在留カードを紛失したらどうなる?再交付手続きについて解説
外国人労働者 2022.10.14
目次
在留カードは、日本に3ヶ月以上の中長期間滞在する外国人に対して交付されるカードです。
在留カードが交付されれば、日本に中長期的に適法在留する者と証明できます。在留カードはパスポートと同様に身分の証明としても活用が可能であり、常時携帯することが義務付けられています。
では万が一、在留カードを紛失してしまったとしたら、どう対応するべきかご存知でしょうか?
結論から述べると、紛失した14日以内に再交付申請を行いましょう。
企業側は、在留カードを紛失してしまった外国人の就労者に対して的確な指示ができるようにしておくのが理想です。
そこで本記事では、在留カードを紛失した時の再交付手続きの方法・留意点について徹底解説していきます。
在留カードを紛失したら14日以内に再交付申請
結論から述べると、在留カードが紛失した場合、その事実を知った日から14日以内に再交付申請を行いましょう。[注1]
出入国管理及び難民認定法第19条の12によると、在留カードの交付を受けた中長期滞在者は、紛失や盗難、減失その他の事由によって在留カードを失った場合、事実を知った日から14日以内に出入国在留管理庁長官に再交付を申請しなければならないとの記載があります。[注2]
[注1]出入国在留管理庁「紛失等による在留カードの再交付申請」
在留カードは、所持している外国人が日本に滞在していることを正しく証明できるものです。在留カードが紛失すると、生活にも支障が出る可能性もあるので、紛失に気づいた時点ですぐに対応するようにしましょう。
在留カードを紛失した場合、まずは警察署や交番へ行き、遺失物の届出を提出します。紛失以外にも、盗難されてしまった場合も同様の手続きを行ってください。
警察署または交番で遺失物の届出を提出すると下記2つのどちらかを渡されます。
- 遺失届出証明書
- 盗難届出証明書
上記の証明書は、再交付手続きで必要になるため必ず失くさないようにしましょう。
また、在留カードを紛失してしまった場合は、パスポートを携帯しておくと良いです。
本来であればパスポートを携帯する必要はありませんが、万が一警察などに在留カードの提示を求められた場合は、遺失届出証明書と一緒にパスポートを提示するのが良いでしょう。
在留カードは常時携帯が義務付けられている
「在留カードが紛失してもパスポートが証明代わりにならないの?」と疑問に思った方もいるかもしれませんが、パスポートは在留カードの代わりにはなりません。
在留カードは、日本に中長期的に在留している16歳以上の外国人全員に携帯が義務付けられています。
在留カードの常時携帯は、適法に在留することを証明するために必須のものであり、これはパスポートでは証明できません。
もし、提示を求められた際に在留カードを携帯していないと、不法滞在者として疑われてしまう可能性もあります。
出入国管理及び難民認定法第75条によると、警察官などに提示を求められた際に在留カードを携帯していない場合は、20万円以下の罰金に処せられることがあります。[注3]
[注3] 出入国管理及び難民認定法
さらにそれらの情報はデータ記録されるため、次回の在留カードの更新時に何かしらの影響を及ぼす可能性もあります。
もし、外国人就労者が「在留カードの常時携帯する義務について知らなかった」「紛失した時の対処法を知らなかった」という事態にならないように雇用している企業の方から事前に説明と確認を取っておくと良いでしょう。
在留カードの携帯義務が免除される場合
中長期的に日本に滞在する外国人は在留カードの携帯が義務付けられていますが、携帯義務が免除される場合もあります。
在留カードを携帯する義務が免除されるケースは、下記の通りです。[注4]
- 16歳未満の場合
- 在留期間更新などの理由で一時的に取次行政書士に在留カードを預ける場合
- 特別永住者であり特別永住者証明書を所持している場合
在留カードは16歳未満でも発行されますが、常時携帯は義務付けられていません。
また、在留期間更新などの理由で一時的に取次行政書士に在留カードを預ける場合も携帯義務はなくなります。
預けている期間中は、行政書士に在留カードを預けている証明として預かり証を発行してもらうと良いでしょう。
さらに特別永住者であり特別永住者証明書を所持している場合は、在留カードの携帯が義務付けられていません。
とはいえ、警察官などに提示を求められた場合は、携帯していなくても特別移住者証明の提示義務は発生するので注意が必要です。
留意点として、特別永住者ではなく永住者の場合は、在留カードの常時携帯が義務付けられているため違いを理解しておきましょう。
在留カードの再交付手続き
在留カードが紛失した場合、紛失を知った日から14日以内に再交付申請を行いましょう。
在留カード再交付の申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署となっています。
在留カードの再交付の手続きには、下記の書類が必要となります。[注5]
- 在留カード再交付申請書
- 顔写真(16歳未満の場合は不要)
- 遺失届出証明書、盗難届出証明書、り災証明書等のいずれか
- 漢字氏名の併記を希望する場合は在留カード漢字氏名表記申出書
- 旅券(又は在留資格証明書)
- 旅券(又は在留資格証明書)を提示できないときは、その理由を記載した理由書
遺失届出証明書などは、在留カードを紛失したことを証明するもので、警察署または交番で遺失物の届出を提出すると受け取れます。
上記書類を地方出入国在留管理官署に提出し、手続きを行えば、最短で即日に在留カードを再交付してもらえるでしょう。
紛失や盗難などを理由に在留カードを再交付する場合は手数料は発生しません。
本人以外にも再交付申請はできるのか
在留カード紛失時の再交付申請は、本人以外にも行えます。
とはいえ、基本的には本人が再交付申請を行う必要があり、下記のような特例に限ります。
- 紛失した本人が16歳未満の場合
- 本人が病気などの理由でやむを得ず申請できない場合
病気などで再交付の手続きに行けない場合は、診断書が必要になります。
また、代理人は申請人との関係性を証明する資料や委任状が必要となるので再交付に必要な書類と一緒に準備しておきましょう。
再交付に要する時間
在留カードが再交付されるのは最短で即日です。
一部地域を除いて、地方出入国在留管理官署の受付時間は9時から16時となっているため、余裕を持って申請をしに行きましょう。
もし、在留カードが即日で交付されずに、後日在留カードを受領した場合は下記の書類が必要になります。
- 申請受付票
- 旅券
- 身分を証する文書等の提示
上記を準備し、後日改めて再交付となる在留カードを受け取りに行きましょう。
海外で在留カードを紛失してしまった時の対処法
出張や旅行など、海外で在留カードを紛失してしまった時はどうすれば良いのでしょうか?
結論は、基本的に日本で紛失した場合と同じ対応をとります。
海外で在留カードの紛失に気付いたら、海外の警察署に行き、在留カードの紛失の届出を提出しましょう。
理由としては、紛失した在留カードが悪用されないようにするためです。
届出を出すと、紛失したことを証明する証明書がもらえるため、再入国後に再交付してもらう際に提出しましょう。
留意点として、海外の在外日本大使館などでは在留カードの再交付ができません。
在留カードの再交付は、日本に再入国してから手続きを行う必要があるので、覚えておきましょう。
在留カードを海外で紛失しても、日本に再入国する場合は、再入国許可・みなし再入国許可を受けていれば日本に再入国が可能です。
しかし、再入国出国記録は必要となるため、注意しましょう。
在留カード紛失時の再交付手続き方法をしっかり理解しておこう
在留カードが紛失した場合、紛失していると知った日から14日以内に再交付申請を行いましょう。
日本で在留カードを紛失した場合は、警察署や交番へ行き遺失物の届出を提出します。
その後、在留カード再交付の申請先である住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に行き、必要書類を提出して再交付手続きを行います。
在留カードの再交付に手数料は発生せず、最短で即日に在留カードを再交付してもらえるでしょう。
また、在留カードを紛失してしまった場合は、パスポートを携帯しておくと良いです。
本来であればパスポートを携帯する必要はありませんが、万が一警察などに在留カードの提示を求められた場合は、遺失届出証明書と一緒にパスポートを提示しましょう。
とはいえ、在留カードは日本に中長期的に在留している16歳以上の外国人全員に常時携帯が義務付けられており、これはパスポートでは証明できません。
もし、提示を求められた際に在留カードを携帯していないと、不法滞在者として疑われてしまう可能性もあります。
さらに、それらの処分情報はデータとして記録されるため、次回以降の在留カードの更新時に何かしらの影響を及ぼす可能性もあります。
上記のことから、企業側も従業員の在留カードの紛失に対して意識しておくことが大切です。
もし、外国人就労者が在留カードの常時携帯する義務について知らなかった、紛失した時の対処法を知らなかったという事態にならないように企業から事前に説明しておくと良いでしょう。