【外国人労働者】どこの国の出身者が一番多い?実態、注目国を解説
介護外国人労働者 2023.08.11

一昔前まで、アジア一の経済大国といえば日本でした。現在、その地位は中国に奪われてしまいましたが、出稼ぎにやってくる労働者が減少したわけではありません。現状、日本にたくさんの外国人労働者を送り出しているのは、どこの国なのでしょうか。
本記事では、外国人労働者の現況や国別の労働者数、さらには外国人が出稼ぎにくる理由・日本の魅力について考察、ご紹介していきます。
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外国人労働者の状況
外国人労働者を雇用した雇用主は、国に雇用状況の届け出を提出して報告しなければならない決まりです。国はこの報告により外国人労働者の現状を把握し、届出状況に基づく数値を発表しています。
ここからは令和3年10月末時点の外国人雇用についての届出状況の取りまとめを元に、外国人労働者の数や国籍を紹介します。[注1]
1. 外国人労働者数
令和3年10月時点の外国人労働者数は、172万7,221人となっています。これは前年比2,893人の増加で、平成19年に外国人雇用状況の届出の提出が義務化されて以降、最も多い数値となりました。
ただし、外国人労働者の増加率についてはマイナスです。前年度が4.0%だったのに対し、令和3年度はわずか0.2%。3.8%も減少しました。
2. 外国人雇用事業所数
外国人労働者を雇用する事業所数も、大幅に増加しています。令和3年度の外国人雇用事業所数は、28万5,080ヵ所で、前年と比較して1万7,837ヵ所増加しています。
こちらも届出が義務化されて以降で最多の数値となりましたが、増加率は低下しました、前年が10.2%だったのに対し6.7%となり、3.5ポイントの減少です。
3.外国人の国籍
外国人労働者を国籍別に見ると、ベトナム人の45万3,344人が多い状況です。。次いで中国人の39万7,084人、フィリピン人の19万1,083人となっています。
また外国人労働者の増加率を見ると、前年比から増えたのは、前年比8%増のペルー人(3万1,381人)です。次いで3.4%増のフィリピン人、2.9%増のブラジル人(13万4,977人)となっています。
4. 特定技能
2019年4月より「特定技能」という新たな在留資格が加えられ、産業・サービスの現場でも外国人労働者を雇用できるようになりました。特定技能の在留資格を持つ外国人は介護・飲食業といった慢性的に人手が不足している業種・職種で働けます。
令和4年6月時点、特定技能で就労している外国人労働者の数が最も多いのは、ベトナムです。[注2]労働者数は5万2,748人で全体の60.3%を占めています。その次に多いのは、10.8%を占めるインドネシアからの労働者で、9,481人です。
その次にフィリピン(8,681人:9.9%)、中国(6,143人:7.0%)となっています。
ベトナムの労働者が増加している背景
外国人労働者というと「中国から」来ている方が多いというイメージがありましたが、現在ベトナムから来る労働者が多いことが分かりました。ではなぜ今日本で出稼ぎをするベトナム人が増えているのでしょうか。
ここでは、ベトナムからの労働者が増えている背景を見ていきましょう。
1. 日本の方が高収入を得やすい
その国の平均的な豊かさを示す数値として「1人当たりのGDP」があります。世界銀行のデータによると、ベトナムにおける1人当たりのGDPは3,498米ドル(50万円前後)です。これに対し日本はというと、約425万円(2020年度)と、非常に大きな開きがあります。[注3][注4]
この数値だけでは単純に測れませんが、日本のほうが多くの収入を得られると考える人も多いでしょう。
日本の経済は先行きが不透明な部分がありますが、現状まだ世界第3位の経済大国であることに間違いはありません。ベトナムの人から見れば、まだまだ魅力的な部分があるのです。
[注3]外務省「ベトナム基礎データ」
2. 二国間協定の締結
2019年、ベトナムとハノイで特定技能の二国間協定が締結されました。これは「特定技能」の在留資格で労働する外国人を適切に送り出したり、受け入れたりするためのルールを定めた協定です。
政府の保護が与えられることで、ベトナム人労働者は日本で就労しやすくなりました。
3. ベトナムが親日国であること
高品質な日本製品はベトナム社会にも浸透しています。たとえば、ベトナムの人の足であるバイクの多くは日本製です。家電・機械類も日本製といえば信頼度が高く、日本そのものに良い印象を持っている人が少なくありません。
また、日本がベトナムに対して行った二国間支援は、1992~2011年だけでも総額2兆円以上に上ります。
[注5]日本からの経済的援助に好印象を持ち、「日本で働いてみたい」と思う人も多いようです。
[注5]JICA「日本とベトナムのパートナーシップこれまで、そしてこれから」
4 日本の技術力を学びたい人が多い
ベトナムは今後が期待される新興国ではありますが、現状自国に高い技術力を持っているわけではありません。世界知的所有権機関(WIPO)が2021年3月に発表した2020年の国別の国際特許出願件数によると、日本は中国・アメリカに次ぐ第3位です。これに対しベトナムは59位。[注6]
より多くの学びを得たい人・先進国の技術を学びたい人は、日本での研究・労働を希望します。
[注6] WIPO「国別の国際特許出願件数 (PCT 制度)」
その他外国人労働者の出稼ぎが多い国の現状
ベトナム以外では、中国・フィリピンなどの労働者が多く日本で働いています。これらの国の人が日本で働くメリットとは何なのでしょうか。日本で働く人が多い国の現状をチェックしてみましょう。
1. 中国
ベトナム人労働者が大量にやってくるまでは、日本における外国人労働者の比率は中国人が最多でした。現在中国は日本をしのぐ経済大国となり、自国内にも国際的な大企業が存在します。都市部では賃金も高く、わざわざ日本に出かけるメリットはあまりないのが現状です。
また、留学を考える中国の富裕層の多くは、アメリカやヨーロッパの国々を選択するようになりました。「日本で学ぶ」というケースは少なく、留学で来日する人も減少傾向にあります。
技術・人文・国際業務では中国がトップ
とはいえ、現在日本における中国人労働者の需用は高くなっています。コロナ禍以前はインバウンド需用により、中国語話者を必要とする企業が数多く存在しました。
中国人の市場のニーズを反映して、通訳やオフィスワーカーとして就労できる「技術・人文・国際業務」の在留資格では、中国人労働者が大きな割合を占めています。[注7]
[注7]厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)[別表1]国籍別・在留資格別外国人労働者数
2. フィリピン
フィリピンは「世界最大の労働力輸出国」と呼ばれるほど海外に労働者を排出しています。国民の10人に1人は海外に移住しているといわれ、海外での出稼ぎは珍しいことではありません。
フィリピン人が海外に出て行く背景としては、国内の高い失業率があります。とりわけ若年層の失業率が高く、若者が海外に出て行く傾向が顕著です。
フィリピン統計庁(PSA)によると、2019年7月時点の若年層(15歳から24歳)の失業率は14.4%。国内の全失業者数243万2,000人のうち、若年層は110万6,000人と半分に迫る勢いです。[注8]
[注8]JETRO「世界最大の労働力輸出国フィリピンの現状と課題(前編)」
英語力の高さも海外進出のしやすさにつながっている
フィリピンはかつてアメリカの支配下にあり、現在でも公用語として英語が採用されています。
東南アジアではシンガポールに次いで高い英語力を持つ国家といわれ、日本ほど英語についての抵抗感がありません。
世界共通語ともいえる英語を操れることは、海外で働くうえで非常に大きなアドバンテージです。日本でも、フィリピン人の英語力の高さに注目する企業は少なくありません。
外国人労働者にとっての日本の魅力と課題
多くの外国人があえて日本を選ぶのは、日本そのものに魅力があると考えるためです。外国人労働者にとって、どのような点が魅力なのでしょうか。
また逆に、日本において外国人労働者が課題と感じる点も含めて、具体的にみていきましょう。
1. 治安が良い
近年治安の悪化が指摘されてはいるものの、日本の治安は世界的に見ても良好です。
夜道を歩いていて襲われるなどというケースはまれで、身の危険を感じることなく過ごせます。
自国の治安があまり良くない人にとっては、「夜道も1人で歩ける」「強盗に遭うリスクが少ない」といった日本は魅力的に感じるはずです。
2. 労働環境が良い 37
日本でも技能実習生に対する理不尽な扱いが問題となることがありますたが、基本的には「外国人労働者も平等に扱う」という法律の定めがあります。他国と比較して労働環境は悪くなく、働きやすいと考える人は多いようです。
世界で見ると、出稼ぎ先で虐待を受けたり奴隷のように働かされたりといったケースは残念ながら珍しいことではありません。
最低賃金・福利厚生が補償された日本の職場は、海外の労働者にとって魅力の一つになるでしょう。
3. 単純労働で働きやすい
日本語力やスキル不要の単純作業でも、日本で働けばそれなりの給与を得られます。
業種を限定しなければ、スキルのない外国人労働者でも職に就くのは難しくありません。
また、現在日本では、介護や飲食業界などは常に人手不足です。まじめに働いてくれる外国人労働者への門戸は開かれており、働きやすいといえます。
4. 日本語・文化がネックになることも
逆に、日本で外国人労働者にとって大きな壁となるのが日本語です。日本語はカタカナ・ひらがな・漢字があり、言語習得の難易度は高めです。
また標準的な日本語を話せる人でも、方言のある地方では通じないケースも多々あります。コミュニケーションがうまくいかず、ホームシックになったり仕事がイヤになったりすることがあるでしょう。
さらに日本人は「空気を読む」「察する」ことを重視しがちです。外国人には理解するのが難しく、日本人と親しくなるのは難しいと感じることがあります。
外国人労働者の出稼ぎが多いのはベトナム
新型コロナウイルスの影響により落ち込んだものの、全体として外国人労働者は増加傾向にあります。
中でもベトナム人の労働者は、中国人を抜いてトップとなりました。現在日本では多くのベトナム人が就労しています。
今後人口が減少していく日本では、外国人労働者の重要性がより高くなっていくと予想されます。
自社のリソースが足りないと感じている企業は、外国人労働者の雇用も視野に入れるのがおすすめです。
外国人材の雇用をお考えの方へ
人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。
特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。
即戦力をお探しの方、はじめての外国人材雇用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。