在留資格別の適正給与とは?外国人労働者を受け入れるメリットを解説

介護外国人労働者 2023.08.11

在留資格別の適正給与とは?外国人労働者を受け入れるメリットを解説

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外国人労働者を受け入れたい企業が悩むことのひとつとして「給与」の問題があります。適正な給与を考えるとき、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか?本記事では、外国人労働者の在留資格別の平均給与や、外国人労働者の人件費の考え方・さらには外国人労働者を受け入れるメリットについて詳しく紹介します。

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外国人労働者の平均給与

外国人労働者の適性給与を決めかねている企業は、外国人労働者が受け取っている平均給与をチェックしてみるのがおすすめです。この項目では、「令和3年賃金構造基本統計調査」に基づき、外国人労働者の平均給与を在留資格別に紹介します。[注1]

 

なお、令和3年度の日本人の一般労働者の平均給与は、307万4,000円と公表されています。これを念頭に置いておくと、数字が分かりやすいでしょう。

 

[注1]厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

1. 専門的・技術的分野(特定技能を除く)

専門的・技術的分野の在留資格は、専門的なスキル・知識によって在留が認められている外国人労働者が該当します。包括する範囲は広く、「宗教」「教養」「人文知識」など、さまざまな分野のスペシャリストがここに含まれることとなるでしょう。

 

専門・技術的分野で就労ビザを得ている人の平均年収は、326万5,000円です。ただし、より専門性が求められる分野だったり、スペシャルな知識を持っていたりする外国人の中には、高額な年収を得ている人も少なくありません。

 

高度なスキルを持っている外国人労働者は、平均的な日本人よりも多くの給与を得ています。

2. 身分に基づくもの

身分に基づく在留資格は、以下が該当します。

 

  • 「定住者」(主に日系人)
  • 「永住者」
  • 「日本人の配偶者等」など

 

上記の在留資格を得ている外国人労働者の平均年収は、270万6,000円となっています。就労できる場所は多く、労働の制限を受けません。在留資格の中でも比較的高額な年収を得やすいと考えられます。 

3. 特定技能

特定技能は、2018年の入管法改正によって新設された在留資格です。以下の業種に従事する外国人労働者のみが対象となります。

 

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

 

特定技能新設の主旨は「人手不足解消のため」です。専門・技術的分野ほどの専門的な知識は必要なく、単純業務に従事する人も少なくありません。

 

平均年収は194万9,000円となっています。特別な資格・スキルが不要な業務だからこそ、給与が低くなる傾向にあるようです。

3. 技能実習

技能実習は、日本の技術を学びにやってくる外国人労働者に与えられる在留資格です。この資格のそもそもの主旨は、「日本の優れた技術を発展途上国に持ち帰ってもらうこと」。国際貢献プログラムのひとつで、「労働力の確保」という目的はありません。

 

外国人労働者は「教えてもらう」という立場にあることから、給与も低く設定される傾向にあります。

 

技能実習で働く外国人労働者の平均年収は 164万1,000円と低めです。

外国人労働者の人件費の考え方

外国人労働者の給与を決めるときは、日本の法律に従う必要があります。具体的な人件費を考えるとき、ベースにしたいポイントを見ていきましょう。

1. 外国人も日本人も同じ

労働基準法の基本理念では、労働者とは「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者」です。すなわち、外国人労働者も日本人労働者も等しく「労働者」であり、国籍による賃金の格差はあり得ないということになります。

 

実際のところ、労働基準法第3条には「労働者の国籍等を理由として、賃金、労働時間等の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」というストレートな記述もあります。[注2]企業には「国籍によって社員の給与を変える」という選択肢はありません。

 

[注2]法務省「労働基準法」

2. 適切な人事評価のもと給与を決定する

外国人労働者に日本人社員と同等の業務に就いてもらうのであれば、日本人社員と同等の給与とするのが妥当です。外国人の場合、言語・業務スキル不足によってできる仕事が限られるケースがあります。仕事をしている日本人・していない外国人を平等にすると、日本人社員から不満が噴出することもあるでしょう。

 

スキルの異なる外国人労働者と日本人労働者を同じ仕事で雇う場合は、「基本給」は同等にし、「職務給」「能力給」を個々に見合ったものにする方法があります。ただし「適切な人事評価が行われていること」が前提となるため、社員それぞれの勤務状況について確実に把握しておかなければなりません。給与に差をつけるときは明確な根拠に基づき、誰に対してもきちんと説明できることが必要です。

3. 給与について事前に理解を求めておくことが大切

外国人労働者が誤解しやすいのが、「手取り」という考え方です。一般に日本企業では、給与から社会保険料や税金が差し引かれた金額が支給されます。これを知らない外国人労働者は「勝手に金額を引かれた」と考えてしまう場合があります。給与の額面がおかしいとして、大きなトラブルにもなりかねません。

  • 基本給・手当・割増料金で月の給与の額面が決まること
  • 給与が支給される際、保険料と税金が引かれること

上記については、面接などで事前に伝えておくようにしましょう。

外国人労働者にも適用される労働条件

企業の下で働く以上は、外国人も日本人も同じ労働条件が適用されます。企業が遵守すべき労働条件について、詳細を見ていきましょう。

1.労働条件通知書の交付

労働基準法第15条では「労働条件の明示」が義務付けられています。外国人労働者を雇用する場合は、以下について記した労働条件通知書等を交付しなければなりません。[注3]

 

<書面で明示すべき労働条件>

  • 労働契約期間
  • 就業場所および従事すべき業務
  • 労働時間 (始業・終業時刻、休憩時間、休日等)
  • 賃金 (賃金額、支払の方法、賃金の締め切りおよび支払日)
  • 退職に関する事項 (定年の有無、解雇事由等)
  • 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を更新する場合の基準(平成25年4月1日から)

 

<その他明示すべき労働条件>

  • 昇給に関する事項
  • 臨時に支払われる賃金、労働者に負担させる食費および寮費等、災害補償、職業訓練、表彰および制裁、休職等に関する事項、旅費に関する事項

 

また有期雇用契約で更新を重ねる場合は、更新ごとに労働条件の明示が必要です。

 

[注3]厚生労働省「外国人労働者の労働条件管理について」

2. 月に1度の賃金・最低賃金

賃金については、毎月1度決められた日に支払うことが義務付けられています。(労働基準法第24条)

 

契約書で取り交わした金額が最低賃金を下回っていた場合、その契約は無効です。どのような事情があろうとも、労働者に支払う賃金が各都道府県の最低賃金を下回ることは許されません。地域の現状をチェックし、適切な賃金額を設定してください。

3.時間外・休日・深夜の割増料金

外国人労働者も時間外・休日・深夜労働を行った場合は、法律に則って割増料金を支払わなければなりません。現行の法律の割増率は以下のとおりです。[注4]

 

  • 時間外労働に対しては25%以上
  • 深夜業 (午後10時~午前5時の労働)に対しては、25%以上
  • 休日労働に対しては、35%以上

4. 労働時間・休暇

労働基準法によって定められた労働時間は、週40時間・1日8時間までです。労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分の休憩も義務付けられているため、必ず遵守しましょう。

また少なくとも毎週1日の休日あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えることも法律によって定められたルールです。[注5]

 

[注4][注5]厚生労働省「外国人労働者の労働条件管理について」

 

外国人労働者を受け入れるメリット

外国人労働者を雇用したことがない企業にとって、受け入れはハードルが高いと感じるかもしれません。しかし外国人労働者を雇用すると、さまざまなメリットが期待できます。

どのようなメリットがあるのか、詳細を確認してみましょう。

1.安定的な労働力の確保

外国人労働者を雇用することで、人的リソースが枯渇するのを防げます。少子高齢化が進む日本では、今後安定的に労働力を確保していくことが難しくなると予測されています。募集範囲を外国人にまで広げることで、企業は必要な労働力を確保しやすくなるはずです。   

2.優秀な人材を雇える

応募者の母数が増えれば、優秀な人材に当たる確率も高くなります。「スキルのある人なら誰でもOK」という寛容な姿勢が、企業発展のカギを握るかもしれません。

 

一般に、日本で働きたいという外国人は労働のモチベーションが高めです。期待以上のパフォーマンスを発揮してくれる人も多く、企業にとってプラスになるケースは多々あります。

3.社員がグローバルな視点を持てる

日本人は外国人と触れあう機会が少なく、グローバルな視点を持ちにくいのが現状です。職場に外国人労働者が入れば、すべての社員が他国の文化に触れるチャンスができます。文化・価値観の違いが社員を刺激し、よいアイデア・まったく新しい視点が生まれることもあるでしょう。

 

また、外国人労働者がいることで、職場の雰囲気が明るくなった・盛り上がりやすくなったという声もしばしば聞かれます。日本以外の価値観に触れてみたい・外国の人と接してみたいという日本人は少なくありません。外国人労働者の存在が、職場を活性化してくれることもあるのです。

4.採用コストのカット

求人を出してもなかなか人が集まらない・雇用してもすぐにやめてしまう等の業種では、ムダな採用コストばかりがかさむことがあります。募集の範囲に外国人を含めれば、すぐによい人が見つかるかもしれません。

 

先述のとおり、外国人労働者の中にはモチベーションが高い人が多い傾向にあります。このような人は、仕事がつらいからと簡単に離職を選択しません。長く働いてくれる人が見つかれば、求人募集を繰り返し出す必要がなく、採用コストのカットにつながるはずです。

外国人労働者には適正給与の支払が必要

「外国人労働者は安価に雇える」と誤解している人が散見されます。しかし、日本の法律のもと日本企業で働くからには、外国人労働者も日本人と同じ「労働者」です。国籍による給与の違いはなく、日本人と等しく扱わなければなりません。

 

とくに近年は、技術実習で働く労働者への不平等な扱いが大きな問題として注目を集めています。外国人労働者を「安価な労働力」などと考えるのは控えましょう。モチベーション高く働いてくれる外国人労働者は、企業にとって大きな救いとなるかもしれません。採用を前向きに検討し、より良い企業作りを目指してください。

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