ネパール人を雇用する際に注意するべきポイント

介護外国人労働者 2023.08.11

ネパール人を雇用する際に注意するべきポイント

この記事をシェアする

2016年に日本とネパールは外交関係樹立60周年を迎えました。ビジネスシーンでの関わりも深く、留学や技能実習を目的として約98,260人のネパール人が日本に在留しています。(※注1)ネパール人は温厚な性格の持ち主が多く、真面目で仕事熱心なため、日本人の精神性と調和しやすいのが特徴です。一方、時間感覚の違いやヒンドゥー教徒特有の風習など、日本の慣習とは相容れない部分も存在します。この記事では、ネパール人を雇用する際のポイントや、受け入れ時の注意点を解説します。[注1] 厚生労働省.「「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和3年10月末現在)」

外国人材の雇用をお考えの方へ

「初めての試みで、不安がいっぱい…」

「外国人材の採用経験はあるけど、苦い思い出がある…」

現在このようなお困りごとがありましたら、特定技能制度の利用実績が多いスキルド・ワーカーに安心しておまかせください。政府公認の海外パートナー企業と連携し、採用から入国手続き、受け入れサポートまでサポートします!

長年培ってきた採用ノウハウで、特に、介護・外食・飲食料品製造・宿泊・農業での外国人材のベストマッチングを実現します。まずはお問い合わせフォームから、ご相談ください。お困りごとに対して、最適なご提案をさせていただきます。

ネパール人を雇用する際の注意点と改善策

ネパール人を雇用するときに注意したいポイントは3つあります。

 

  • 在留資格や受け入れ手続きの流れを確認しておく
  • 日本の商慣習との違いを確認しておく
  • ヒンドゥー教の風習を確認しておく

 

ネパール人の場合は比較的少ないものの、適切な在留資格を持たない不法就労外国人も存在します。労働者とのトラブルに発展しないため、在留資格や受け入れ手続きの流れをきちんと確認しておくことが大切です。また、ネパール人に多いヒンドゥー教の風習や、日本の商慣習との違いも知っておきましょう。

在留資格や受け入れ手続きの流れを確認しておく

ネパール人を雇用するには、ネパールで現地採用を行う方法と、在日ネパール人を雇い入れる方法の2種類があります。ネパール人を特定技能外国人として新たに受け入れる場合、手続きの流れは以下の通りです。

 

  1. 受け入れ企業が直接的な採用活動や、駐日ネパール大使館を介した手続きにより、求人情報を提示する
  2. 受け入れ企業がネパール人労働者と雇用契約を締結する
  3. 受け入れ企業が在留資格認定証明書の交付申請を行う
  4. ネパール人労働者がビザの発給申請を行う
  5. ネパール人労働者が来日前に健康診断や出国前オリエンテーションを受ける
  6. ネパール人労働者が海外労働許可証を取得する
  7. ネパール人労働者の入国時に上陸審査が行われ、在留資格が付与される

 

なお、すでに日本に在留しているネパール人を雇い入れる場合は、在留資格認定証明書の交付申請ではなく、在留資格変更許可申請を行う必要があります。

日本の商慣習との違いを確認しておく

ネパール人の商慣習と日本人の商慣習にはいくつか違いがあります。特に大きな違いが時間感覚です。ネパール人はプライベートだけでなく、仕事でも時間にルーズな人が少なくありません。ネパール人を雇用する場合は、納期やスケジュールを厳守する必要があることを伝え、日本の商慣習に少しずつ慣れてもらう必要があります。

ヒンドゥー教の風習を確認しておく

ネパール人はヒンドゥー教の割合が大きい宗教国家です。外務省のデータによると、ヒンドゥー教徒の比率はネパール人口の81.3%に達しています。(※注2)

 

宗教

人口比

ヒンドゥー教徒

81.3%

仏教徒

9.0%

イスラム教徒

4.4%

 

[注2] 外務省.「ネパール基礎データ」

 

そのため、宗教上の理由から牛肉を食べない人や、不浄の手とされる左手をなるべく使わない人など、ヒンドゥー教の風習を大切にする人も少なくありません。ネパール人を雇用するときは、宗教上の違いに配慮することが大切です。

2019年4月から創設された2つの在留資格

2019年4月に出入国管理および難民認定法(入管法)が施行され、新たに2つの在留資格が創設されました。2つの在留資格を合わせて「特別技能」と呼びます。

 

特定技能制度が創設された理由は、人材確保が困難な「特定産業分野」を対象として、外国人労働者の受け入れを図るためです。特定産業分野は、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野にわたります。ここでは、ネパール人を特定技能外国人として受け入れたい企業向けに、特定技能ビザの要件や受け入れ分野を紹介します。

特定技能制度の主な受け入れ分野

出入国在留管理庁の「特定技能ガイドブック」によると、特定技能制度の受け入れ分野は以下の12分野です。(※注3)

[注3] 出入国在留管理庁.「ネパール特定技能ガイドブック」

管轄

分野

受け入れ見込み数

技能試験

日本語試験

従事する業務

雇用形態

厚生労働省

介護

50,900人

介護技能評価試験

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

介護日本語評価試験

身体介護のほか、これに付随する支援業務

※訪問系サービスは対象外

直接

ビルクリーニング

20,000人

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

建築物内部の清掃

直接

経済産業省

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

49,750人

製造分野特定技能1号評価試験

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

機械金属加工

電気電子機器組立て

金属表面処理

直接

国土交通省

建設

34,000人

建設分野特定技能1号評価試験など

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

土木

建築

ライフライン・設備

直接

造船・舶用工業

11,000人

造船・舶用工業分野特定技能1号評価試験など

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

溶接

仕上げ

塗装

機械加工

鉄工

電気機器組立て

直接

自動車整備

6,500人

自動車整備分野特定技能1号評価試験など

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する業務

直接

航空

1,300人

特定技能評価試験

(空港グランドハンドリング、航空機整備)

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務など)

航空機整備(機体、装備品の整備業務など)

直接

宿泊

11,200人

宿泊業技能測定試験

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客およびレストランサービスなどの宿泊サービスの提供

直接

農林水産省

農業

36,500人

農業技能測定試験

(耕種農業全般、畜産農業全般)

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別など)

畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別など)

直接

派遣

漁業

6,300人

漁業技能測定試験

(漁業、養殖業)

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保など)

養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲・処理、安全衛生の確保など)

直接

派遣

 

飲食料品製造業

87,200人

飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

飲食料品製造業全般(飲食料品の製造・加工、安全衛生)

直接

 

外食業

30,500人

外食業特定技能1号技能測定試験

国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験

外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)

直接

特定技能1号で働くための条件

国際人材協力機構によると、特定技能1号は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」を指します。

つまり、特定技能1号は、介護やビルクリーニングなどの職種で、一定の経験やスキルを持つ外国人を対象としたビザです。特定技能1号の取得要件は以下の通りです。(※注4)

 

[注4] 国際人材協力機構.「在留資格「特定技能」とは」.

 

 

特定技能1号のポイント

在留期間

1年、6ヵ月または4ヵ月ごとの更新、通算で上限5年まで

技能水準

試験などで確認

(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験など免除)

日本語能力水準

生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認

(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験など免除)

家族の帯同

基本的に認められない

受入れ機関又は登録支援機関による支援

対象

特定技能2号で働くための条件

国際人材協力機構によると、特定技能2号は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」を指します。特定技能1号と違い、特定技能2号の対象分野は建設、造船・舶用工業の2分野のみです。特定技能1号の取得要件は以下の通りです。(※注4)

[注4] 国際人材協力機構.「在留資格「特定技能」とは」

 

 

特定技能2号のポイント

在留期間

3年、1年または6ヵ月ごとの更新

技能水準

試験などで確認

日本語能力水準

試験等での確認は不要

家族の帯同

要件を満たせば可能(配偶者、子)

受入れ機関又は登録支援機関による支援

対象外

特定技能制度を利用してネパール人を雇用するときの注意点

2019年4月に特定技能制度がスタートし、外国人労働者の就労条件が緩和されました。ベトナムやインドネシア、フィリピン、中国など、多くの国々の労働者が特定技能制度を利用して日本で働いています。ネパール人労働者も例外ではありません。

特定技能制度を利用してネパール人を雇用する場合は、まず「特定技能に関する二国間の協力覚書」の内容を確認しましょう。また、通常の雇用契約ではなく、特定技能雇用契約を締結する必要があります。ここでは、特定技能制度を利用する際に知っておきたいポイントを紹介します。

特定技能外国人として働くネパール人の現状

出入国在留管理庁の調べ(2022年6月現在)によると、ネパール人の特定技能1号在留外国人の人数は1,401人です。特定産業分野別にみると、もっとも多いのは介護分野の896人で、次いで外食業分野の156人、農業分野の145人となっています。(※注5)

[注5] 出入国在留管理庁.「特定技能在留外国人数(令和4年6月末現在)」.

 

国籍・地域

総数

介護分野

ビルクリーニング分野

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野

建設分野

造船・舶用工業分野

自動車整備分野

航空分野

宿泊分野

農業分野

漁業分野

飲食料品製造業分野

外食業分野

総数

87,471人

10,411人

1,133人

17,865人

8,492人

2,776人

1,220人

79人

160人

11,469人

1,050人

29,617人

3,199人

ベトナム

52,748人

4,294人

649人

11,782人

5,897人

525人

606人

18人

52人

4,938人

192人

21,741人

2,054人

インドネシア

9,481人

1,797人

89人

2,060人

596人

208人

58人

0人

13人

2,243人

797人

1,536人

84人

フィリピン

8,681人

1,308人

147人

1,825人

897人

1,539人

454人

23人

4人

1,216人

9人

1,182人

77人

中国

6,143人

449人

17人

1,160人

524人

415人

8人

1人

6人

1,078人

52人

2,186人

247人

ミャンマー

4,107人

1,145人

143人

300人

154人

10人

57人

0人

32人

211人

0人

1,828人

227人

カンボジア

1,872人

139人

25人

48人

191人

7人

7人

0人

1 人

1,020人

0人

422人

12人

タイ

1,793

52人

5人

607人

102人

71人

4人

0人

1人

428人

0人

498人

25人

ネパール

1,401

896人

29人

3人

48人

0人

5人

19人

30人

145人

0人

70人

156人

その他

1,245人

331人

29人

80人

83人

1人

21人

18人

21人

190人

0人

154人

317人

 

特定技能外国人全体の約6割を占めるベトナム人と比較して、ネパール人の比率はやや少なくなっています。一方、介護分野の比率を見ると、ベトナム人はわずか8%の人しか介護業務に従事していないのに対し、ネパール人は約63.0%が介護労働者です。特定産業分野別の労働者の割合と比較しても、非常に多くのネパール人が介護分野で活躍していることがわかります。(※5)

 

特定産業分野

割合

飲食料品製造業

33.9%

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

20.4%

農業

13.1%

介護

11.9%

建設

9.7%

外食

3.7%

その他

7.3%

「特定技能に関する二国間の協力覚書」を確認する

ネパール人を特定技能外国人として受け入れる場合、ネパール政府の認定送出機関を利用しなくても問題はありません。日本政府とネパール政府の間の取り決めは、「特定技能に関する二国間の協力覚書」に記載されています。協力覚書には、日本政府とネパール政府の協力の枠組みや、特定技能試験に関する取り決めのほか、協議の際の連絡窓口などの内容が盛り込まれています。

特定技能雇用契約を締結する

ネパール人を新たに特定技能外国人として雇い入れる場合は、雇用契約を提供する必要があります。ただし、通常の雇用契約ではなく、専用の書式を用いた特定技能雇用契約書の締結が必要です。特定技能雇用契約書では、前文や後文の他、以下の内容を盛り込む必要があります。

  • 特定技能所属機関(受け入れ企業)の記名押印
  • 特定技能外国人(ネパール人労働者)の記名押印
  • 雇用契約期間の定め
  • 雇用契約が終了する条件

 

また、雇用条件書を別途用意し、受け入れ企業とネパール人労働者の双方合意のうえで交付します。法務省の参考様式によると、雇用条件書には以下9点の項目が必要です。(※6)

 

  • 雇用契約期間
  • 就業の場所
  • 従事すべき業務の内容
  • 労働時間
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金
  • 退職に関する事項
  • その他(健康診断など)

「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」に基づく支援を提供する

特定技能外国人の受け入れ企業(特定技能所属機関)として認められるためには、4つの条件を満たす必要があります。(※4)

 

  • 外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること
  • 受入れ機関自体が適切であること
  • 外国人を支援する体制があること
  • 外国人を支援する計画が適切であること

 

特定技能外国人に対する支援とは、入国前の生活ガイダンスや、住宅の確保に向けた支援、日本語学習の支援など、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」に基づく支援内容のことを指します。ネパール人を特定技能外国人として受け入れる場合、以下10点の支援を提供する必要があります。(※4)

 

【引用】

①外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することができる言語により行う。④、⑥及び⑦において同じ)

②入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り

③保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施

④外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む)

⑤生活のための日本語習得の支援

⑥外国人からの相談・苦情への対応

⑦外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援

⑧外国人と日本人との交流の促進に係る支援

⑨外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援

⑩定期的な面談の実施、行政機関への通報

【引用】

 

【まとめ】

ネパール人を雇用する前に、在留資格や受け入れ手続きを確認しよう

外国人技能実習制度や、2019年4月にスタートした特定技能制度をきっかけとして、多くのネパール人が日本で働くようになりました。ネパール人を雇用する際に注意するべきポイントは5つあります。まずは在留資格の申請や受け入れ手続き、特定技能外国人に対する支援の流れなどを事前に確認しておくとスムーズです。また、ヒンドゥー教の風習やネパール人ならではの精神性など、日本の商慣習との違いもしっかりと認識しておきましょう。ネパール人を雇用する際の注意点と改善策を知り、働きやすい職場環境づくりに取り組むことが大切です。

外国人材の雇用をお考えの方へ

「初めての試みで、不安がいっぱい…」

「外国人材の採用経験はあるけど、苦い思い出がある…」

現在このようなお困りごとがありましたら、特定技能制度の利用実績が多いスキルド・ワーカーに安心しておまかせください。政府公認の海外パートナー企業と連携し、採用から入国手続き、受け入れサポートまでサポートします!

長年培ってきた採用ノウハウで、特に、介護・外食・飲食料品製造・宿泊・農業での外国人材のベストマッチングを実現します。まずはお問い合わせフォームから、ご相談ください。お困りごとに対して、最適なご提案をさせていただきます。

この記事をシェアする

この記事をシェアする

1完了!
簡単お問い合せ

料金・サービス内容に関する詳細も
お気軽にお問い合せください