【ビザ切替】留学生から特定技能へビザを切り替える方法と注意点を解説
介護特定技能 2023.08.11

目次
日本に留学する海外の方は、在留資格が「留学生」のままでは働くことができません。日本での就職を希望する場合、所定の就労ビザに切り替えが必要です。
本記事では、留学生から特定技能ビザに切り替える方法と必要書類、ビザ申請時の注意点を解説します。
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留学生から特定技能へビザを切り替える方法を解説!
留学生から特定技能ビザに切り替えるためには、以下の手続きが必要です。
- 働きたい業種の技能試験に合格する
- 日本語能力試験に合格する
- 就職する会社を探す
- 特定技能の雇用契約を結ぶ
- 健康診断を受診する
- 事前ガイダンスを受ける
- 特定技能ビザへの変更に必要な書類を準備する
- 出入国在留管理局に在留資格変更許可申請をする
それぞれ、詳しく解説します。
働きたい業種の技能試験に合格する
まずは、就職を希望する業界の特定技能資格試験に合格しましょう。
業界は介護や宿泊など、計14業種あるため、それぞれ試験の日程を確認し受験します。[注1]
日本語能力試験に合格する
特定技能ビザを取得するためには、以下、いずれかの日本語能力試験での合格が必要です。
- 日本語能力試験(N4以上)
- 国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上)
なお、国際交流基金日本語基礎テストの方が試験を行う頻度が高くなります。
就職する会社を探す
資格試験に合格したら、特定技能を活かせる業種の会社で仕事を探します。なお、取得した特定技能資格以外の職種では働けないため注意してください。
特定技能の雇用契約を結ぶ
希望の会社で採用が決まったら、特定技能の雇用契約を結びます。一般の雇用契約書ではなく、特定技能専用のものが必要です。
健康診断を受診する
留学生から特定技能ビザに切り変えるときは、1年以内に健康診断の受診が必要です。診断には所定の様式も用意されているため、以下を利用してください。[注2]
[注2]出入国在留管理庁.「在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式)」
事前ガイダンスを受ける
雇用契約締結後は契約内容の詳細や、今後必要な手続きの流れなどの説明を受けます。説明は会社の担当者、または、登録支援機関の担当者から行います。
特定技能ビザ変更に必要な書類を準備する
特定技能外国人と会社、双方でビザ申請用の書類の準備が必要です。なお、会社側で準備が必要な書類は多岐にわたるため、漏れのないように確認しましょう。書類の詳細は後ほど解説します。
出入国在留管理局に在留資格変更許可申請をする
書類が整ったら、最寄りの出入国在留管理局に在留資格の変更を申請しましょう。審査は2〜3カ月程度で完了し、特定技能ビザが取得できれば、晴れて企業で就職できます。[注3]
留学生から特定技能ビザへの変更で必要な書類一覧
申請する外国人
特定技能ビザを取
在留資格変更許可申請時に必要な書類は以下の通りです。
- 在留資格変更許可申請書
- 顔写真
- パスポート
- 在留カード
- 卒業証明書
- 特定技能試験の合格証明書の写し(就職する業界のもの)
- 日本語試験の合格証明書の写し
- 健康診断個人票と受診者の申告書(出入国在留管理庁の指定する様式)
- 国税・地方税の納付が確認できる書類(直近1年分)
- 国民健康保険証の写しと納付状況が確認できる書類
- 国民年金保険料の納付が確認できる書類(在留変更許可申請をする日が属する月の前々月までの24カ月分)[注4]
申請時に納税などをしていないことが判明すれば審査に時間がかかるため、事前に対応しましょう。
なお、国によっては上記以外にも書類が必要となるケースがあります。
申請が許可されれば、「通知書」と記載されたハガキが外国人本人宛に届くため、収入印紙税を持参し出入国管理局で在留資格変更手続きをします。
[注4]出入国在留管理庁「「特定技能1号」に係る提出書類一覧表」
受け入れ先企業
受け入れ先企業では、申請する外国人に関する書類と、企業に関する書類、双方の準備が必要です。
申請する外国人に関する書類
申請する外国人に関する書類では、雇用契約書や賃金に関する書類などを準備します。
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し
- 賃金の支払
- 雇用の経緯に係る説明書
- 徴収費用の説明書
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
- 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類(カンボジア、タイ、ベトナムのみ)
受け入れ企業に関する書類
受け入れ企業で共通して必要になる書類は以下の通りです。
- 在留資格変更許可申請
- 特定技能所属機関概要書
- 登記事項証明書
- 役員の住民票の写し
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
- (特定技能外国人の業務執行に関与しない役員がいる場合)
- 労働保険料等納付証明書(初めて特定技能外国人を受け入れる場合)
- 社会保険料納入状況回答票(申請する日の属する月の前々月までの24カ月分が必要)[注5]
- 税務署発行の納税証明書
- 直近1年度分の法人住民税の市町村発行の納税証明書(初めて受け入れる場合)
- 公的義務履行に関する説明書
以上が、法人事業所で特定技能外国人を初めて受け入れる際に必要な書類です。
なお、既に特定技能外国人を受け入れている企業や、個人事業主の場合、必要書類が若干異なるため確認しましょう。
さらに、受け入れ企業の分野に関する書類も必要です。例えば、介護分野であれば「協議会の構成員であることの証明書」などを添付しなければいけません。
必要書類は法令の変更に伴い、追加されたり、様式が変更になったりします。最新情報を確認し、間違いのないように準備しましょう。
[注5]出入国在留管理庁「所属機関(法人)に関する必要書類」
留学生から特定技能にビザ変更するときの注意点
留学生から特定技能へのビザ変更において、全てが許可されるわけではありません。不許可の理由としては、申請する外国人か受け入れ企業、どちらかに問題があるケースが考えられます。ここでは、双方の注意点を紹介します。
申請する外国人が注意すべきこと
留学生から特定技能ビザへの変更を考えているなら、就学中から注意が必要です。
アルバイトは所定時間内に収める
留学中のアルバイトは本来の在留目的と異なる活動のため、地方出入国在留管理局に「資格外活動許可」を得て行なわなければいけません。さらに、時間も原則週28時間以内と定められているため、上記を超過した場合、ビザ申請が通らない可能性があります。[注6]
納税・納付をする
アルバイトをしているなら確定申告が必要です。国民年金加入者は未納にせず、「学生納付特例制度」を利用してください。
税金や社会保険料の納付状況はビザ申請に影響する可能性が高いため、未納の場合は申請前に手続きを済ませましょう。
各種試験に合格する
留学生から特定技能ビザに変更するためには、就業する分野の技能試験と日本語能力試験に合格しなくてはいけません。なお技能実習2号の場合、良好に終了すればこれらの試験は免除されます。
心身の健康が良好である
健康診断の実施も必要なため、心身が健康であることもビザ取得の条件です。また、留学中に日本の法律に違反するなど、素行不良と判断される行為をすると、ビザ申請が通らない可能性があります。
申請する受け入れ先企業が注意すべきこと
特定技能外国人を受け入れる企業は、雇用契約が適切に履行され、外国人労働者が安全に働ける環境が整っている必要があります。
義務的支援を行う
企業は以下の10項目に分類されているの「義務的支援」を「1号特定技能外国人支援計画」に明記し、履行しなければいけません。[注7]
- ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きなどへの同行
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援
- 定期面談・行政機関への通報
上記は特定技能外国人が、日本において円滑な社会生活を営むために実施します。企業での対応が難しい場合は、登録支援機関へ業務の委託も可能です。
社会保険や税に関する法令を順守する
健康保険や厚生年金保険などの社会保険料を適切に納付していること、国税および住民税を適切に納税していることが必要です。
これらの未納が発覚すれば、関係機関の助言の元、適切な納付をしなければいけません。なお企業の租税の未納が原因で、特定技能外国人の個人住民税が支払われていないことが発覚すれば受け入れができなくなる恐れがあります。
特定技能で求められる労働条件で雇用する
特定技能外国人を雇用する際は、同程度の技能を有する日本人と同等、またはそれ以上の待遇で雇用しなければいけません。外国人だからといって、賃金低く設定したり、福利厚生施設の利用を制限したり、などはできません。
また、特定技能外国人の場合、取得した特定技能の資格を活かせる業務である必要もあります。例えば、「飲食料品製造業」の特定技能で雇用したにもかかわらず、接客や営業を任せるなどはできません。
労働関係法令を順守する
所定労働時間や残業時間など、労働関係法令の順守も求められます。例えば、所定労働時間を決める際は、同じ条件で雇用される日本人労働者と同等でなければいけません。
特に、同関連法の違反は欠格事由の対象となるため、発覚すれば5年間、特定技能外国人の受け入れが認められなくなります。[注8]
[注8]出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
非自発的離職者を発生させない
特定技能外国人を雇用する際は、以下の労働者の非自発的離職を生じさせないように求められます。
- 現在雇用している日本人労働者
- 特定技能雇用契約後の特定技能外国人
非自発的とは、会社の責めに帰すべき事由による退職が該当します。例えば、希望退職を募った、過度な時間外労働を強要した、パワハラやセクハラなどがあった、などです。
特定技能外国人は、企業の人材不足解消を目的とした制度です。上記のように労働環境に問題があると判断された場合、制度運用の趣旨と反するため受け入れができなくなります。
留学生から特定技能ビザへの変更は会社の協力が不可欠
留学生から特定技能ビザへ変更するためには、外国人自身が特定技能試験や日本語能力試験に合格するのはもちろん、受け入れ先企業でも手続きのサポートが必要です。
特に、必要な書類は多岐にわたるため、会社の協力なくしてビザ取得はできません。留学生から特定技能で外国人を雇用する企業は、必要書類や手続き方法を理解の上対応しましょう。
外国人材の雇用をお考えの方へ
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