外国人労働者はどこの国の出身者が一番多い?実態、注目国を解説

介護外国人労働者 2024.03.20

外国人労働者はどこの国の出身者が一番多い?実態、注目国を解説

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一昔前まで、アジア一の経済大国といえば日本でした。現在、その地位は中国に奪われてしまいましたが、出稼ぎにやってくる労働者が減少したわけではありません。現状、日本にたくさんの外国人労働者を送り出しているのは、どこの国なのでしょうか。

本記事では、外国人労働者の現況や国別の労働者数、さらには外国人が出稼ぎにくる理由・日本の魅力について考察、ご紹介していきます。

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外国人材受け入れの現状

外国人材を雇用した雇用主は、国に雇用状況の届け出を提出して報告しなければならない決まりです。国はこの報告により外国人材の現状を把握し、届出状況に基づく数値を発表しています。 

ここからは厚生労働省が発表している令和5年10月末時点の「外国人雇用状況」の届出状況まとめを元に、外国人材の数や国籍を紹介します。

 

1. 外国人労働者数

令和5年10月時点の外国人労働者数は、204万8,675人となっています。これは前年比225,950人の増加、対前年増加率は12.4%となり、平成19年に外国人雇用状況の届出の提出が義務化されて以降、最も多い数値となりました。

2. 外国人雇用事業所数

外国人材を雇用する事業所数も大幅に増加しています。令和5年10月時点の外国人雇用事業所数は、31万8,775ヵ所で、前年と比較して1万9,985ヵ所増加しています。

こちらも届出が義務化されて以降で最多の数値となり、対前年増加率は 6.7 %と前年の 4.8 %から 1.9 ポイント上昇しました。

3.外国人の国籍

外国人材を国籍別に見ると、ベトナム人の51万8,346人が多い状況です。外国人材数全体の25.3%を占めています。次いで中国人の39万7,918人、フィリピン人の22万6,846人となっています。

また外国人材の対前年増加率を見ると、増加率が大きいのは、前年比56.0%増のインドネシア人(12万1,507人)です。次いで49.9%増のミャンマー人(7万1,188人)、23.2%増のネパール人(14万5,587人)となっています。

4. 特定技能

2019年4月より「特定技能」という新たな在留資格が加えられ、産業・サービスの現場でも外国人材を雇用できるようになりました。特定技能の在留資格を持つ外国人は介護・飲食業といった慢性的に人手が不足している業種・職種で働けます。

出入国在留管理庁が発表している「特定技能在留外国人数」によると、令和5年12月時点、特定技能1号で就労している外国人材の数が最も多いのはベトナムです。労働者数は11万628人で全体の53.1%を占めています。その次に多いのは、16.4%を占めるインドネシアからの労働者で、3万4,253人です。

その次にフィリピン(2万1,364人:10.3%)、中国(1万3,456人:6.5%)となっています。

日本で働く外国人材数の国別ランキング

日本で働く外国人材にはさまざまな国籍の人がいますが、厚生労働省が発表している「外国人雇用状況の届出状況まとめ」(令和5年10月末時点)によると、日本で働く外国人材数の国別ランキングは以下のようになっています。

国籍(人数が多い順)

人数

全体に占める割合

ベトナム

518,364人

25.3%

中国

397,918人

19.4%

フィリピン

226,846人 

11.1%

ベトナムの労働者が増加している背景

外国人材というとこれまでは中国や韓国から来ている方が多いというイメージがありましたが、現在ベトナムから来る労働者が多いことが分かりました。ではなぜ今日本で出稼ぎをするベトナム人が増えているのでしょうか。 

ここでは、ベトナムからの労働者が増えている背景を見ていきましょう。

1. 日本の方が高収入を得やすい

その国の平均的な豊かさを示す数値として「1人当たりのGDP」があります。GDPとは「国内総生産」のことを差し、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額のことです。国の経済力の目安としてよく用いられます。

外務省が発表している「ベトナム基礎データ」によると、ベトナムにおける1人当たりのGDPは4,110米ドル(約61万円)です。これに対し日本は、内閣府が発表している「1人当たり名目GDP」のデータによると約453万円(2022年度)と、非常に大きな開きがあります。この数値だけでは単純に測れませんが、日本のほうが多くの収入を得られると考える人も多いでしょう。

また、日本は労働法がしっかりと定められており、労働者が働きやすい環境が整えられています。労働者の権利が保護されながら働くことができ、その対価として充分な収入が得られる点もベトナム人からすれば魅力的でしょう。

2. 二国間協定の締結

2019年、ベトナムと日本で特定技能の二国間協定が締結されました。これは「特定技能」の在留資格で労働する外国人を適切に送り出したり、受け入れたりするためのルールを定めた協定です。

外国人が日本で働くための条件は様々なものがありますが、日本側でおこなう手続きと、送り出し国側がおこなう手続きは、別になっている可能性があります。そのような状況の中で、送り出し国と受け入れ国が円滑な手続きをおこなえるようにするため、二国間協定が結ばれました。

また、協定の締結によって政府の保護が与えられ、労働者の保護もおこなわれるようになり、ベトナム人材は日本で就労しやすくなりました。

3. ベトナムが親日国であること

ベトナムには親日家が多く、日本社会に馴染みやすい国民性を持っています。日本の清潔な街並みや、多様な文化に触れてみたいと思う人が多く、日本へ純粋な憧れを抱く人も存在しています。

また、高品質な日本製品はベトナム社会にも浸透しています。たとえば、ベトナムの人の足であるバイクの多くは日本製です。家電・機械類も日本製といえば信頼度が高く、日本そのものに良い印象を持っている人が多いです。

 また、日本がベトナムに対して行った二国間支援は、1992~2011年だけでも総額2兆円以上に上ります。日本からの経済的援助に好印象を持ち、「日本で働いてみたい」と思う人も多いようです。

4 日本の技術力を学びたい人が多い

日本は世界でもトップクラスの技術力を持つ国として知られており、「日本の高い技術力を学びたい」と考えて、日本での就労を希望するベトナム人も多いです。ベトナムは今後が期待される新興国ではありますが、現状自国に高い技術力を持っているわけではありません。世界知的所有権機関(WIPO)が2021年3月に発表した「国別の国際特許出願件数 (PCT 制度)」によると、日本は中国・アメリカに次ぐ第3位です。これに対しベトナムは59位と低い順位です。

 高い技術を持っている国で働くことは、自身の成長・キャリアの形成として非常に価値の高いことだと考えられています。より多くの学びを得たい人・先進国の技術を学びたい人は、日本での研究・労働を希望します。

その他外国人材の出稼ぎが多い国の現状

ベトナム以外では、中国・フィリピンなどの労働者が多く日本で働いています。これらの国の人が日本で働くメリットとは何なのでしょうか。日本で働く人が多い国の現状をチェックしてみましょう。

1. 中国

ベトナム人が増えるまでは、日本における外国人材の比率は中国人が最多でした。現在中国は日本をしのぐ経済大国となり、自国にも国際的な大企業が存在します。都市部では賃金も高く、わざわざ日本に出かけるメリットはあまりないのが現状です。

また、留学を考える中国の富裕層の多くは、アメリカやヨーロッパの国々を選択するようになりました。「日本で学ぶ」というケースは少なく、留学で来日する人も減少傾向にあります。

技術・人文・国際業務では中国がトップ

とはいえ、現在日本における中国人材の需要は高くなっています。コロナ禍以前はインバウンド需用により、中国語話者を必要とする企業が数多く存在しました。

中国人の市場のニーズを反映して、通訳やオフィスワーカーとして就労できる「技術・人文・国際業務」の在留資格では、中国人材が大きな割合を占めています。

中国と日本のビジネス展開のきっかけにもなり得る

日本と中国は隣国であることから経済的なつながりも強く、中国企業との関係性構築や中国への展開など、ビジネスのきっかけとして日本の企業が中国人を雇用するケースもあります。中国へのサービス展開を考える企業は、中国の人材を雇用することで海外進出の大きな助けになってくれる可能性があるでしょう。

2. フィリピン

フィリピンは「世界最大の労働力輸出国」と呼ばれるほど海外に労働者を排出しています。国民の10人に1人は海外に移住しているといわれ、海外での出稼ぎは珍しいことではありません。

 フィリピン人が海外に出て行く背景としては、国内の高い失業率があります。とりわけ若年層の失業率が高く、若者が海外に出て行く傾向が顕著です。

JETROによると、2019年7月時点の若年層(15歳から24歳)の失業率は14.4%。国内の全失業者数243万2,000人のうち、若年層は110万6,000人と半分に迫る勢いです。

英語力の高さも海外進出のしやすさにつながっている

フィリピンはかつてアメリカの支配下にあり、現在でも公用語として英語が採用されています。

東南アジアではシンガポールに次いで高い英語力を持つ国家といわれ、日本ほど英語についての抵抗感がありません。世界共通語ともいえる英語を操れることは、海外で働くうえで非常に大きなアドバンテージです。日本でも、フィリピン人の英語力の高さに注目する企業は少なくありません。

教育レベルが高いことから優秀な人材が出稼ぎをおこなっている

フィリピンは、過去は貧困や政情不安から教育機関が整備されていませんでしたが、近年では改善傾向にあり、教育レベルが高くなってきています。例えば、フィリピンでは高等教育機関が多く、日本貿易振興機構が発表したデータでは2,396校の高等教育機関があります(2021年3月時点)。

今まで十分でなかった教育機関が整備されていることで優秀な人材が増え、その人材が能力を十分に発揮しながら日本に出稼ぎをおこなっています。今後もますます労働年代層が優秀になっていく傾向にあると考えられ、日本の企業にとっては優秀な人材を受け入れることができるチャンスといえるでしょう。

外国人材にとっての日本の魅力と課題

多くの外国人があえて日本を選ぶのは、日本そのものに魅力があると考えるためです。外国人材にとって、どのような点が魅力なのでしょうか。また逆に、日本において外国人材が課題と感じる点も含めて、具体的にみていきましょう。

1. 治安が良い

近年治安の悪化が指摘されてはいるものの、日本の治安は世界的に見ても良好です。夜道を歩いていて襲われるなどというケースはまれで、身の危険を感じることなく過ごせます。

自国の治安があまり良くない人にとっては、「夜道も1人で歩ける」「強盗に遭うリスクが少ない」といった日本は安心して過ごせることから、魅力的に感じるでしょう。

2. 労働環境が良い

日本でも技能実習生に対する理不尽な扱いが問題となることがありますが、基本的には「外国人材も平等に扱う」という法律の定めがあります。他国と比較して労働環境は悪くなく、働きやすいと考える人は多いようです。

世界で見ると、出稼ぎ先で虐待を受けたり奴隷のように働かされたりといったケースは残念ながら珍しいことではありません。

労働基準法が定められ、最低賃金・福利厚生が補償された日本の職場は、海外の労働者にとって魅力の一つになるでしょう。

3. 単純労働で働きやすい

日本の労働は、業務によっては日本語力やスキルがなくてもおこなえる単純作業があるため、スキルのない外国人材でも職に就くことができます。業種を限定しなければ、真面目に働くことでそれなりの給与を得ることは可能でしょう。

また、現在日本では、介護や飲食業界などは常に人手不足です。豊富なスキルや知識より、誠実に業務に取り組む姿勢や意欲が求められるため、真面目に働いてくれる外国人材は非常に受け入れられており、働きやすいといえます。

4. 日本語・文化がネックになることも

日本で外国人材にとって大きな壁となるのが日本語です。日本語はカタカナ・ひらがな・漢字があり、言語習得の難易度は高めです。

また標準的な日本語を話せる人でも、方言のある地方では通じないケースも多々あります。コミュニケーションがうまくいかず、ホームシックになったり仕事に集中できなくなったりすることがあるでしょう。 

さらに日本人は「空気を読む」「察する」ことを重視しがちです。外国人には理解するのが難しく、日本人と親しくなるのは難しいと感じることがあります。

このような言語・文化の違いを考慮しながら、外国人材をサポートしていくことは、受け入れる企業の義務となります。円滑に生活や仕事ができるように、必要な情報の提供や手続きのサポート、外国人材の文化を考慮した労働環境の整備など、充実したサポートをおこないましょう。

ベトナムをはじめとしたアジア圏の外国人材が多い

新型コロナウイルスの影響により落ち込んだものの、全体として外国人材は増加傾向にあります。

日本で働く外国人材の中で最も多いのはベトナム人です。また、中国やフィリピン、インドネシア、ミャンマーなどからの労働者も増加しており、日本で働く外国人材はアジア圏の人が非常に多いです。

今後人口が減少していく日本では、外国人材の重要性がより高くなっていくと予想されます。外国人材にとって、日本は安全に暮らすことができ、高い技術を得ながら働くことができる魅力的な国であるため、多くの外国人が「日本で働きたい」と意欲を示しています。

自社のリソースが足りないと感じている企業は、外国人材の雇用も視野に入れるのがおすすめです。

外国人材の雇用をお考えの方へ

人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。

特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。

即戦力をお探しの方、はじめての外国人材雇用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

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