在留カードとは?確認方法について解説
外国人労働者 2022.10.14
日本に中長期的に滞在している外国人は、在留カードを所持しています。在留カードは外国人にとって、身分証明書の代わりとなるため、雇用してもらう際は提示が必要です。
企業側は、ただ身分を確認するだけでなく、在留カードが偽造されていないか、就労制限の有無などを確認する必要があります。とはいえ、偽造や就労制限を確認するためには、どの部分を重点的に見るべきか、知らなかったり曖昧だったりする方が多いのではないでしょうか。
本記事では、在留カードの確認方法ついて徹底解説しているので、参考にしてください。
そもそも在留カードとは?
日本に長く滞在したいと考える外国人全員が、日本に長期的に滞在できるわけではありません。日本では入国できる外国人の要件を定め、在留資格を持った外国人のみ滞在を許可しています。
長期的な滞在の際に、交付されるのが在留カードです。在留カードは、日本に中長期間(3カ月以上)滞在する外国人に対して交付されるカードであり、短期滞在の外国人には交付されません。在留カードが交付されれば、中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者である証明書として活用ができます。[注1]
企業は、外国人が就労可能な在留資格であるかを在留カードで確認する必要があります。確認を怠った場合は、企業が不法就労助長罪に問われる可能性があるため、注意しましょう。
在留カードには、交付された外国人の氏名や生年月日、性別などが記載されるため、日本滞在時には身分証明書として使用できます。日本での身分証明書といえば、運転免許証やマイナンバーカードが主流ですが、それらとの違いとして下記の内容が記載されているのが特徴です。
- 国籍・地域
- 在留資格
- 在留期間(満了日)
- 就労の制限の有無
上記は法務大臣が把握すべき重要な情報であり、就労時に雇用や雇用条件の有無を判断する情報になります。記載された内容が変更となった場合は、すぐに変更の届出をすることが義務付けられており、最新情報が反映されるようになっているのです。また、16歳以上の外国人の場合は運転免許証やマイナンバーカードと同様に顔写真が表示されています。[注2]
[注1][注2]在留カードとは?|出入国在留管理庁
在留カード携帯の義務付け
在留カードは、入管法23条2項によって常に携帯しておくことが義務付けられています。[注3]
さらに警察官などに在留カードの提示を求められた際には、提示に応じる必要があります。提示を拒んだ場合は、不法残留者とみなされ10万以下の罰金に課せられてしまいます。また、在留カードが不携帯だった場合も同様に不法在留者とみなされ20万以下の罰金が課せられる可能性があるので注意しましょう。
もし在留カードを紛失してしまった場合は、14日以内に在留カードの再交付を申請しなければいけないと定められています。[注4]
企業が雇用している外国人から「在留カードを紛失してしまった」という旨を相談された場合は、すぐに紛失届を警察署または交番に提出し、入管に再交付の申請に行くように促しましょう。
補足として、在留カードは必ず原本を携帯する必要があります。まれにコピーを携帯していたり、スマートフォンで撮影した在留カードの画像を保存していたりする外国人もいますが、それは在留カードを携帯しているとは言えません。就労している外国人が在留カードを不携帯または、コピーや画像で携帯している場合は、原本を携帯するように伝えましょう。
在留カードに記載されている記載項目
在留カードに記載されている項目は下記の通りです。[注5]
- 氏名、生年月日、性別及び国籍または地域
- 住居地
- 在留資格
- 在留期間(満了日)
- 許可の種類及び年月日
- 在留カードの番号
- 交付年月日及び有効期間の満了日
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無
在留資格の記載部分には、技能や留学など、その人が日本に滞在している目的が記載されています。在留資格によっては、就労できないものもあるため、しっかりと確認しておきましょう。
また、在留期間の満了日が過ぎていると、不法滞在となるため注意が必要です。たとえ過ぎてなくても、満了日が近づいていた場合は、在留期間の更新手続きをするように伝えましょう。
[注5]法務省「「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方」
企業が在留カードを確認する時のポイント
企業が外国人の在留カードを確認する場合、下記のポイントを意識して確認すると良いでしょう。
- 在留カードの持ち主であるか確認
- 偽造カードでないか確認
- 就労制限の有無を確認
在留カードの持ち主本人であるか確認
他人の在留カードを借りている可能性もあることから、在留カードの持ち主本人であるかを確認する必要があります。本人であるか確認するポイントとして、下記の項目を意識的にみると良いでしょう。
- 顔写真
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍
顔写真だけでなく、氏名や年齢、性別、国籍なども提示した本人と相違がないか確認してください。
偽造カードでないかの確認
まれに、偽造された在留カードを提示する外国人も存在します。実際に警視庁の令和元年における組織犯罪の情勢によると、偽造在留カードの検挙件数が5年間で2倍以上になっていると発表しています。[注6]
しかし最近の偽造カードは、ぱっと見ただけでは判別が難しいのが現状です。なかには正規の番号を記載している偽造在留カードもあるため、偽造カードでないかしっかりと確認する必要があります。
在留カードが偽造したものでないか判断する方法は下記3つです。
- 目視で確認する
- 入管庁のアプリケーションを活用する
- カード番号が失効していないか確認する
目視で確認する
法務省では在留カードの偽変造を防止するために、以下5点を重点的に目視するように呼びかけています。[注7]
- カードを傾けるとMOJ部分の色がピンクからグリーンに変わるか
- カードを傾けると左端がグリーンからピンクに変わるか
- カードを傾けると顔写真付近あるMOJのホログラムが左右に動くか
- 顔写真付近にある銀色のホログラムが90度にすると白黒反転するか
- 暗い場所でカード表面に強い光を当てるとMOJMOJという文字が見えるか
上記の内容は、偽造カードでは見られにくい加工となっているため、判別のために必ず確認をしましょう。
[注7]法務省「「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方」
入管庁のアプリケーションを活用する
在留カードにはICチップが埋め込まれています。出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションで読み込めば、ICチップ内にある情報が表示されます。ICチップの情報を表示することで、表面上の情報が偽造・改ざんされていないかを確認できるでしょう。
アプリケーションは、パソコンだけでなくスマートフォンでも対応可能です。アプリケーションのダウンロードは、出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーション サポートページから行えます。
▼在留カード等読取アプリケーション サポートページ|出入国在留管理庁
カード番号が失効していないか確認する
出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会も併せて利用しましょう。在留カード等番号失効情報照会は、在留カードの番号と有効期限を入力することで、該当するカードが失効していないかを確認できます。[注8]
[注8]出入国在留管理庁「出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報照会」
就労制限の有無の確認方法
企業が外国人を雇う場合、必ず就労制限の有無を確認する必要があります。なぜなら、在留資格によっては就労が原則禁止となっているものもあるからです。
就労制限の有無を確認する場合、在留カードの下記2点を確認しましょう。[注9]
- 就労制限の有無(表面)
- 資格外活動許可欄(裏面)
たとえば、在留資格が留学の場合、学業を目的に日本に滞在しているため、就労制限の有無は就労不可となっています。
とはいえ、在留資格が留学であっても、資格外活動許可があれば、労働時間の条件下の元で働けます。許可されると裏面の資格外活動許可欄にその旨と条件が記載されるため確認しておくと良いでしょう。
企業が在留カードの確認を怠った場合の罰則
補足として、企業が在留カードの確認を怠った場合の罰則を説明します。結論から述べると、確認を怠った場合、不法就労助長罪に問われる可能性があります。入管法第73条の2には下記の内容が記載されています。[注10]
「前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」
[注10]法務省「出入国管理及び難民認定法」
つまり、「確認が面倒だったから」「知らなかった」などの言い訳はできないため、注意しましょう。不法就労助長罪が課せられた場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられます。[注11]
[注11]警視庁「外国人の適正雇用について」
【まとめ】
在留カードは細心の注意を払って確認しよう
在留カードは、日本に中長期間(3カ月以上)滞在する外国人に対して交付されるカードであり、短期滞在の外国人には交付されません。企業は、就労者である外国人が就労可能な在留資格であるかを確認する必要があります。確認を怠った場合は、企業が不法就労助長罪に問われる可能性があるため、注意しましょう。
また、近年では在留カードの偽造も増加している傾向にあります。就労制限の有無だけでなく、偽造カードであるかも確認することが必要です。企業が外国人の在留カードを確認する場合、下記のポイントを意識して確認すると良いでしょう。
- 在留カードの持ち主であるか確認
- 偽造カードでないか確認
- 就労制限の有無を確認
もし、企業が在留カードの確認を怠った場合、不法就労助長罪に問われる可能性があります。不法就労助長罪が課せられた場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられます。「確認が面倒だったから」「知らなかった」などの言い訳はできないため、在留カードの確認はしっかりと行いましょう。