【徹底解説】特定活動46号とはどんな在留資格なの?
特定技能 2023.08.11
目次
日本における在留資格の1つである特定活動46号は、比較的新しく設けられた制度です。外国人の雇用を増やすことにつながる制度ですので、十分に理解して活用しましょう。
本記事では特定活動46号について詳しく解説します。認められる業種や雇用時の注意もございますので、ぜひ参考にしてください。
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特定活動46号とは
特定活動46号は2019年5月に交付された在留資格の1つです。[注1]
新しい在留資格ですが、外国人留学生が就労しやすくなり、雇用する側も人手不足を解消しやすくなることから、注目されています。
どのような資格なのか、まずは基本的なことを知っておきましょう。
[注1]出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン」
就労の幅が広い特定活動の在留資格
特定活動46号の大きな特徴は、飲食店・製造業・工場勤務など、これまで外国人の就労が認められていなかった業種に就けるという点です。
業務内容の制限や在留許可を取得する条件はありますが、今までよりも大幅に働きやすくなりました。
対象は外国人留学生
特定活動46号の対象となるのは、外国人留学生のみです。
就労目的で日本に在留している外国人や、日本の大学・大学院を卒業していない外国人は許可を得ることができません。
特定活動46号が設置された理由
特定活動46号が設置された理由は、外国人留学生の就職率を上げるためです。
これまでは日本の大学・大学院を卒業しても、外国人留学生の就職率は3割程度に留まっていました。
日本での就職を希望する外国人留学生は、全体の6割以上もいるとされているため、半数ほどしか日本で就職できていません。
この状況を打破し、優秀な人材の確保や人手不足の解消をするために、特定活動46号が設置されました。
特定活動46号で就労できる業種と業務
特定活動46号で従事できるのは以下の業種と業務です。
同じ業種でも、特定の業務のみを行う場合は認められないことがあるため、注意しましょう。日本語での円滑なコミュニケーションが必要な業務に携わることが、1つの基準になっています。
飲食業
飲食店での接客・仕入れ・企画などの業務が可能です。
店に訪れた外国人客への通訳や、従業員や取引先と日本語によるコミュニケーションをとる業務に携わる必要があります。
日本語に精通しなくても従事可能な、清掃や皿洗いなどのみを行う場合は認められません。
販売業
小売店(スーパー・コンビニエンスストア・各種販売店など)で、日本語による接客業務や、外国人客への通訳、仕入れ、在庫管理などに従事できます。
飲食業と同様に、日本語能力が不要な清掃や陳列業務のみ行うことは認められません。
工場勤務
日本語が分からない従業員への伝達・指示・指導をする業務や、日本語でのやり取りが必要な管理業務が可能です。
これらの業務に加えてライン作業を行うこともできますが、単純作業にのみ従事することは認められません。
ホテル・旅館業務
宿泊施設に就労する場合は、外国人客への通訳や案内をはじめとした接客業務や、多言語に対応した案内の作成、ホームページの作成・更新、メンテナンスなどの業務に従事できます。
外国人労働者が従事することが多い、客室の清掃業務のみ行うことは認められません。
タクシードライバー
タクシードライバーとして、外国人客とのやり取り、通訳や観光案内に従事できます。タクシードライバーに必要な二種免許や、一部の都心エリアで必要な地理試験への合格も必要です。
あくまでもドライバーとしての業務が認められているため、タクシー会社に勤務する場合でも、車両整備や洗車・清掃などに限定した業務を行うことは認められていません。
介護業
日本語に不慣れな従業員・技能実習生への指示や指導、利用者との日本語によるコミュニケーションを取る業務に従事できます。
清掃・洗濯・調理のみなど、日本語能力がなくても対応可能な業務のみでの就労は認められません。
就業できない業種・業務
他の在留資格よりも業種・業務の幅が広い特定活動46号ですが、以下の業種には従事できません。
- 風俗営業活動関連
- 資格が必要な業務
資格が必要な業務とは、法律で資格を有する者のみが行うものとされている業務です。
業務独占資格といわれるもので、多くの資格があります。身近なものだと調理師・介護福祉士・行政書士などがあり、これらの業務に就くことは認められません。
特定活動46号が認められる6つの要件
特定活動46号は外国人留学生が認められやすい在留資格の1つです。しかし所得するためには6つの要件があり、これらをすべて満たす必要があります。
1. 常勤であること
特定活動46号が認められるためには、常勤雇用の正社員・契約社員でなければいけません。派遣社員・パート・アルバイトでの雇用では対象外になってしまいます。
2. 日本の大学・大学院を卒業していること
日本の大学・大学院を卒業し、学位を持っていることが条件です。
大学を中退した場合や、海外の大学を卒業している場合は対象になりません。
3. 日本語能力が一定水準以上であること
特定活動46号の資格が認められるには、一定水準以上の日本語能力が必要です。以下のいずれかを満たしていなければいけません。[注3]
- 日本語能力試験でN1を取得
- BJTビジネス日本語能力テストで480点以上
- 日本の大学・大学院で日本語を専攻して卒業・修了している
海外の大学で日本語を専攻し、学位を取得している場合は日本語能力試験のN1相当として認められます。
ただし、この場合も日本の大学・大学院を卒業していることは必須条件です。
[注3]出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン」
4. 日本人と同等以上の報酬・雇用条件であること
報酬・雇用条件は日本人の大学・大学院を卒業した従業員と同等以上でなければいけません。
待遇は地域や雇用先によって異なるものですが、同業他社の日本人と比べて判断されます。判断材料には昇給面も含まれます。
5. 日本語による意思疎通が必要な業務であること
従事する業務は、日本語によるコミュニケーションが必要な仕事である必要があります。
例えば工場勤務でもライン作業のみではなく、外国人労働者への通訳や指示をしたり、取引先とやり取りをしたりするなど、日本語を使った業務が含まれていなければいけません。
これらの業務に加えて、単純作業や清掃業務など日本語能力が不要な業務を一緒に行うこと自体は可能です。
6. 大学・大学院での学びを活かせる業務であること
判断が曖昧な部分ではありますが、大学や大学院で学んだことを活かせる業務であることも必要だとされています。
専門的な業務や選んだ学科との関連性が、必ずしも必要なわけではありません。一定水準以上の学力や素養が必要な業務が含まれている、または今後従事する予定があることが求められます。
特定活動46号によるメリット
特定活動46号によるメリットは、外国人留学生・雇用主双方にあります。特に即戦力になりやすく、日本の文化に慣れた外国人を雇用できる点が強みです。
即戦力の正社員になりやすい
これまでは多くの場合、大学・大学院を卒業した外国人労働者はアルバイトを辞めて帰国したり、別の企業で就職したりしていました。
特定活動46号が認められた場合、大学・大学院に在学中も働いていた留学生をそのまま正社員や契約社員として雇いやすくなるため、即戦力になります。急激な人手不足にもなりにくいのが利点でもあります。
働く側も慣れた職場で働けるため、力を発揮しやすく、他の従業員とのコミュニケーションも円滑に行えるでしょう。
日本の文化に慣れた外国人を雇える
特定活動46号の対象となる外国人留学生は、短くても大学在学中の4年間を日本で過ごしています。そのため日本の文化や習慣を理解している人を雇いやすく、感覚の違いによる問題が起きにくいのです。
また一定水準以上の日本語能力も保証されているため、言葉の壁による問題や通訳を通す手間などの心配がありません。
長期勤務が可能で、人材が育つ
特定活動46号の在留期間は最長で5年です。しかし、更新によって延長できるため、長期勤務が可能で人材の育成ができます。問題なく更新が続けられれば、いずれは永住権の取得も可能です。
日本人の労働者と同様に、技術や知識を十分に持った従業員として中長期的な戦力になるでしょう。
特定活動46号の注意点
特定活動46号を取得する、または特定活動46号の外国人を雇用する場合には、以下の点に注意しましょう。
短期大学・専修学校は対象外
特定活動46号が認められるのは、日本の大学・大学院を卒業した外国人留学生のみです。短期大学や専修学校の卒業者は対象になっていません。
在留期間は4種類ある
特定活動46号の在留期間は「5年・3年・1年・6カ月」のいずれかに定められています。[注4]
個々の事情によって異なりますので、更新のタイミングや雇用時の就労可能期間には十分注意しましょう。
なお、特定活動46号は累計滞在期間の制限がありません。更新さえできればほぼ無制限で在留できるため、永住権の取得を狙うことも可能です。
転職には許可が必要
特定活動46号は比較的自由な業種に就ける在留資格ですが、転職する際には手続きが必要です。
転職が決まったら「在留資格変更申請」を行い、改めて就労ビザを取りましょう。
3カ月以上無職の状態が続いてしまうと、在留資格は取り消されてしまいます。特別な事情がない限りは、転職先を見つけてから退職したほうが安心です。
不法就労に注意する
特定活動46号は今までは認められていなかった業種でも働ける在留資格です。
しかし、同じ業種でも従事する業務が単純作業に偏ると、特定活動46号で認めらなくなってしまいます。
その場合、本人は不法就労、雇用主は不法就労助長罪に問われ、罰金や懲役が発生するリスクがあります。
前述の<h2>特定活動46号で就労できる業種と業務</h2>を十分に確認し、特定活動46号で認められている業務に従事するように注意してください。
特定活動46号は外国人留学生が働きやすくなる特別活動
特定活動46号が設置されたことで、幅広い業種で外国人の雇用が可能になりました。
大学・大学院を卒業した留学生であることや、日本語能力が一定水準以上であることが求められますが、労働者・雇用主双方にメリットが大きい制度です。
ぜひ利用して外国人雇用を拡大し、優秀な人材の確保や人手不足の解消を狙ってください。
外国人材の雇用をお考えの方へ
人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。
特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。
即戦力をお探しの方、はじめての外国人材雇用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。