特定技能を持った外国人の受け入れ機関になる為に必要なこととは?
介護特定技能 2023.08.11

目次
企業の人手不足を解消する方法の1つとして、外国人労働者を受け入れる特定技能という制度を活用してみましょう。
特定技能で外国人を受け入れるためには、さまざまな準備が必要です。本記事では、外国人受け入れにあたって求められる条件や準備について解説します。
外国人材の雇用をお考えの方へ
人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。
特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。
即戦力をお探しの方、はじめての外国人材雇用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
特定技能の外国人労働者を雇用できる企業の条件とは
特定技能とは人手不足が起きている特定産業分野において、外国人の労働者を受け入れることができる在留資格のことです。
技能実習とは異なり、一定の技術や知識をもつ外国人労働者を即戦力として雇用できる特長があります。2019年に新設された特定技能の制度には、一定の条件が定められています。
特定技能の外国人労働者は業種を問わず受け入れができるわけではありません。特定技能の制度には、日本国内でも特に人材不足が深刻化している14の分野が指定されています。
まずは、特定技能の受け入れ分野に該当しているかを確認しておきましょう。
・介護業
・ビルクリーニング業
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気、電子情報関連産業
・建設業
・造船、舶用業
・自動車整備業
・航空業
・宿泊業
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
この14の業種以外では、特定技能の在留資格を使って外国人を雇用することはできません。
また該当する業種においても、受け入れをする事業場が満たすべき基準に該当していない場合には外国人労働者の雇用が認められないので注意が必要です。
特定技能受け入れ機関に求められる基準や受け入れ条件とは
出入国在留管理局庁は特定技能受け入れ機関に向けて、在留資格「特定技能について」という資料を発布しています。
この資料によると、特定技能の受け入れ機関には以下のような基準や条件が求められています。(※)
「受入れ機関自体が満たすべき基準」
- 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
- 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
- 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
- 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
- 受入れ機関が保証金の徴収等を定める契約等を締結していないこと
- 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
- 労働者派遣をする場合には、派遣元が該当分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が1〜4の基準に適合すること
- 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
- 雇用契約を継続して履行できる体制が適切に整備されていること
- 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
- 分野に特有の基準に適合すること
※ 引用:出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」について p18
特定技能の外国人労働者を受け入れられるのは、上記の基準を満たしている企業に限られます。数多くの項目がありますが、ほとんどの項目には基本的なことが記されています。
例えば社会保険や税法のルールを守っていることや法令に違反していないことなどの項目については、遵守するのはそれほど難しくありません。特定技能の制度を活用する際には、給与支払いの方法や保険関係の届出など、受け入れ条件を十分に確認した上で正しい運用が求められます。
特定技能受け入れ機関が雇用契約を結ぶ際の基準とは
特定技能の外国人と雇用契約を結ぶ際の基準についても、出入国在留管理局の資料に明記されています。(※)
「特定技能雇用契約が満たすべき基準」
- 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
- 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
- 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
- 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
- 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
- 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
- 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
- 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
- 分野に特有の基準に適合すること
※ 引用:出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」について p17
特定技能で外国人を雇用する際の給与は、同様の業務にあたる日本人スタッフの報酬と同額またはそれ以上に設定しなければなりません。また、賞与や福利厚生に関しても同様の条件が求められます。
ほかに、一時帰国の際の旅費は原則特定技能の外国人労働者が出すことになっていますが、万が一、捻出できないときに受入れ機関が負担するという点も留意しておきましょう。
特定技能は外国人労働者を安い賃金で雇用できる制度だというイメージをもつ企業もあるかもしれません。
しかし、特定技能で雇用を行う際にはある程度人件費がかかるということを理解しておく必要があります。
特定技能受け入れ機関が支援体制を構築する際の基準とは
出入国在留管理局は、在留資格「特定技能」についての資料において、外国人支援の方法や基準にも言及しています。
特定技能1号の受け入れでは、単に外国人を海外から呼び寄せて働いてもらえばいいというものではありません。
母国を離れて就労にあたる外国人を手厚くサポートすることも、特定技能受け入れ機関に求められる重要な要素です。
外国人支援の体制構築にあたって満たすべきとされる基準は以下のとおりです。(※)
「受入れ機関自体が満たすべき基準(支援体制関係)」
- 以下のいずれかに該当すること
ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。以下同じ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
イ 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
- 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
- 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
- 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
- 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
- 分野に特有の基準に適合すること
※ 引用:出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」について p19
特定技能で外国人労働者を受け入れるときには、事業所内に支援責任者や支援担当者を置くことが求められます。
支援責任者と支援担当者は、特定技能外国人労働者と同じ作業を行う上司や役員など以外から選出します。
これは、外国人を支援する際に中立性を担保するためです。
なお、過去2年間に中長期滞在者の管理や生活相談に従事した経験があることも、選出される条件となっています。
自社内で支援責任者や支援担当者を選出するのが難しいときには、外部の登録支援機関にサポートを依頼することになります。
委託にはまとまった費用がかかりますが、特定技能外国人の受け入れノウハウをもつプロに任せられるのはやはり安心です。
登録支援機関に支援を全部委託する場合には、これらの基準を満たしていると判断されます。
また、特定技能2号の在留資格の場合には、受け入れ機関が支援を行う必要はありません。
特定技能受け入れ機関に求められる届出の義務と種類
特定技能の外国人を受け入れる際には、必要な書類を揃えて正しく申請する必要があります。受け入れ機関の業種や受け入れの条件によって異なりますが、一般的には以下のような書類を準備します。
・特定技能雇用契約に係る届出書
・支援計画変更に係る届出書
・支援委託契約に係る届出書
・受け入れ困難に係る届出書
・出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出書
・受け入れ状況に係る届出書(人数や活動内容、活動場所など)
・支援実施状況に係る届出書
・活動状況に係る届出書(報酬の支払い状況や報酬水準など)
これらの書類には、特定技能外国人労働者の労働条件や給与等について記載します。書類を提出したあとにむやみに労働条件を変更したり、給与額を下げたりすることはできないので気をつけましょう。
特定技能で外国人労働者を雇用するまでの流れ
特定技能で外国人労働者を雇用するまでには、以下のようなステップが必要です。
・外国人労働者が技能試験及び日本語試験に合格する
・外国人と雇用契約の締結をする
・事前ガイダンス等の受講、健康診断の受診
・在留資格認定証明書交付申請書の提出
・在留資格認定証明書を外国にいる外国人に送付する
・外国人に在留資格認定証明書の提出や査証の申請を依頼する
・在留資格認定証明書の発行から3カ月以内に入国してもらう
・生活オリエンテーションを行う
・住民登録、住宅の確保
・給与口座を開設する
これらの準備が整えば、外国人労働者を雇用し現場で働いてもらうことが可能となります。
特定技能外国人の受け入れるための体制を整えよう
特定技能外国人の受け入れ機関には多くの基準が求められています。
また、特定技能外国人労働者を雇用するにあたってはさまざまな手続きや準備が必要です。
特定技能外国人の受け入れを検討している場合は、特定技能の制度に関して理解を深めておくことが大切です。
記事内で紹介した基準や要件をよく確認して、スムーズな受け入れが行えるよう準備をすすめましょう。
外国人材の雇用をお考えの方へ
人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。
特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。
即戦力をお探しの方、はじめての外国人材雇用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。