特定技能2号とは?拡大された業種や1号との違いを解説
特定技能2号とは、特定の業種において熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの資格です。今まで特定技能2号は対象の業種が限られていましたが、2023年に業種が追加となりました。今まで1号でのみ対象だった業種が2号にも追加され、1号でスキルを身に着けた外国人材が、継続して日本で活躍しやすくなる仕組みが構築されたのです。
本記事では、特定技能2号の概要や1号との違い、2号の取得方法について解説します。
特定技能人材の採用なら、取引社数100社以上の「スキルド・ワーカー」で
スキルド・ワーカーを運営する株式会社リクルーティング・デザインは、リクルート正規代理店として30年以上の実績を持つ人材紹介会社です。2019年4月に特定技能制度が新設された当初から、500名以上の外国人材を紹介してきました。もしも現在、
・複数ある特定技能サービスから何を選んで良いかが分からない
・外国人材への必要なサポートが不安
・採用・労務運用の手間をなるべく削減したい
・大量採用を検討している
スキルド・ワーカーなら、これらの課題をすべて解決できます!人材の紹介はもちろん、入国手続きや生活支援、日本語教育、資格取得支援など、義務化されている外国人材への支援もすべてお任せしていただけます。
特定技能2号とは
近年、国内の企業では人材不足に非常に悩まされています。そんな人手不足を解消するために、政府は「特定技能」といった新しい制度を設けました。人材が不足している国内の業種において、一定の専門性や技能を持っている外国人を受け入れる制度です。この制度により、介護分野や飲食業、宿泊業、建設業など、さまざまな業種で外国人の受け入れができるようになりました。
特定技能には1号と2号の2つがあります。1号は一定の知識や経験が必要な技能、2号は熟練した技能を持つ外国人向けの資格です。
2号になると、期間の制限なく長期にわたって就労可能で、要件を満たせば家族も日本に連れてくることができます。移住のような形で日本で働き続けられるので、外国人材にとっては非常に大きなメリットといえるでしょう。
2023年6月に対象業種が拡大
2号は、以前まで建設と造船・舶用工業の業種に限られていました。2号は多くの知識や技能を持っている必要があるため、1号のように多くの業種には対応できていなかったのです。しかし、1号は5年の在留期限があり、2019年ごろから就労している外国人材の期限が迫ってきました。そのような背景から、1号で経験・スキルを身に着けた外国人材に継続して日本で活躍してもらうためにも、2023年6月に2号の対象業種を拡大する方針となりました。以下が、拡大された11業種です。
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
今まで1号でのみ対象だった業種が2号にも追加され、経験・スキルを身に着けた外国人材が継続して活躍しやすくなりました。この拡大によって、特定技能の取得を考える人材はさらに増加することが推測されます。
来日して働こうと考える外国人は若くて意欲の高い人が多く、即戦力となり得る人材を確保できます。受け入れる側としても、働く意欲の高い人材を長期的に雇用できることで、慢性的な人材不足の解消につながるでしょう。
介護業種には2号が存在しない理由
介護分野が特定技能2号の対象外となっている理由は、既に「介護」という独立した在留資格が存在し、外国人が介護福祉士の国家資格を取得することで、無期限の在留が可能となるためです。
特定技能制度は、深刻な人手不足が懸念される産業分野において、即戦力となる外国人労働者を受け入れることを目的としています。この制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、1号は一定の技能を有する外国人が対象で、在留期間は通算5年までとなっています。一方、2号はより高度な技能を持つ外国人が対象で、在留期間に上限がなく、家族の帯同も可能です。
しかし、介護分野においては、特定技能2号の対象とはなっていません。その理由は、既に「介護」という専門的・技術的分野の在留資格が存在し、介護福祉士の資格を取得することで、無期限の在留が可能となるためです。このため、外国人が介護分野で長期的に働くことを希望する場合、特定技能1号から介護福祉士の資格取得を目指し、在留資格「介護」への移行を目指すのが一般的なキャリアパスとなっています。
実際に、特定技能1号で介護分野に従事している外国人の多くが、働きながら日本語能力や専門知識を高め、介護福祉士の国家試験合格を目指しています。介護福祉士の資格を取得することで、在留資格「介護」への変更が可能となり、長期的な就労や家族の帯同が実現できるため、外国人にとって大きなメリットです。
このように、介護分野では特定技能2号を設ける必要がないため、対象外となっています。外国人が介護分野で長期的に働くためには、介護福祉士の資格取得を目指すことが重要です。
特定技能2号と1号は何が違う?
業種が拡大された2号ですが、1号との違いはどのような点なのでしょうか?ここからは2つの違いについて解説します。
求められる技能水準
先ほども触れたように、2号は熟練した技能を持っている必要があります。
たとえば建設分野で2号を目指す場合、作業者に指導したり、工程を管理したりなど、現場を支える班長としての実務経験が求められます。1号では現場の指示を受けながら業務をおこなえるレベルでよかったのに対して、2号では現場を支える役割としての経験が必要ということです。
2023年に拡大された分野は、まだ必要となる経験が明確に定められていないものもありますが、実務経験を通した高い技能が求められるようになるでしょう。
在留期間
1号の在留できる期間は通算5年ですが、2号は更新をおこなえば制限なく在留できます。更新は、3年、1年または6か月ごとにおこなわれます。期間の制限なく就労可能なため、移住のような形で日本で働き続けられるということです。
日本語能力
1号では、技能試験とあわせて、生活や仕事をするうえで必要な日本語能力をチェックするための試験が設けられています。「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」への合格が必須となります。
2号は日本語試験は原則不要です。しかし、2023年6月の分野拡大によって変わることも想定されます。分野ごとに変わることもあるかもしれないので、随時情報を確認するのがよいでしょう。
支援の必要性
1号の場合、受け入れ企業による外国人材への支援が必須です。業務・生活を安心しておこなえるように、計画を作成して、支援を実施しなければいけません。
もし、過去2年間外国人が従業員として在籍していない場合、「登録支援機関」へ委託することが定められています。登録支援機関とは、外国人材を雇うにあたって必要な手続きや、サポートの手伝いを委託できる機関です。過去2年間に外国人がいたとしても、「専門的な内容なため自社で支援をおこなうのが難しい」といった理由から、登録支援機関に依頼をする企業は多くなっています。
一方、2号は計画の作成・実施は必要ありません。ただ、業務における相談や、日常生活に問題はないか話を聞いてあげるなど、働きやすい環境の整備は日ごろからおこなってあげるようにしてください。
家族の帯同可否
1号は原則家族帯同が不可です。2号は一定の要件を満たすと可能となり、基本的に配偶者と子の帯同が認められます。外国人材にとって、家族と一緒に日本で永住できることは大きなメリットがあるといえるでしょう。
特定技能2号の取得方法
2号は、1号の修了者のステップアップとして取得する場合が一般的です。ただし、1号で通算5年経過すれば自動的に得られる訳ではありません。ここからは、2号の取得方法を解説します。
各業種で定められた試験と実務経験が必要
2号の取得には、各業種で定められた試験と実務経験が必要となります。たとえば、建設分野で2号を目指す場合は、以下の条件を満たさなければなりません。
熟練した技能を有する外国人に対しては、班長としての一定の実務経験(建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験)に加えて、技能検定1級の水準に相当する建設分野特定技能2号評価試験(実施主体:JAC)(又は技能検定1級でも可能)に合格すれば、在留資格の審査を経て、「特定技能2号」という在留資格が付与されます。
現在1号の人材を雇用していて、「将来的には2号を取得させたい」と思っているのであれば、在留期限の5年間が非常に重要となります。5年間の間に、いかにこの試験と実務経験の要件を満たせるように、教育・育成していけるかが非常に大切なポイントです。教育・育成の環境を車内できちんと整備し、外国人材とコミュニケーションを取りながら進めていくようにしましょう。
日本語試験の受験は不要
1号は特定技能測定試験とあわせて、日本語能力をチェックするための試験の合格が条件です。しかし2号は現時点では試験は不要です。
ただ、2023年6月に追加された業種は、業種ごとの試験や実務経験に関してまだ情報の公開も少なく、不確定要素が多い状態です。条件や申込方法なども変わるおそれがあるので、最新情報はチェックするようにしておきましょう。
関連記事:特定技能2号になるには?企業がおこなうべき対応やサポートについて解説
介護業種とその他業種における2号への進路の違い【事例紹介】
特定技能制度には、業種ごとに異なるキャリアパスや制度設計が存在します。特定技能2号へのステップアップが明確に用意されている分野がある一方で、介護分野では2号が設定されておらず、「介護福祉士」資格の取得を通じて在留資格「介護」への移行を目指すルートが一般的です。
ここでは、実際にスキルド・ワーカーを通じて就労・成長を続けている外国人材の事例を紹介していくので、介護業種とその他業種における進路の違いや現場でのサポート体制について理解を深めていきましょう。
特定技能から介護福祉士へ──国家資格を取得し、在留資格「介護」へステップアップ
特別養護老人ホーム「優・悠・邑(ゆう・ゆう・むら)」で働くベトナム出身のグエン チョン カンさんは、特定技能1号として来日・勤務をスタートした後、3年以上の実務経験と実務者研修を経て、介護福祉士の国家資格試験に見事合格。在留資格も「介護」へと変更し、より安定した長期就労の道を切り拓きました。
カンさんは「夢がひとつ叶った。これからがスタート」と語り、家族の帯同も視野に入れながら日本での生活基盤を築いています。施設長や支援員からも「全国でも例の少ない、努力でつかんだ合格」「一番最初に近い成功例」として高く評価されており、今後の成長にも期待が寄せられています。
この事例は、介護分野において特定技能2号が存在しない代わりに、介護福祉士という国家資格を取得し、在留資格「介護」へ進むという確かなキャリアパスがあることを示す好例です。外国人材が長期的に日本で働くための道筋として、制度を活かしながらステップアップを支援することの重要性が伝わります。
関連記事:特定技能から広がる介護福祉士の未来