特定技能外国人の転職方法や手続きを解説!おさえておくべき注意点も紹介
外国人労働者特定技能 2024.10.27
目次
慢性的な人材不足により、特定技能外国人を雇用する企業は多くなっています。ただ、受け入れるにあたってあわせて理解しておきたいのが「転職」についてです。
特定技能人材は自由に転職可能ですが、さまざまな条件を満たして手続き・届出をおこなう必要があり、ハードルが高いのが現状といえます。また、退職する企業・入社する企業もすべきことがあるので、きちんと把握して手続きをおこなうことが重要です。
本記事では、特定技能人材の転職方法や手続き、おさえておくべき注意点などについて解説します。
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特定技能外国人も転職できる
特定技能制度は人材不足が顕著となっている国内の業種において、一定の専門性やスキルを持っている外国人材を受け入れる制度です。日本のさまざまな業種で深刻化する人材不足を解消することを目的とし、2019年に制定されました。
今では制度を活用する企業も多くなっており、日本のさまざまな場所で外国人材を目にします。しかし、制度には外国人材の活動の幅を広げる目的もあるため、転職も自由におこなえるようになっています。ここからは外国人材の転職について解説します。
条件を満たせば転職は自由
特定技能人材の転職は自由ですが、一定の条件を満たさなければいけません。
まず1つ目の条件は在留期間です。特定技能1号は通算5年が上限となっています。たとえば、すでに4年働いていた場合、転職しても1年しか働けない可能性があります。そのため期間が残り少ない場合は、更新をおこなったり、業種によっては2号の取得をしたりする必要があるでしょう。
2つ目は技能に関する条件です。転職先が元々の企業と同じ業種である場合はそのまま転職できますが、違った業種の場合はその分野の評価試験に合格が必要となります。たとえば、今まで外食業で働いていた人が介護業に転職する場合は、介護業の評価試験に合格しなければなりません。
また、業種が同じでも「業務区分」が違う場合は注意が必要です。たとえば、建設業の分野は「型枠施工」「土工」「内装仕上げ」など、18区分に分かれています。この区分により技術や業務内容が大きく異なるため、それぞれの評価試験に合格が必要となります。
外国人材にとってリスクもある
転職は可能ですが、実は外国人材にとってリスクがあるのが現状です。
また後ほど詳しく解説しますが、転職の際には在留資格変更許可申請が必要です。現在の在留資格には、従事できる分野や現在就労している企業の名前、従事する業務などが登録されています。そのため、転職する場合は申請をおこなって、次に就労する企業へと変更しなければなりません。
しかし、申請は必ず許可が出るとは限りません。万が一許可が出ないと資格を失うこととなるので、母国へ帰国が必要です。その後、日本に戻るためには再度入国手続きをおこなうようになることを考えると、外国人材の転職リスクは大きいと言えるでしょう。
特定技能外国人が転職するタイミング
転職のタイミングは、大きく分けて以下の3つが考えられます。
- 自己都合
- 企業都合
- 技能実習から特定技能への移行時
それぞれ詳しく解説します。
自己都合
日本人と同じく自己都合での退職が可能です。現在の企業で就労をしつつ、インターネット上で仕事を探したり、転職活動をおこなったりして、無事に内定をもらってから退職するケースが多いでしょう。
ただし、転職先企業からの協力を得ながら在留資格変更許可申請をおこなうようになるので、多少手続きには手間がかかります。
企業都合
企業都合とは、経営がうまくいかないことによる倒産や解雇など、受け入れ企業側の都合での退職です。
このようなケースの場合は、企業側で次の仕事を見つけるための支援を実施が必要となります。ハローワークや人材紹介業者の紹介、失業保険の手続きサポートなど必要な支援を必ずおこないましょう。
技能実習から特定技能への移行時
技能実習によって日本で就労している人材が特定技能へと移行する際、技能実習時に就労していた企業から違う企業に転職することができます。ただし、この場合は職種・業務内容が一致していなければいけません。
特定技能外国人が転職する際の手続き
転職の際は、転職前・転職後の企業、外国人材本人による各々の手続きが必要です。ここからはそれぞれの必要な手続きについて解説します。
転職前の企業
転職前の企業がおこなう手続きは以下の通りです。
- 出入国在留管理局に届出を提出する(「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」と「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」)
- ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する
- 日本人と同様の退職手続きを実施する
出入国在留管理局への届出書類は退職日から14日以内、ハローワークへの届出書類は退職日の翌日から10日以内と提出の期日が決まっているので注意しましょう。
転職後の企業
転職後の企業がおこなう手続きは以下の通りです。
- 雇用契約を締結する
- 支援計画を作成して出入国在留管理局に提出する
- ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する
- 在留資格変更許可申請の手続きに必要なものを準備する
④の手続きに必要なものは、納税関係書類や役員の住民票、謄本などです。申請を適切におこなわずに雇用すると、企業も罰則を受けてしまうので注意しましょう。
外国人材本人
外国人材本人がおこなう手続きは以下の通りです。
- 出入国在留管理局に「契約機関に関する届出」を提出する
- 在留資格変更許可申請の手続きをおこなう
②の手続きには、転職前の源泉徴収票や納税証明書、住民税の課税証明書、健康診断個人票などが必要となります。正しく書類を揃えて手続きしなければ、許可される可能性が低くなるので注意が必要です。
特定技能外国人が転職する際の注意点
外国人材の転職は、転職に至るまでのプロセスでさまざまな問題が発生することも少なくありません。ここからは転職する際の注意点について解説します。
在留資格変更の許可と退職日の時期をあわせる
外国人材は退職をすると、在留資格変更許可申請中はアルバイトもしてはいけない決まりになっています。申請の結果が出るまでには時間を要するので、許可が下りる時期を想定して、退職日を調整するようにしてあげましょう。
また、念のために申請中の生活資金を事前に確保することも伝えておきましょう。
在留資格変更許可申請が不許可になるケースもある
先ほども触れましたが、在留資格変更許可申請は不許可になるケースもあります。万が一許可が出ないと資格を失うので、帰国が必要です。その後、日本に戻るためには再度入国手続きをしなければなりません。
必要書類の記載事項や特定技能の在留要件は非常に細かいものです。記載ミスや見落とし、理解不足などがないように、事前にしっかりと準備をして届出をおこないましょう。
引き抜きの自粛規定がある
特定技能外国人が首都圏に集中して就労をすることを防ぐために、一部の分野では引き抜くことを自粛するよう呼びかける「引き抜き自粛の要請」がおこなわれています。
そのためスカウトのような企業側からのアプローチは禁止されているので、外国人材は転職先を自ら探さなければいけません。
退職時の報告時期については事前に伝えておく
日本人従業員であれば、「退職する1ヶ月前には申し出る」といった風潮が一般的となっています。しかし、外国人材のなかには「転職先が決まったので3日後に辞める」といきなり申し出るケースもあります。
直前にいきなり申し出をされるとトラブルが発生することもあるので、事前に退職時の報告時期については伝えておくようにしましょう。入社前の面談や入社してすぐのガイダンスなどで伝えておくのがおすすめです。また、「退職時の報告時期について聞いていない」といったようなトラブルにならないように、書面で残しておくようにしましょう。
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ポイントを押さえてスムーズな転職手続きを
本記事では、特定技能外国人の転職方法や必要な手続き、おさえておくべき注意点について解説しました。
外国人材は自由に転職することが可能ですが、さまざまな条件を満たして手続き・届出をおこなわなければいけません。トラブルが発生しないように、きちんと把握して手続きをおこなうことが重要です。
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