外国人アルバイトの採用方法や注意点とは?
介護外国人労働者 2023.08.11

目次
採用対象を外国人労働者にまで広げれば、慢性的な人手不足に陥っている企業も安定的に人材を確保できるようになるかもしれません。ただし、外国人労働者を雇用する場合、在留資格をチェックしないと法律違反になる恐れがあります。
本記事では、外国人労働者をアルバイトとして雇う方法や在留資格のチェックポイント・外国人労働者を雇用する際の注意点を紹介します。
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外国人労働者をアルバイトとして雇う流れ
外国人労働者をアルバイトとして雇うと決めた場合でも、募集から採用まではほぼ日本人を雇う場合と変わりません。
求人募集から採用まで、大まかな流れを見ていきましょう。
1. 求人を出す
まずはアルバイトを募集していることを世間に知らせるため、求人を出しましょう。応募の母数を増やすためには、「相手の知りたい情報を記載すること」「どのような人物を求めているか明確にすること」が大切です。
外国人労働者を対象に求人募集をかける方法としては、以下のものがあります。
- ハローワーク・外国人雇用サービスセンター
- 就職・転職・アルバイト情報サイト
- 自社ホームページ
- 大学や専門学校の掲示板
- タウン紙 など
数多くの媒体に求人を出したほうが、よりたくさんの応募が期待できます。ただしあまりに数を打つと採用コストが膨大になる恐れがあります。自社と相性の良さそうな方法を選び、外国人労働者を募集してください。
なお上記の「外国人雇用サービスセンター」とは、国が運営する外国人専用の職業相談、職業紹介所です。新宿(四谷・歌舞伎町)、名古屋市、福岡市、大阪市に設置されているので、近隣の企業は利用してみると良いでしょう。
2. 書類審査
募集が一定数集まったら、書類審査を行います。チェック内容は日本人のケースと同じです。学歴や職歴・住所等を確認してください。
また外国人労働者の書類審査で特に丁寧に確認すべきなのは、「在留資格」です。詳しくは後述しますが、在留資格に何らかの問題がある人はどんなに好条件だったとしてもアルバイトとして雇うことはできません。
3. 面接
在留資格に問題がないことがはっきりした人には、面接を行いましょう。提出してもらった書類を見ながら、気になる点を確認していきます。業務が接客なら日本語のレベルも重要なため、「どのくらい日本語を理解できるか」も確認してください。
また、雇用条件の確認も非常に重要です。求人募集ですでに記載していたとしても、給与や休暇・希望条件等を口頭で説明しましょう。もしかすると、応募の段階で何らかの誤解が生じているかもしれません。採用した後にトラブルにならないよう、あいまいな点を残さないようにすることが必要です。
4. 採用
採用者が決まったら、口頭・文書で通知しましょう。必要な書類を提出してもらい、雇用の手続きを行ってください。
なお、外国人労働者でも、基本的な権利・賃金・福利厚生は日本人と同じであることが労働基準法によって定められています。「残業があれば残業代を払う」「休日出勤なら休日手当を出す」等、労働基準法に則って外国人アルバイトを雇用してください。
外国人労働者をアルバイトとして雇う際必要な在留資格とは
日本において外国人労働者が就労できるのは、適切な在留資格を持っている方のみです。外国人労働者の雇用を検討している場合に、把握しておくべき「在留資格」について紹介します。
1.日本で特定の活動を行うための資格
在留資格とは、外国人が日本で何らかの活動を行うことを認めた資格の総称です。2022年9月時点では29種類あり、どの在留資格を持っているかで日本国内でできることが異なります。[注1]
なお、在留資格はしばしばビザ(査証)と混同されますが、ビザは「入国許可証」であり在留資格を定めたものではありません。管轄も在留資格は「出入国在留管理庁」ですが、ビザは「外務省」です。
2. 外国人労働者がアルバイトとして働けるのは4種類
29種類の在留資格のうち、就労の制限がないのは以下の4種類のみです。[注2]¥
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
上記はその人の属性に関わる在留資格のため、「身分系」と呼ばれるのが一般的です。
外国人労働者をアルバイトで雇うとき、上記の在留資格が記載されている場合は、問題なく雇用できます。
また「特定活動」という在留資格のうち「ワーキングホリデー」に該当する外国人も就労の制限がほぼありません。こちらも、採用の対象としてよいでしょう。ただしワーキングホリデーの在留資格を持っているのは、ワーキングホリデー協定を結んでいる国の18~30歳の国民のみです。[注3]
[注2]東京外国人雇用サービスセンター「資料一覧 在留資格一覧表」
[注3]外務省「ワーキングホリデー制度」
3.許可申請を行えば働けるケースもある
在留資格の中には、個別に許可申請を行えばアルバイトできるものもあります。
- 留学
- 家族滞在
- 継続就職活動または内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」など
すなわち外国人留学生も、許可を受ければアルバイトとして雇用することが可能です。
ただし、許可を受けるには審査があるため、必ずしも認められるとは限りません。具体的には、以下の要件が一つでも欠けていると許可を得るのは難しいでしょう。
- アルバイトが本来の目的の邪魔にならないこと
- すでに本来の目的に従事していること
- 法令違反に当たらないこと
- 風俗営業もしくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所ではないこと
- 収容令書の発付または意見聴取通知書の送達もしくは通知を受けていないこと
- 素行不良ではないこと
- どこかの機関と契約して在留活動を行っている場合は、その機関が認めていること
4. 就労できない外国人労働者をアルバイトにするとどうなる
現在の在留資格で認められた範囲を超えて働く外国人は「不法就労外国人」です。理由の如何を問わず不法就労外国人を雇った雇用主には、入管法の「不法就労助長罪」が適用されます。ペナルティの対象となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金・またはその両方が課せられる恐れがあるでしょう。[注4]
外国人労働者をアルバイトとして雇うときは、必ず在留資格の詳細をチェックしてください。
[注4]厚生労働省「不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。」
外国人の在留カードをチェックするポイント
外国人の労働者を雇用検討する際に、在留資格を確認する場合は「在留カード」を提示してもらいましょう。在留カードとは、中長期在留者として日本に滞在する外国人に交付される身分証のようなものです。
外国人の個人情報が全て記載されており、アルバイトとして雇えるかどうかを判断できます。在留カードを確認するとき、必ずチェックしておくべきポイントを紹介します。
1. 偽造の可能性を確認
まずは「その在留カードが本物か」を確認しましょう。また本物だったとしても、有効期限や在留資格が改ざんされている恐れもあります。
偽造・改ざんを確認する場合は、出入国在留管理庁が提供するスマートフォンのアプリを使い、在留カードに埋め込まれているICチップを読み取りましょう。画面に表示された在留カードと提示された在留カードの内容が同じなら、改ざんや偽造の心配はありません。うまく読み取れない場合や内容が異なっている場合は、偽造・改ざんの可能性があります。
2. 有効期限は十分か
在留資格があっても、有効期限が切れているものは無効です。在留カードの表側・最下部に、有効期限の記載があります。万が一期限が切れていた場合は、「不法滞在者」ということです。当然ながらアルバイトとして雇うことはできません。
3.就労可能か
在留カード中央部には、「就労制限の有無」という項目があります。
ここには、以下のいずれかの記載があります。
- 就労不可:裏面に記載されている資格外活動許可欄に記載があれば、条件の範囲内で可能
- 在留資格に基づく就労活動のみ可:「在留資格」の種類によっては可能
- 指定書により指定された就労活動のみ可:指定所の内容によっては可能
- 就労制限なし
コンビニなどで多く見かける留学生の在留カードは「在留資格に基づく就労活動のみ可」と書かれているのが一般的です。留学生の場合は、在留資格変更許可申請を行えばアルバイトとして雇用できる可能性があります。
外国人労働者をアルバイトで雇う際の注意点
外国人をアルバイトで雇う際は、法律に抵触しないかどうかあらゆる角度からチェックしなければなりません。
外国人の採用を検討するとき、必ず確認したいポイントを紹介します。
1. 在留資格
繰り返しになりますが、在留資格によってはそもそも就労が認められていません。外国人のプロフィールや経歴等をチェックする前に、「アルバイトとして働いてよいのか」を必ず確認してください。
2. 労働時間
身分系以外の外国人は、「条件の範囲内でアルバイト可能」となるケースがほとんどです。たとえば、アルバイトに多い外国人留学生は、「資格外活動の許可」を受けてアルバイトすることとなるでしょう。
本来の在留資格以外で許可を得て労働する場合、「留学生は1週28時間以内」「就学生は1日4時間以内」と定められています。また学校が長期休暇に入る場合でも、留学生1日8時間以内と定められているため注意しましょう。[注5]
3. 雇用条件
外国人をアルバイトとして雇用する際、日本人と差別することは許されません。給与や休暇・福利厚生等、日本人と同じ条件を設定しましょう。
外国人も日本人も労働基準法の下では同じ「労働者」です。国籍の違いを理由に差を付けることは、労働基準法に抵触します
4. 外国人雇用状況の届出
外国人を雇用した場合、アルバイト・正社員を問わず「外国人雇用状況の届出」は必要です。アルバイトとして外国人を雇用する場合、被保険者か被保険以外かで提出期限が異なります。
- 被保険者:雇い入れた日の翌月10日まで
- 被保険者以外:雇い入れた日の翌月末日まで
なお提出方法は、管轄区のハローワークに提出する方法とオンラインで申請する方法があるため、都合のよい方法を選択しましょう。
[注6]厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」
外国人労働者をアルバイトに雇う際は注意が必要
外国人労働者をアルバイトとして雇う場合は、必ず在留資格を確認しましょう。在留資格によっては、「就労不可」です。そのまま雇用してしまうと、雇用主もペナルティの対象となります。
業種・職種によっては、安定的な労働力を確保するのが難しくなっているのが現状です。採用の範囲を外国人にまで広げることが、採用コストカット・労働力の安定的な確保につながるでしょう。雇用の前の審査・面接を適切に行い、外国人労働者をアルバイトとして雇用してください。
外国人材の雇用をお考えの方へ
人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。
特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。
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