キャリアアップ助成金は外国人材も対象!要件や支給までの流れを詳しく解説
目次
近年さまざまな業種・分野で労働力不足が深刻になっていますが、そんな問題を解決するために外国人を雇う企業は増加しています。雇用形態の多様化にともない、国も補助金・助成金制度を充実させるようになってきました。
そのなかで、外国人材を雇用する企業がチェックしておきたいのが「キャリアアップ助成金」です。非正規雇用労働者のキャリアアップを推進するための助成金制度で、活用することで正社員化や給与の増額により労働者の意欲を向上させられます。
この制度は、外国人材に対しても活用できる制度となっています。しかし外国人材を正社員に転換させる場合は、日本人とは違った要件があるので注意が必要です。
本記事では、キャリアアップ助成金の概要や外国人材の場合の受給要件などについて解説します。
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キャリアアップ助成金とは?
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップを推進するための助成金制度です。
アルバイトやパートを正社員として雇用した場合や、給与の増額や賞与制度の新設など処遇を改善した場合に事業主に助成金が支給されます。
対象となる事業主の条件は以下のとおりです。
画像引用:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)(パンフレット)
また、助成金の金額は、支給申請時点の企業規模によって異なります。定められている「中小企業事業主」の範囲については以下の通りです。
資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 | |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以上 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以上 | 300人以下 |
キャリアアップ助成金には2つのコースがあります。ここからは、2つのコースをそれぞれ解説します。
正社員化支援に関するコース
非正規雇用労働者を正社員に転換、または直接雇用することで助成が受けられるコースです。
たとえば、自社のアルバイトやパートなどを正社員にした場合や、人材派遣会社から自社に派遣されていた派遣社員を直接正社員として雇用した場合などに適用されます。
助成金額は、企業規模や労働者の雇用形態によって違います。1人あたりの助成金額は、以下のとおりです。
画像引用:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)(パンフレット)
また、下記のように一定の条件を満たすと、加算される制度も設けられています。
画像引用:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)(パンフレット)
処遇改善支援に関するコース
処遇を改善することで助成が受けられるコースです。非正規雇用労働者に対する施策ごとに、以下の5つのコースに分けられています。
- 賃金規定等改定コース:基本給の賃金規定等を3%以上増額改定
- 賃金規定等共通化コース:正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規則等を新たに作成・適用
- 賞与・退職金制度導入コース:賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施
- 社会保険適用時処遇改善コース:労働者を社会保険に加入させ、収入増加の施策を実施
- 短時間労働者労働時間延長支援コース(令和7年7月1日から新設):労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、週所定労働時間の延長による収入増加の施策を実施
正社員化支援と同じく、助成金額は企業規模や労働者の雇用形態によって違います。それぞれの1人あたりの助成金額は、以下のとおりです。
▪️賃金規定等改定コース
※加算額
▪️賃金規定等共通化コース
▪️賞与・退職金制度導入コース
▪️社会保険適用時処遇改善コース
画像引用:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)(パンフレット)
▪️短時間労働者労働時間延長支援コース(令和7年7月1日から新設)
画像引用:キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)のご案内(リーフレット)
外国人材に対してもキャリアアップ助成金を利用できる
キャリアアップ助成金は、自社の外国人材に対しても利用できます。
しかし、注意しなければいけないのが、正社員化支援に関するコースの場合は長期で就労可能な在留資格が必要な点です。
正社員化は「長期的に雇用して、優秀な人材の確保や事業の生産性向上につなげる」ことが目的なため、外国人材に関しては以下の在留資格を所持している必要があります。
- 就労目的で在留が認められる外国人(「技術・人文知識・国際業務」など)
- 「永住者」
- 「定住者」
- 「特定活動(EPA受入れ人材(看護師・介護福祉士))」
※試験合格前の候補者は対象外 - 「特定技能第2号」
帰国することが前提の「技能実習」や、在留期間5年の制限が定められている「特定技能1号」は、対象とならないので注意しましょう。
外国人材の場合の助成金受給要件
助成金の対象となる事業主の条件は先ほども触れましたが、自社の外国人材に対して助成金制度を活用する場合には、さらに以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者である
- 長期就労可能な在留資格を持っている
それぞれ詳しく解説します。
雇用保険の被保険者である
外国人材も、日本人と同様に雇用保険の被保険者であることが条件です。
▪️雇用保険の加入条件
- 労働時間が週20時間以上ある
- 31日以上の雇用見込みがある
- 雇用契約が適切に締結されている
- 学生ではないこと
条件を満たしている場合、雇用保険加入手続きを完了させましょう。
長期就労可能な在留資格を持っている
先ほども触れましたが、長期雇用を目的とした制度なので、外国人材に関しては長期就労可能な在留資格を持っている必要があります。
主に以下の人材が対象です。
- 就労目的で在留が認められる外国人(「技術・人文知識・国際業務」など)
- 「永住者」
- 「定住者」
- 「特定活動(EPA受入れ人材(看護師・介護福祉士))」
※試験合格前の候補者は対象外 - 「特定技能第2号」
帰国することが前提の「技能実習」や、在留期間5年の制限が定められている「特定技能1号」は、対象となりません。
在留資格をチェックして、制度の対象となるか確認しましょう。
支給までの流れ
支給までの流れは以下の通りです。(正社員化支援に関するコースの場合)
- 1.キャリアアップ計画を作成・提出
- 2.就業規則などの必要な改定
- 3.就業規則などに基づいて対象者を正社員に転換
- 4.正社員化後に6か月分の賃金の支払い
- 5.支給の申請
キャリアアップ計画を作成・提出
まずは、助成を受けるために必要なキャリアアップ計画を作成します。
厚生労働省のホームページから計画書の様式をダウンロードし、対象者や目標、期間、具体的な取り組みを記載しましょう。
計画は各コースの実施日の前日までに労働局に提出するように定められていますが、認定を受けるまでに時間がかかる可能性があります。そのため、余裕を持って1ヶ月前までには提出するようにしましょう。
就業規則などの必要な改定
認定を受けた計画に基づいて、就業規則に正社員転換についての手続き方法や要件、時期に関する規定の追加や改定をおこないます。
もし、就業規則の改定に不明点がある場合は、管轄の労働局に相談するのがおすすめです。計画に則った就業規則の改訂や、必要な手続きなどについて詳しく教えてくれます。
就業規則などに基づいて対象者を正社員に転換
正社員転換について就業規則の改定ができたら、実際に対象者を正社員として雇用します。また、転換に応じた賃金の支払いも一緒に実施してください。
正社員化後に6か月分の賃金の支払い
転換後は、6か月以上の期間継続して雇用し、6か月分の賃金を支払うことが定められています。この時、転換前の6か月と比較して3%以上賃金が増額されていることが条件です。
支給の申請
助成金の支給申請ができるのは、転換後6か月の賃金を支払った日の翌日から2か月以内です。6か月の賃金支払いが完了する前は、支給申請できないので注意しましょう。
審査が完了し支給額も決まったら、助成金が振り込まれます。
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まとめ
キャリアアップ助成金は、正社員化や給与の増額により労働者の意欲を向上させ、職場への定着率も高めるのに役立ちます。また、外国人材に対しても活用できる制度なので、制度を活用することで外国人材の雇用安定と職場での活躍を促進させられます。
しかし、自社の外国人材に対して活用する場合には、長期就労可能な在留資格を持っていることが条件となります。帰国することが前提の「技能実習」や、在留期間5年の制限が定められている「特定技能1号」は対象とならないので注意が必要です。
在留資格や、受給要件をしっかりと確認して、適切に助成金を活用できるようにしましょう。