外国人労働者に関する問題とは?企業が取り組むべき対策を解説

外国人労働者 2023.12.17

外国人労働者に関する問題とは?企業が取り組むべき対策を解説

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日本において、人口構造の変化により労働力不足が深刻化しています。その中で、外国人労働者の積極的な採用が増加しています。しかしながら、「外国人労働者の採用にはリスクがあるのではないか」と懸念される企業も少なくないでしょう。

確かに、外国人労働者の受け入れは新たな課題や複雑な要因を引き起こす可能性があります。外国人労働者たちと共生していくためには、受け入れる企業の取り組みも必須となっているのです。

本記事では、外国人労働者を雇用する際に起こり得る問題や注意点について解説します。

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1.外国人労働者の現状

外国人材の需要が急増しており、多くの日本企業が積極的に外国人材を採用しています。まず、このトレンドにおける外国人材の現状に焦点を当ててみましょう。

日本では約182万人が雇用されている

厚生労働省が発表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」によると、日本の外国人労働者数は1,822,725人となっており、前年比95,504人増加をしています。平成19年に「外国人雇用状況」の届出が義務化されて以降、最多の数値を記録しました。

外国人材を国籍別に見ると、ベトナム人が最も多く462,384人、次いで中国人の385,848人、フィリピン人の206,050人となっています。

介護や飲食など様々な分野での雇用

近年日本では、少子高齢化が著しく進んでおり、それに伴って労働力の不足が顕著となっています。企業は必要な労働力を確保するのが難しくなり、その背景から「労働力不足の補填として外国人材を雇用したい」という需要が高まっています。これに応じて、外国人材を積極的に雇用する企業が増加しています。

外国人材は様々な分野で活躍しており、介護分野や飲食業、製造業、コンビニエンスストアやホテルなどでのサービス業など、幅広く雇用されています。

国としても外国人材を雇用することを推進しており、各分野で外国人を受け入れられるように「特定技能」という新しい在留資格を2019年に設定しました。特定技能とは、国内の人材を確保することが難しい産業分野において、一定の専門性や技能を持っている外国人を受け入れることを目的とする制度です。特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

2.外国人労働者の雇用における懸念点

外国人材を雇用することは企業にとって多くのメリットがありますが、同時に受け入れ側としてはいくつかの不安材料が存在します。外国人材の雇用に関する懸念点を事前に把握し、対策を考えることが重要です。ここからは、外国人材の雇用における懸念点を解説します。

コミュニケーションの不足

外国人材の雇用において、企業が直面する主要な懸念はコミュニケーションの課題です。日本人と外国人では当然のことながら言語が異なり、日本に労働をしに来た外国人は日本語を学んだうえで来ていますが、外国人材の日本語の理解度には差があります。これが原因で効率的なコミュニケーションが難しくなり、業務に支障が生じることがあります。

また、企業側としても、十分なコミュニケーションが取れないことで業務指示などが伝わらず、仕事上でトラブルが起こってしまうことが想定されます。コミュニケーションによる問題がハラスメントへとつながってしまう可能性もあります。

外国人材がコミュニケーション不足によって孤立しないように、事前に日本語の理解度・習得レベルを把握し、その人材にあったサポートを行うことが必要です。

安価な労働力の対象とされやすい

安価な労働力と見なされがちな外国人材に対して、一部の企業が不正規な手段で雇用条件を設定することが懸念されます。これには、通常の賃金よりも低い給与設定や賃金未払い、法令に違反した雇用条件を採用する悪質な企業が含まれます。

都道府県ごとに定められている最低賃金は、日本人だけでなく外国人材にも適用されます。最低賃金を下回る給与での雇用は外国人材であっても合法ではありません。また、最低賃金の範囲内であっても、優秀であるにもかかわらず日本人より給与を少なくし、平等でない状態で雇用をしていると、外国人材の不満につながる恐れがあります。

企業側の一方的な意向で賃金の引き下げなどは行わないようにし、労働基準法に則って外国人材を雇用するようにしましょう。

長時間労働などの劣悪な労働環境

外国人材を雇用する業種は、通常、日本国内で必要な労働力が確保できず、人材不足に悩む分野に該当します。こうした業種では、厳しい労働条件が原因で人材が安定せず、離職率が高まるなどの問題が生じ、結果として人手不足が生じている可能性が高いです。そんな労働環境であっても環境を変えようとすることもなく、外国人材をとりあえず雇用し、長時間労働などの劣悪な労働環境で働かせる企業も存在します。

確かに外国人材を雇用するきっかけとしては、自社の人材不足かもしれませんが、彼らも私たちと同じく一人の人間です。単なる「労働力」としてではなく、尊厳を尊重し、公平な雇用条件のもとで採用することが求められます。企業にとっては、従業員たちが働きやすい環境を整えることが喫緊の課題となります。

習慣や文化の違いによるトラブル

日本人と外国人では言語が異なりますが、それとともに習慣や文化も異なります。日本で「こうあるべき」と思うことが、外国人にとっては「考えられない」といったことも少なくありません。習慣や文化の違いを理解していなければ、悪気が無くても外国人材を不快な気持ちにさせてしまったり、ハラスメントへとつながってしまったりなど、大きなトラブルになりかねません。

外国人材の習慣や文化、価値観をしっかりと把握し、同じ企業の仲間として理解に努めてあげることが重要となります。

外国人材に対する差別

外国人材に対する差別は、言語や習慣、文化の違いから発生する問題の一環です。言語の壁があるため、日本語が通じにくい状況で暴言が飛ぶなどの行為や、業務上の自由な行動が制限されることがあります。これらは差別行為であり、企業は予防措置を敷く必要があります。

しかし、企業が気を付けていても、外国人材の教育を担当する従業員が不満を抱き、差別的な行動をとるケースが散見されます。事業主だけでなく、既存の従業員にも、「外国人材との関わり方」を徹底的に浸透させるための教育が重要です。

3.外国人労働者を雇用する際の4つのポイント

外国人材の雇用にはいくつかの懸念される問題がありますが、ポイントをおさえておくことで根本的に問題を解決することができます。ここからは外国人材を雇用する際のポイントについて解説します。

外国人材を受け入れる体制を整備する

外国人材を受け入れる際には、きちんとした体制を整備することが不可欠です。外国人材の習慣や文化を考慮した労働環境やコミュニケーションの取り方、母国語を用いたマニュアルの作成など、外国人材の立場に立って働きやすい環境を整えるようにしましょう。

また、事業主自身も外国人材に関する労務管理やルールについて深い理解を持つことが重要です。外国人材の雇用に際しては、法的な規定を遵守することが求められます。自己啓発を図り、理解が難しい部分については外国人材の採用に精通した専門機関に相談することもおすすめです。

生活面も含めた支援体制を整える

外国人材を雇用する場合、仕事に専念できるようにするだけでなく、生活面も含めた支援体制を整備することが大切です。初めて日本にやってくる外国人材は、日本の暮らしや生活習慣に不慣れなことがほとんどです。企業は、彼らが円滑に生活できるように、必要な情報の提供や手続きのサポートなど、生活に影響を及ぼす様々な面でのサポートを提供する必要があります。

事前の情報提供や住宅確保・生活の必要な契約の支援、公的手続きのサポートなどは、外国人材が仕事面・生活面で充実して過ごせるように、「義務的支援」として必ず行わなければいけない支援となっています。これらの支援をすべて行うには専門的な知識も必要となり、企業にとっては負担となってしまうこともあるでしょう。

ただし、最近では、これらの支援を行ってくれる「登録支援機関」が増えてきており、外国人材の支援を委託することができます。トラブルを起こすことなく、クリーンに外国人材を受け入れたい企業は、登録支援機関に依頼することも検討してみましょう。

日本人と同等の待遇に設定する

外国人材に対する待遇は、日本人と同等であることが非常に重要です。労働基準法を遵守し、給与や残業代などの支払いにおいて公平性を保つよう心がけましょう。細かいことでも規則を破ってしまうと、外国人材の不満を引き起こし、離職などの問題を引き起こす可能性があります。雇用に関する取り決めを透明かつ公正に行い、外国人材が納得して働ける環境を提供することが肝要です。

文化や仕事に対する価値観の違いを理解する

異なる文化や仕事に対する価値観を理解し合うことは非常に重要です。例えば、海外の文化の中には、家族との関係性を何よりも優先する傾向が強い国があります。そのような文化で育った外国人は、仕事がどれだけ忙しくても家族を優先するでしょう。

もし、既存の日本人従業員が「仕事が最優先」という価値観を持っている場合、文化の違いによる誤解や不満が生じる可能性があります。こうした違いは、お互いの価値観を尊重し合い、円滑に協力していくためには欠かせません。

従業員たちが異なるバックグラウンドを理解し合うために、研修を通じて外国人材の文化や価値観について情報共有を行うことが不可欠です。これにより、円滑なコミュニケーションが促進され、仕事環境がより協力的で調和のとれたものとなります。

4.まとめ

この記事では、外国人材の雇用に伴う懸念事項やポイントについて解説しました。外国人材を雇用することで企業は様々なメリットがもたらされますが、課題も存在します。しかし、適切な体制を整備することで、企業は外国人材の採用を通じて社内を活性化させることができるでしょう。

外国人材の雇用について理解を深め、企業にとって適した優秀な人材を確保するための努力を惜しまないことが重要です。

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