援活動 2024.04.01

認知症を改めて学び直して見えてきたもの

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ごあいさつ

読者の皆さんこんにちは、介護特定技能研修講師・ケアマネジャーの田端です。
今月もこの文章を読んでいただきありがとうございます。

3月はひな祭りや桃の節句に始まり、春のお彼岸や春分の日など少しづつ季節が春に向かっていることを感じる行事が多かったです。

桜の開花予想が気象情報の中で特集されたり、沖縄では海開きがあったとニュースで見たり、私が住んでいる東海地区でも季節の花がちらほら咲き始めています。
寒さの緩みを感じる今日この頃ですが、まだまだ雪が降り寒さが厳しい地域もあることを考えると、改めて日本の広さを感じています。

そして、介護福祉士の国家試験を受験された方は、このコラムが公開される頃には合否が発表されています、今回は何人の外国人介護福祉士が誕生するでしょうか?ワクワクしますね!きっと今、介護福祉士を目指して勉強している外国人介護士に刺激になるはずです!!

3月は年度末の慌ただしさもありますが、花粉症の方には辛い時期が続きます。

インフルエンザやコロナもまだまだ警戒が必要です、マスクとうがい・手洗いに加えて体調管理を欠かさず気を引き締めていきましょう!!

認知症研修の講師を担当して

今回は、私が認知症についての研修講師を務めさせていただく機会をいただいたので、その準備の中で改めて学びなおした認知症についての解説と現在のトピックを紹介しそれを外国人へ日本語で認知症をどのように伝えていったらいいのか、私なりの考察をお届けしたいと思います。

今回、岐阜県のとある地域密着型デイサービスの職員に対する認知症研修の講師を務める機会をいただきました。
研修内容について施設長さんとの事前の打ち合わせの際に、そのデイサービスが他のデイサービスでは認知症の周辺症状※1が強く出ており、利用を断られるような状態の方を積極的に受け入れている、と聞いて驚くとともにケアマネジャーとして興味が湧いてきました。

私のこれまでの経験で知る限り、そうしたデイサービスは大変珍しいからです。
これはぜひ見学しなくては!と思い立ち、そのデイサービスに伺いました。すると、まさにパーソンセンタードケア※2を実際の業務で体現しているようなデイサービスでとても感銘を受けました。
ケアマネジャーとして多くのデイサービスの事業所を見てきましたが、ここまでの取り組みができるところはありませんでした。個人的には、各市町村にこうした思いの事業所があれば、もっともっと認知症に悩む人たちを助けになるのではないかと思いました。

そして私が普段外国人に伝えている介護に大切な心がまえ、「あたたかさ、笑顔、思いやり」は、認知症の方への対応にも大変有効だと自負していましたので、このデイサービスが持っている思いは、むしろ介護が未経験で高齢者を敬う気持ちの強い外国人には受け入れやすいものなのではないかと感じました。

これまで私が行う介護の勉強会に参加してくれた外国人の方は全員笑顔が素晴らしく、他者に寄り添い、その人の役に立とうと考える気持ちを持っていました。
その気持ちが日本語は多少拙くても想いが伝わる原動力になると確信しております。

※1周辺症状とは、認知症の症状のうち、中核症状を原因として二次的に起こるものをいいます。別名、「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。中核症状は記憶障害、理解・判断力の低下、実行機能障害など、脳の機能低下によって直接的に発生します。一方で、周辺症状は「長年行ってきた家事が思うようにできなくなり、そのことに落ち込んでうつ状態になった」、「見当識障害によって道順が分からなくなり、徘徊が頻繁に起こるようになった」といったように、中核症状に付随して発生します。

※2パーソン・センタード・ケアとは、認知症をもつ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする認知症ケアの一つの考え方です。この考え方は、自然科学や神学を修めた後に老年心理学教授となったトムキットウッドが、1980年代末の英国で提唱したものです。

「認知症ねっと(https://info.ninchisho.net/symptom/s10#)」の資料より

認知症についての現在のトピック

ここで認知症について私がケアマネジャーとして認知症についての相談を受ける際によく質問される内容をお伝えして、認知症についての現在のトピックを知ってほしいと思います。

まず1つ目に認知症治療のお薬が登場しましたよね、あれは効くんですか?という質問を受けることが増えてきました。

これはレカネマブという新薬が昨年登場したので話題になりました。
しかし、この薬を使用できるのが「アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症」の状態の方に限定されているので注意が必要です。
また点滴による投薬を行うタイプであることや、薬価が高いことから実際に使われるケースは少ないと思われます。

2つ目は認知症になると銀行口座が凍結されてしまうと聞いたのですが?といった話題もよく出てきます。

これはその通りで、ご家族が金融機関に伝えた時や、金融機関に判断力が低下していると判断された時にその方の財産を保護することを目的として凍結が行われます。
どれくらいの認知症なら凍結されるのか、という質問もよくいただきますが現在は明確な基準がなくグレーな領域になっている印象を受けます。一度凍結されると解除されるには手続きに時間がかかってしまいますので注意が必要です。

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