外国人労働者の労働時間に制限はあるのか?
外国人労働者 2023.08.11
目次
日本では外国人雇用が広がっており、各国の在留資格者や留学生を雇用する企業が増えています。
在留資格が多く存在するなかで、労働が原則禁止されていたり、労働時間に制限があったりする在留資格があるのをご存知でしょうか?
また、外国人の労働基準と日本人の労働基準が同じなのか、別なのかという詳細部分に関して曖昧に把握している方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、外国人労働者の労働基準や労働時間の制限について解説していきます。
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外国人労働者の労働時間に制限はある?
外国人労働者は、在留資格によっては労働時間に制限が設けられています。労働時間に制限がある在留資格は下記3つです。
- 留学
- 家族滞在
- 特定活動の一部
上記の在留資格は、日本に滞在する目的が就労ではないため、労働が原則禁止となっています。
しかし資格外活動の許可を申請すれば、労働時間の制限範囲内で就労が可能となります。
資格外活動の許可申請とは、在留資格以外で収入を外国人が得る場合に、特例として申請するものです。
留意点として、資格外活動の許可申請をした上で働く場合は、パート・アルバイトに限定されてしまいます。なぜなら、1週間で28時間以内の労働時間が定められているからです。[注1]
企業側は労働時間が条件を超えないように、注意してシフトを組む必要があります。
外国人労働者の労働基準を紹介
外国人労働者の労働基準は、日本人と同じように下記2つの法律・協定によって定められています。
- 労働基準法
- 36協定
企業側は、上記2つに記載された規則に則って、外国人労働者を雇用する必要があります。本章では、外国人労働者を雇用する際に関係する労働基準法と36協定の内容を解説していきます。
労働基準法における労働時間の規則
労働基準法の労働時間において、下記の記載がされています。[注2]
- 使用者は原則1日に8時間、1週間に40時間を超えた労働をさせてはいけない
- 使用者は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけない
- 使用者は最低でも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければいけない
[注2]e-Gov「昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049(参照:2022-09-24)
上記の規則を守れず労働時間をオーバーした場合は、労働時間外として扱われ、残業時間が発生します。
また、労働時間が6時間または8時間を超える場合は、それぞれ決められた休憩時間を与える必要があります。反対に言えば、1日6時間未満の場合は、従業員に休憩を与えなくても違反にはなりません。留意点として、休憩時間は仕事中の合間に与えなければいけません。
たとえば、仕事を開始する前や仕事が終わった後に休憩時間を設けるのは、労働者からの提案であったとしても認められないので注意しましょう。
また前述したとおり、労働時間に制限がある在留資格の方の場合は、1週間28時間以内と定められています。
労働時間に制限がある在留資格の方の場合、他の在留資格のように残業はできないため、決められた労働時間を超えないように注意しましょう。
36協定とは? 残業時間との関係性
36協定とは、残業や休日労働が発生する場合に、使用者である企業が労働組合または労働者を代表する者と取り交わす労使協定を指します。
労働基準法で定められた労働時間を超える労働となる場合、労働基準監督署に36協定届を提出する必要があります。
労働基準法と同様に、36協定においても、外国人労働者と日本人労働者の場合で、違いはありません。
36協定では、時間外労働に関する下記内容を定めます。
- 業務内容
- 労働者の範囲
- 対象期間
- 労働時間
上記が記載された書類を提出し、36協定を締結させることで、企業側は月45時間・年360時間まで時間外労働を従業員に依頼できるようになります。[注2]
[注2]厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
労働時間制限がある外国人労働者における注意点
在留資格が、留学、家族滞在、特定活動(一部に限る)の場合は、原則として労働が認められていませんが、資格外活動の許可申請をすれば働くことができます。
もし、資格外活動の許可申請をせずに働いてしまった場合は、不労就労として従業員だけでなく企業側にも罰則が課せられます。
そのため企業側は、雇用する予定である外国人労働者の在留資格と資格外活動の許可申請の有無をしっかりと確認しておく必要があります。
在留資格と資格外活動の許可申請の有無は、在留カードを見れば確かめられます。
まず、在留資格と就労制限の有無を確認しましょう。
就労制限の有無が就労不可であっても、裏面の資格外活動許可欄に許可と記載されていれば、条件下のもとで労働が可能です。
資格外活動許可の認可があっても働けない業種がある
資格外活動の許可があれば、どの業種でも働けるというわけではありません。
資格外活動許可の要件として、出入国在留管理庁には下記が記載されています。[注3]
- 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。
ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
イ 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動
つまり、性風俗関係の業種に関しては、労働をしてはいけないと定められています。
性風俗関係の業種として具体的な職業の例として下記が挙げられます。
- スナック
- ホストクラブ
- キャバレー
- 麻雀店
- パチンコ店
- ゲームセンター
上記は一部例であり、これらの業種以外にも禁止されている業種は存在します。
「外国人を働かせていいかよく分からない」「グレーゾーンかもしれない」と心配になった場合は、出入国在留管理庁や行政書士に相談すると良いでしょう。
外国人留学生における労働時間の例外もある
前述したとおり、在留資格が留学や家族滞在の場合は、資格外活動の許可があれば週28時間以内で労働が可能です。
これは、留学や家族滞在の在留資格の目的が労働でないことと、本来の目的に支障をきたさないようにするために設けられています。
しかし例外として留学の場合は、在学している学校の定めている長期休業に限り1日8時間、週40時間までアルバイトが可能となります。[注4]
学校の定めている長期休業は、夏休みなどの期間を指し、休講などは該当しません。
[注4]東京労働局「Q4.留学生をアルバイトとして雇うことは可能ですか。」
ダブルワークの場合、通算の労働時間で計算する必要がある
資格外活動の許可内で労働できるのは週28時間以内と決められています。
これは、1つの企業で週28時間までではなく、通算して1週間で28時間以内と定められています。
2つ以上の企業でダブルワーク(掛け持ち)する場合は、働いたすべての労働時間の合計時間が28時間以内になるように調整する必要があります。
企業側も、資格外活動の許可の範囲内で労働している外国人がいる場合は、ダブルワークをしていないかを雇用契約前に確認し、事前に説明しておくと良いでしょう。
労働時間の制限を守らなかったら3年以下の懲役・禁固もしくは罰金
在留資格が留学や家族滞在の場合は、資格外活動の許可があれば週28時間以内で労働が可能です。
28時間の労働時間を超えることは原則認められておらず、超えてしまった場合は厳しい罰則が課せられます。
資格外活動許可に違反した場合、3年以下の懲役か禁錮または300万円の罰金あるいは両方が科せられるとされています。[注5]
さらに、上記の違反行為は職歴として記録されるため、在留カードの更新時などで影響が出る可能性もあるでしょう。
罰則は外国人労働者だけでなく、使用者である企業にも課せられます。
資格外活動許可に違反した場合、企業側は不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を課せられてしまいます。[注6]
上記の規則に違反しないようにするために注意しておきたいのが、外国人労働者のダブルワークです。
企業側が外国人労働者のダブルワークを把握しておらず、気付いた時には労働時間の制限を超えてしまうケースもあるため、注意しておきましょう。
規定の労働時間を超えた際のデメリットが大きいことから、企業側と従業員どちらもが労働時間をしっかりと把握して働くことが大切です。
【まとめ】
外国人労働者の労働時間を理解しておこう
労働時間に制限がある在留資格は下記3つです。
- 留学
- 家族滞在
- 特定活動の一部
上記の在留資格は、日本に滞在する目的が就労ではないため、労働が原則禁止となっています。
しかし資格外活動の許可を申請すれば、週28時間以内で労働が可能です。
とはいえ、資格外活動の許可があれば、どの業種でも働けるというわけではなく、性風俗関係の業種に関しては労働をしてはいけないと定められています。
また、28時間の労働時間を超えることは原則認められておらず、超えてしまった場合は厳しい罰則が課せられます。
資格外活動許可に違反した場合、3年以下の懲役か禁錮または300万円の罰金あるいは両方が科せられるとされています。
罰則は外国人労働者だけでなく、雇用側の企業にも課せられるのを把握しておきましょう。資格外活動許可に違反した場合、企業側は不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を課せられてしまいます。
外国人労働者の採用を検討している企業担当者の方は、雇用契約前に注意事項をしっかりと確認し、外国人労働者の方にも必ず説明するようにしましょう。
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