特定技能「介護」とは?人手不足の介護業界を救う制度を解説
特定技能特定技能「介護」 2024.02.24
この記事のライター
スキルドワーカー編集部
少子高齢化が進む日本では、現在労働人口の減少が著しくなっています。その中でも介護業界の人手不足は深刻で、頭を悩ませている企業も少なくありません。
そんな介護業界の人手不足を解決する糸口となるのが、特定技能「介護」の外国人材です。特定技能制度を活用して外国人材を積極的に雇用する企業は多く、「外国人材を採用する」ハードルは下がっているといえます。
ただし、特定技能の制度を使って雇用する場合、理解しておくべき内容や要件、注意点が存在します。本記事では、特定技能「介護」の概要や取得条件、人材を受け入れる際の注意点について解説します。
外国人材の雇用をお考えの介護施設ご担当者さまへ
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1.介護業界の現状
日本では今後の介護利用ニーズが非常に増えることが予測されていますが、介護事業所の多くが人手不足に悩まされているのが現状です。ここからは介護業界の現状について解説します。
慢性的な人手不足に苦しんでいる
日本では少子高齢化のスピードが速く、75歳以上の後期高齢者の増加率も非常に大きくなっています。そのため、今後の介護利用ニーズは増えていくことは間違いありませんが、需要に対して働き手が足りていないのが現状です。
少子高齢化による労働人口の減少も要因の1つではありますが、介護従事者の労働条件や待遇があまりよくない傾向にあり、人材の定着が進まないことも人手不足の原因であるといえます。比較的ハードな仕事にもかかわらず、充分な給料を得られなかったり、長時間労働をせざるえなかったりなど、労働環境が悪いことで離職する人も少なくありません。
特定技能制度によって人材を確保できる
慢性的な人手不足に苦しんでいる介護業界ですが、そのような問題を解決するために特定技能制度が施行されました。日本で働こうと考える外国人は意欲の高い人材が多く、即戦力となり得る外国人材を確保できます。
中でも特定技能「介護」は、介護の現場における人手不足の問題を改善する施策となっており、業界全体が注目をしています。介護に関する技能試験や日本語試験に合格した人材が取得できるものなので、すぐに働ける人材を獲得可能です。訪問介護のサービスなど対応できない業務も一部ありますが、対応可能な業務が幅広く、様々な業務を任せることができます。
2.特定技能「介護」とは?
まずは、特定技能制度の概要とその対象となっている介護の業種について概要を解説します。
外国人労働者が介護事業所で働ける在留資格
特定技能制度とは、人材の不足が顕著となっている国内の業種において、一定の専門性やスキルを持っている外国人を受け入れる制度です。日本のさまざまな業種で深刻化する人手不足を解消することを目的とし、2019年に制定されました。
その中でも特定技能「介護」は、主に介護職で就労することを前提にした外国人材が取得する在留資格です。試験に合格することで最長5年間は介護事業所での労働が可能になります。5年を経過すると帰国となりますが、国家資格である介護福祉士を取得できれば在留資格「介護」に変更され、永続的に働くことも可能です。
任せられる業務
特定技能「介護」を取得している場合、任せられる業務が幅広くなっています。厚生労働省が発表している「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について-」では、以下のような業務が可能だと記載されています。
- 試験合格等により確認された技能を要する身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)の業務
- 業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)
※引用:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -介護分野の基準について-|厚生労働省
3.特定技能「介護」の取得条件
特定技能「介護」を取得するには、介護の一定業務をこなせる水準の外国人であることを証明しなければならないため、条件をいくつか満たす必要があります。ここからは取得条件について解説します。
介護技能試験と日本語試験に合格
特定技能「介護」を取得するためには試験の合格が必要です。介護業務に関する「介護技能試験」と「日本語試験」の両方に合格しなければなりません。
介護技能試験は、介護の基本やコミュニケーションに関する問題が出題され、介護に関する理解が問われる問題となっています。筆記試験と実技試験の両方に合格が必要です。
日本語試験は、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」のどちらかに合格する必要があります。円滑にコミュニケーションを取りながら利用者にサービスを提供することが求められるため、実践的な日本語力が重要となります。
介護日本語評価試験に合格
日本語の試験は、「介護日本語評価試験」にも合格しなければなりません。介護日本語評価試験とは、介護現場で使われている言葉や会話について評価する試験です。一般的な日本語だけではなく、介護の現場で良く利用される言葉や、利用者にサービスを提供する際に必要な声かけの言葉など、業務をおこなっていくうえで必要な日本語を身に着けているかが求められます。
試験の免除対象者
前述した3つの試験に合格していなくても、特定の条件を満たしている場合は試験が免除になるケースもあります。以下の条件を満たしている場合は試験の免除対象者です。
- 介護職種の第2号技能実習を良好に修了した方
- 介護福祉士養成施設を修了した方
- EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方
4.特定技能「介護」人材を受け入れる際の注意点
特定技能「介護」を取得している外国人は対応可能な業務が幅広いため、即戦力として期待できます。しかし、人材を受け入れる際には注意すべき点もいくつか存在します。ここからは、受け入れる際の注意点について解説します。
雇用形態は直接雇用
特定技能「介護」を取得している外国人材は、直接雇用である必要があります。派遣での雇用やその他の雇用形態は不可なので、直接雇用をおこなうようにしましょう。
また、雇用する際の条件や待遇は、日本人と同等であることが非常に重要です。企業は従業員の国籍に関係なく法律を遵守する必要があります。法律や規則を破ってしまうと、法律違反となり処罰の対象となってしまいます。法律やルールは遵守し、外国人材がクリーンに働ける環境を作りましょう。
決められた範囲内で業務を実施させる
特定技能「介護」人材には、決められた範囲内で業務を実施させましょう。前述していますが、従事できるのはおもに身体介護に関連する業務やこれらに付随する業務です。そのため、訪問介護などの業務は実施させてはいけません。範囲外の業務をさせると、企業が処罰の対象となります。
また、特定技能は、種類によって在留の期間が決まっています。特定技能「介護」の人材は、在留期間は最大5年です。必ず在留期間内での雇用をおこなうようにしましょう。
特定技能人材の就労と生活を支援する体制を整える
特定技能人材を雇用する企業は、外国人材の就労と生活を支援する体制を整える必要があります。外国人の習慣や文化を考慮した労働環境の整備や母国語を用いたマニュアルの作成、住居の確保、各種手続きのサポートなど、就労面でも生活面でも外国人材が安心して過ごせるように支援することが重要となります。
生活に必要な契約の支援や公的手続きのサポートなどは、「義務的支援」として受け入れをする企業が責任をもって実施する必要があります。自社でおこなうのが大変な場合は、代行しておこなってくれる「登録支援機関」に依頼するのもおすすめです。外国人材を雇用するにあたっての支援やサポートを委託することができるので、スムーズに人材の雇用まで進めることができるでしょう。
登録支援機関とは?
登録支援機関とは、外国人を雇うに当たって必要な手続きや、外国人に対するサポートの手伝いを委託できる機関のことを指します。特定技能外国人に対する支援について、登録支援機関へ委託することも可能です。支援のすべてを委託するのであれば、それだけで受入れ基準のひとつである「受け入れるに当たっての体制作り」をクリアできます。
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転職の可能性がある
特定技能制度においては、転職制限はありません。そのため、在留資格で認められている分野・範囲内であれば自由に転職ができます。
外国人材たちも「日本で働きたい」とは考えていても、労働環境が劣悪な場所では働きたいと思いません。過度な労働や不平等な雇用条件などは外国人材の不満を引き起こし、転職や離職を引き起こす恐れがあります。転職リスクを減らしたいのであれば、気持ちよく働ける労働環境を整備することを心がけましょう。
5.まとめ
本記事では、特定技能「介護」の概要や取得条件、人材を受け入れる際の注意点について解説しました。介護分野における人材不足の解消を目的に、即戦力となる外国人を受け入れるために設立された制度なので、非常に活用しやすい制度です。技能試験や日本語試験に合格した即戦力の外国人材が獲得できるので、人手を確保したい介護事業所はぜひ制度を活用なさってみてください。
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