特定技能外国人の住居は企業が用意するのか?

介護特定技能 2023.08.11

特定技能外国人の住居は企業が用意するのか?

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国内企業の中には、人材確保を目的として特定技能外国人を雇用している会社も少なくありません。一定の専門性や技能を有する外国人の場合、特定技能の在留資格によって企業が受け入れることが可能です。

 

当記事では特定技能外国人の住居について、誰が準備すべきなのか、どんな条件があるのかなど、詳しく解説します。

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特定技能外国人の住居に関する支援は企業の義務

特定技能外国人を雇用するためには、事前ガイダンスや出入国に際しての送迎など10の義務的支援を行わなければなりませんが、その中の一つに「住居確保・生活に必要な契約支援」というものがあります。

 

そのため特定技能外国人を雇用する場合、受け入れ企業はその外国人が住居を確保できるように支援する義務があります。

 

基本的には特定技能外国人本人の希望を聞きながら、3つの支援方法のうち1つを実施する必要があります。それでは、3つの支援方法についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 物件探し及び賃貸契約を行う場合の補助

企業が特定技能外国人に対して行うべき支援の一つが、物件探しや賃貸契約を行う際の補助です。特定技能外国人は、日本の不動産情報や引越しの情報についてほとんど知らないことが多いでしょう。

特定技能外国人がスムーズに賃貸物件を探し、賃貸契約を結べるような支援を企業側は行います。物件探しや賃貸契約の補助として、主に次の3つのことをサポートしていきましょう。

賃貸物件に関する情報提供

特定技能外国人が初めて日本に来て働くといったケースでは、賃貸物件についての情報をほとんど知らないことが多いです。企業は特定技能外国人に対して、最寄りの不動産業者を紹介したり、適切な賃貸物件を紹介したりサポートしてください。

内見や契約時のサポート

良さそうな物件を見つけた場合、特定技能外国人と共に内見に行くことも企業が行えるサポートの一つです。特にその外国人が日本語をまだ話せないケースでは、受け入れ先の企業が人員を派遣して内見に付き添い、日本語のフォローをしたり分からないことを教えたりするのが良いでしょう。

 

さらに賃貸契約を結ぶ際にも、サポートが必要です。

賃貸契約は敷金や礼金、原状回復などの非常に細かい規定が含まれています。企業がフォローすることで特定技能外国人の疑問や懸念を解消し、不安を感じずに仕事を始められるようにしましょう。

2. 受け入れ企業が物件を借りて提供する

特定技能外国人が希望すれば、受け入れ企業が物件を借りて提供する支援の方法もあります。 特に特定技能外国人がまだ外国にいる場合、来日してすぐに住み始められるように、企業側が住居を準備しておくのが良いでしょう。

 

このケースでは、敷金や礼金は企業側の負担となります。毎月の家賃は特定技能外国人が支払わなければなりません。

 

もちろん、前もってどのような住居を希望するか外国人に尋ねてから賃貸契約を結ぶのが理想です。

この支援方法では企業が自ら賃貸契約を結ぶので、家賃滞納などのトラブルを防げるのが大きなメリットです。ただし、そのエリアの家賃相場と比べて明らかに高額な家賃だったり、家賃以上の支払いを受けて企業が利益を得ていたりすると、ペナルティが科せられるので注意が必要です。

3.社宅を住居として提供する

もし受け入れ企業が社宅や寮を所有しており、特定技能外国人がそこに住むことを希望するのであれば、住居として提供できます。

他の従業員が賃料を支払って社宅に住んでいる場合には、特定技能外国人に対しても賃料を負担させることが可能です。

 

ただし、社宅の建設費用や耐用年数、住んでいる人数などを考慮して毎月の負担額を計算し、出入国管理局に説明する必要があります。

あまりに特定技能外国人の負担が大きすぎると判断されれば、出入国管理局から指摘されることがあるので注意しましょう。

特定技能外国人の住居に関する3つのルール

特定技能外国人が住居を確保するために、企業側は支援を行う必要がありますが、住居そのものに関してもいくつかルールがあります。

 

特定技能外国人を受け入れる企業は、求められている条件を満たしている住宅かどうかも確認しなければなりません。それでは、特定技能外国人の住居に関するルールをお伝えしていきます。

1. 部屋の広さは1人あたり7.5平方メートル以上

特定技能外国人のための住居の広さは、1人あたり7.5平方メートル以上と定められています。[注1]

ただ寝られれば良いという程度の住居ではなく、最低限の生活が送れる広さが確保されていなければなりません。

ルームシェアする場合にも、同じ部屋に住む人数×7.5平方メートルの広さの物件を用意する必要があります。

 

ただし、1人あたりの面積が7.5平方メートル以上という条件には例外があります。

それは、技能実習生として使っていた部屋を本人が使い続けたいと希望した場合です。例えば日本に住んでいる技能実習生が、帰国せずに引き続き特定技能外国人として働くケースでは、引越しをせずにそのまま住み続けたいと希望するかもしれません。その場合は、そのまま住んでいただくことも可能です。

 

また、技能実習生が特定技能に変更する目的で母国に一時帰国し、部屋をそのまま残してあるケースもあります。本人が希望すれば、その部屋を使い続けられるでしょう。

しかしその場合でも、寝室は1人あたり4.5平方メートルの広さを確保しなければなりません。技能実習生のケースでは「寝室」が4.5平方メートル以上で、特定技能外国人の「居室」とは指している場所が異なるので注意しましょう。

 

[注1]  法務省「1号特定技能外国人支援計画の基準について」

2. 受け入れ企業は利益を得てはならない

特定技能外国人の住居を確保する際、受け入れ企業側が利益を得ることがあってはなりません。受け入れ企業が賃貸物件を用意したり、社宅や寮を貸したりする場合、家賃設定によっては、利益を得ているとみなされることがあります。

 

出入国在留管理庁によれば、受け入れ企業が賃貸物件を用意する場合、家賃は管理費や共益費を含む借上げにかかった費用を、入居する特定技能外国人の人数で割った金額以下でなければなりません。

さらに、社宅や寮を貸す場合、建設や改築にかかった費用や耐用年数、入居する特定技能外国人の人数などを考慮して、合理的な金額を算出する必要があります。

 

特定技能外国人を特別に優遇する必要はありませんが、受け入れ企業が不当に利益を得ていると見なされたり、特定技能外国人を搾取したりしていると見なされる家賃設定は避けるべきでしょう。出入国管理局では、徴収費用の説明や四半期報告書で、家賃の設定などをチェックしているので、指摘を受けないよう注意すべきです。

3. 自治体への届け出を必ず行う

特定技能外国人のための住居が確保できたなら、できるだけ早いうちに自治体への届け出を行うべきです。外国人は日本人と異なり、住居確定後は早急に届け出を行わないと在留資格が取り消されてしまう恐れがあります。受け入れ企業が届け出をさせることを怠っていると、不正行為を行ったと見なされてその後の特定技能外国人の雇用が難しくなるかもしれません。

 

届け出をせずにいるとデメリットしかないので、可能なら受け入れ企業の誰かが付き添って届け出をさせるとよいでしょう。住居の確保とは異なりますが、これもまた重要な特定技能外国人の支援の一部です。

特定技能外国人が住居を見つけるための任意的支援

雇用している特定技能外国人の住居の確保を支援するのは、受け入れ企業にとって義務的支援です。特定技能外国人ができる限り快適な環境で働き続けられるように取り計らわなければなりません。

 

しかし、特定技能雇用契約が終了した特定技能外国人に対しても、サポートをする任意的支援というものもあります。具体的な内容を紹介していきます。

1. 住居を確保する

特定技能雇用が終了することが決まっても、次の受け入れ先が決まるまで住居を確保するための配慮をすることが望ましいでしょう。

基本的な内容は義務的支援と同様で、日常生活が安定して続けていける支援が必要です。特定技能外国人がいきなり住居を失って路頭に迷うようなことがないように図らいましょう。

2. 契約の解除や変更を支援する

雇用が終了した場合、特定技能外国人の方は生活インフラの契約解除や変更をする必要が出てくるかもしれません。こうした契約内容の変更や契約の解除を特定技能外国人だけで行うのは難しい場合が多いでしょう。

この場合も企業側が補助を行うことが望ましいです。

必要な書類は何か、どの窓口で手続きを行うのかといったことを指導し、必要に応じて特定技能外国人に同行するなどして適切な支援を行いましょう。すでに雇用が終了するのだから支援はしない、という態度は取らないようにすべきです。

特定技能外国人の住居を確保する際の注意点

特定技能外国人の住居を確保する場合、受け入れ先の企業が覚えておくべき注意点がいくつかあります。注意点に留意しないで住居を決めてしまうと、思わぬトラブルになってしまうかもしれません。

 

では、特定技能外国人の住居を確保する際に注意すべき点について見ていきましょう。

1. 日本人従業員と同等の扱いをしなければならない

特定技能外国人を受け入れる企業が注意しなければならない点は、住居に関しても日本人の従業員と同等の扱いをしなければならないことです。当然のことですが、日本人従業員を優遇したり、逆に特定技能外国人を特別扱いしたりしてはいけません。日本人従業員が社宅を使用しており、特定技能外国人がそれを希望するのであれば、社宅を提供する必要があります。居室の大きさも、日本人従業員と同等の広さを確保しなければなりません。

 

ただし、特定技能外国人に住居における居室とは、居住や執務、作業のために継続的に使用する部屋のことを指し、ロフト等は含まれないので注意しましょう。特に特定技能外国人の場合には、1人あたりの最低の面積が決まっているので、ロフトなどを除いた面積を確認しなければなりません。

 

たとえ特定技能外国人本人が希望したとしても、居室が7.5平方メートルに満たない住居を提供してしまうと、出入国管理局から指摘される恐れがあるので注意が必要です。

2. ルームシェアにも注意が必要

特定技能外国人の住居を探す際に、ルームシェアを検討することも可能です。ルームシェアの場合、居室の1人あたり7.5平方メートルという決まりは変わりません。居室の面積をルームシェアする人数で割って、7.5平方メートル以上を確保できる物件を探しましょう。

 

さらに、ルームシェアでは複数の外国人が住まなければならないため、トラブルが生じることもあります。文化や宗教、習慣の違いによってトラブルが生じたり、特定技能外国人がストレスを感じたりするかもしれません。同居する日本人や特定技能外国人の習慣や感情に配慮しつつ、住居を提供しましょう。

 

また、ご近所トラブルにも注意しなければなりません。特定技能外国人は気付かないかもしれませんが、近所の隣人は不安を感じていることもあります。こうした支援も受け入れ先の企業が積極的に行っていく必要があるでしょう。

特定技能外国人から選ばれやすい住居のポイント

特定技能外国人の中には非常に優秀な人材も数多くおり、企業が業績を伸ばすために貢献してくれる場合も少なくありません。そんな特定技能外国人を雇用したいと思う場合、魅力的な住居を提示することで応募を増やすことも可能です。

 

特定技能外国人から選ばれやすい住居のポイントを2つみていきましょう。

1. 手取りの賃金を増やせる住居を提供する

最初のポイントは、手取りの賃金を増やせる住居を提供することです。

そのようなことができるのかと思う方もいるかもしれませんが、社宅や寮を用意すればそれが可能です。外国人は、給料から所得税などが天引きされるという制度に慣れていないため、手取りの金額を非常に重視する傾向にあります

つまり、手取りの金額が大きければ大きいほど、特定技能外国人にとって魅力的な就職先となる可能性が高いです。

社宅や寮を用意し、そこに住んで家賃を支払ってもらえば、家賃の負担分が所得税の課税対象から外れ、手取りの賃金が増えることになります。

家賃や契約内容にもよりますが、毎月数千円から数万円も自由に使える収入が増えることもあるので、特定技能外国人にとっては魅力的な企業となるでしょう。ただし、社宅や寮を持っていない企業にとっては、負担が増えることになるので注意が必要です。

2. 個室の住居を準備する

特定技能外国人にとって魅力的なもう一つのポイントは、住居に個室の居室があることです。シェアハウスなども含め、自分だけの部屋を持つことに強いこだわりを持つ特定技能外国人は少なくありません。

1人で1部屋を独占して使える住居を提供できるのであれば、ぜひ働きたいという特定技能外国人がいることでしょう。

 

というのも、特定技能外国人の中には技能実習生から技術を習得した人が多くいます。技能実習生の住居は1部屋に2名まで住むことができるので、プライバシーがないと悩んでいる技能実習生も多くいるのです。

 

さらに、1人あたりの寝室の床面積は最低で4.5平方メートルと畳3畳程度なので、特定技能外国人になったことで少しでも広い一人部屋に住みたいと強く願っている人が大勢います。[注2]

そのため、特定技能外国人の応募数も、個室の住居とシェアハウスとでは大きな違いがあります。少しでも多く、少しでも早く特定技能外国人が雇用したい場合には、個室の住居を準備するとよいでしょう。

[注2] 出入国在留管理庁・厚生労働省「技能実習制度 運用要領」

特定技能外国人への支援は委託可能

特定技能外国人の住居の準備や他の支援には多大の労力と時間がかかります。受け入れ先の企業が担当者を任命したとしても、担当者だけで行うのが難しい手続きなどもあるでしょう。

 

特定技能外国人の支援が難しい企業のために、登録支援機関があります。

登録支援機関に支援を委託すれば、出入国在留管理庁とのやり取り、特定技能外国人とのやり取りもすべて代行してくれます。時間がなかなか取れない受け入れ企業にとって頼りになる存在です。

特定技能外国人の住居は受け入れ先の企業が準備しよう

特定技能外国人の住居は、基本的に受け入れ先の企業が準備、もしくは支援を行わなければなりません。特定技能外国人の希望をヒアリングしながら、できるだけ環境の整った住居を準備し、日本での生活や仕事を少しでもスムーズに進められるようにしましょう。

外国人材の雇用をお考えの方へ

人材不足にお悩みの企業担当者に向けて、おもにネパール・インドネシアから人材を200名以上紹介してきたスキルド・ワーカーが、2019年から始まった特定技能制度や外国人紹介サービスの内容をまとめた「特定技能パーフェクトブック」を無料で配布しています。

特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。

即戦力をお探しの方、はじめての外国人材雇用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

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