特定技能受け入れ機関になるための要件を解説|必要な申請・流れとは

特定技能 2024.03.13

特定技能受け入れ機関になるための要件を解説|必要な申請・流れとは

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企業の人手不足を解消する方法の1つとして、外国人材を受け入れる特定技能という制度を活用してみましょう。特定技能とは、人材が不足しているとされる国内の産業分野において、一定の専門性や技能を持っている外国人を受け入れる制度です。特定技能制度を利用することで、人手不足を解消し、必要なスキルを持った人材の確保などが叶います。

特定技能で外国人を受け入れるためには、さまざまな準備が必要です。本記事では、外国人受け入れにあたって求められる条件や準備、外国人材に対しておこなうべき支援について解説します。

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特定技能の業種や受け入れた事例、どのような支援が受けられるかなど、外国人材の受け入れで把握しておくべき概要をすべて網羅した資料です。

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特定技能の外国人材を雇用できる企業の条件とは

特定技能とは人手不足が起きている特定産業分野において、外国人の労働者を受け入れることができる在留資格のことです。日本での就労によって培われたスキルを母国に持ち帰ってもらうことが目的である技能実習とは異なり、人手不足解消のための人材確保が目的であることから、一定の技術や知識をもつ外国人材を即戦力として雇用できる特長があります。

2019年に新設された特定技能の制度には一定の条件が定められており、業種を問わず受け入れができるわけではありません。日本国内でも特に人材不足が深刻化している産業分野が対象です。特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、1号は12分野、2号は11分野が指定されています。

特定技能1号

特定技能2号

介護

ビルクリーニング

建設

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

造船・舶用工業

自動車整備

航空

宿泊

農業

漁業

飲食料品製造業

外食業

ビルクリーニング

建設

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

造船・舶用工業

自動車整備

航空

宿泊

農業

漁業

飲食料品製造業

外食業

1号も2号も特定技能という点では同じですが、1号は特定の産業分野について一定の知識や経験を必要とする業務に従事する外国人向けの資格であり、2号は特定の産業分野について熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの資格です。

また、在留期間にも違いがあり、1号は通算5年、2号は制限なく長期にわたって働くことができます。2号の方が高いレベルの技能水準が求められますが、2号が認められると家族の帯同も可能となり、移住のような形で日本で働き続けることができます。

特定技能受け入れ機関に求められる基準や受け入れ条件

出入国在留管理庁から特定技能受け入れ機関に向けて、特定技能外国人受け入れる際のポイントという資料を発布しています。この資料によると、特定技能の受け入れ機関には以下のような基準や条件が求められています。

「受入れ機関自体が満たすべき基準」

  1. 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
  2. 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
  3. 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
  4. 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
  5. 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
  6. 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
  7. 受入れ機関が保証金の徴収等を定める契約等を締結していないこと
  8. 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
  9. 労働者派遣をする場合には、派遣元が該当分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が1〜4の基準に適合すること
  10. 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
  11. 雇用契約を継続して履行できる体制が適切に整備されていること
  12. 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
  13. 分野に特有の基準に適合すること

※ 引用:特定技能外国人受け入れる際のポイント|出入国管理庁

特定技能の外国人材を受け入れられるのは、上記の基準を満たしている企業に限られます。前述した、特定技能の制度に該当する業種においても、受け入れをする事業場が満たすべき基準に該当していない場合には、外国人材の雇用が認められません。

基準や条件には数多くの項目がありますが、ほとんどの項目には基本的なことが記されています。

例えば社会保険や税法のルールを守っていることや法令に違反していないことなどの項目については、遵守するのはそれほど難しくありません。特定技能の制度を活用する際には、給与支払いの方法や保険関係の届出など、受け入れ条件を十分に確認した上で正しい運用が求められます。

雇用契約を結ぶ基準

特定技能の外国人と雇用契約を結ぶ際の基準についても、出入国在留管理局の資料に明記されています。

「特定技能雇用契約が満たすべき基準」

  1. 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
  2. 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
  3. 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
  4. 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
  5. 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
  6. 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
  7. 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
  8. 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
  9. 分野に特有の基準に適合すること

※ 引用:特定技能外国人受け入れる際のポイント|出入国管理庁

特定技能で外国人を雇用する際の給与は、同様の業務にあたる日本人スタッフの報酬と同額またはそれ以上に設定しなければなりません。また、賞与や福利厚生に関しても同様の条件が求められます。 

ほかに、一時帰国の際の旅費は原則特定技能の外国人材が出すことになっていますが、万が一、捻出できないときに受入れ機関が負担するという点も留意しておきましょう。

 特定技能は外国人材を安い賃金で雇用できる制度だというイメージをもつ企業もあるかもしれません。ただし、特定技能外国人であっても労働基準法などの法律は同じように適用され、待遇は日本人と同等であることが非常に重要です。国籍に関係なく法律を遵守するようにしてください。

受け入れ機関に求められる支援体制

出入国在留管理庁は、在留資格「特定技能」についての資料において、外国人支援の方法や基準にも言及しています。

特定技能1号の受け入れでは、単に外国人を海外から呼び寄せて働いてもらえばいいというものではありません。母国を離れて就労にあたる外国人を手厚くサポートすることも、特定技能受け入れ機関に求められる重要な要素です。

外国人支援の体制構築にあたって満たすべきとされる基準は以下のとおりです。

「受入れ機関自体が満たすべき基準(支援体制関係)」

  1. 以下のいずれかに該当すること
    ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。以下同じ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
    イ 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
    ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
  2. 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
  3. 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
  4. 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
  5. 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
  6. 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
  7. 分野に特有の基準に適合すること

※ 引用:特定技能外国人受け入れる際のポイント|出入国管理庁

特定技能で外国人材を受け入れるときには、事業所内に支援責任者や支援担当者を置くことが求められます。どちらの役職も、特定技能外国人材と同じ作業を行う上司や役員以外から選出します。支援の中立性を担保するためです。

なお、過去2年間に中長期滞在者の管理や生活相談に従事した経験があることも、選出される条件となっています。

自社内で支援責任者や支援担当者を選出するのが難しいときには、外部の登録支援機関にサポートを依頼することになります。委託にはまとまった費用がかかりますが、特定技能外国人の受け入れノウハウをもつプロに任せられるのはやはり安心です。

登録支援機関に支援を全部委託する場合には、これらの基準を満たしていると判断されます。また、特定技能2号の在留資格の場合には、受け入れ機関が支援を行う必要はありません。

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受け入れ機関が提出する義務のある届け出

特定技能の外国人を受け入れる際には、必要な書類を揃えて正しく申請する必要があります。受け入れ機関の業種や受け入れの条件によって異なりますが、一般的には以下のような書類を準備します。

  • 特定技能雇用契約に係る届出書
  • 支援計画変更に係る届出書
  • 支援委託契約に係る届出書
  • 受け入れ困難に係る届出書
  • 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出書
  • 受け入れ状況に係る届出書(人数や活動内容、活動場所など)
  • 支援実施状況に係る届出書
  • 活動状況に係る届出書(報酬の支払い状況や報酬水準など)

これらの書類には、特定技能外国人労働者の労働条件や給与等について記載します。書類を提出したあとにむやみに労働条件を変更したり、給与額を下げたりすることはできません。

特定技能人材に対して行う支援の内容

特定技能で外国人材を雇用する場合、外国人材が安心して日本での生活・業務をおこなえるように、受け入れる企業が支援をおこなう必要があります。ここからは、外国人に対しておこなう支援について解説します。 

  1. 外国人労働者が技能試験及び日本語試験に合格する
  2. 外国人と雇用契約の締結をする
  3. 事前ガイダンス等の受講、健康診断の受診
  4. 在留資格認定証明書交付申請書の提出
  5. 在留資格認定証明書を外国にいる外国人に送付する
  6. 外国人に在留資格認定証明書の提出や査証の申請を依頼する
  7. 在留資格認定証明書の発行から3カ月以内に入国してもらう
  8. 生活オリエンテーションを行う
  9. 住民登録、住宅の確保
  10. 給与口座を開設する

 これらの準備が整えば、外国人労働者を雇用し現場で働いてもらうことが可能となります。

受け入れ機関は、雇用する外国人材に対して「事前ガイダンス」を実施する義務があります。労働条件や活動内容、入国手続、保証金徴収の有無、住居の確保に関わる支援内容など、外国人本人が把握しておくべきことを伝えておかなければなりません。ガイダンスは、対面・テレビ電話などで実施し、外国人が十分に理解することができる言語でおこなう必要があります。

また、入国時の日本の気候や服装、持参した方がよいもの、持参してはいけないものなどもあわせて説明しておくとよいでしょう。

出入国する際の送迎

外国人材が入国する際、到着する空港や港から受入れ機関の事業所(または住居)まで送迎をおこなう義務があります。また、帰国などで出国する際、出発空港の保安検査場の前まで同行し、入場を見届けなければなりません。出入国する際の送迎は、失踪をおこなう外国人を出さないための対策でもあるので、必ず実施しましょう。

住居の確保に関する支援・生活に必要な契約の支援

外国人材が住居を確保していない場合、不動産業者や賃貸物件に関する情報提供、同行による住居探しの補助など、住居の確保に関する支援をおこなう義務があります。賃貸物件契約の際に連帯保証人が必要な場合は、受け入れ期間が連帯保証人になる必要があるので注意しましょう。

また、ライフラインの契約や銀行口座等の開設など、生活に必要な契約の支援もおこなう必要があります。必要な書類の提供や窓口の案内、必要に応じて当該外国人に同行するなど、各手続きの補助を実施しましょう。

生活オリエンテーションの実施

生活オリエンテーションとは、安定的で円滑な日本生活をするための情報を提供するオリエンテーションです。日本のルールやマナー、急病時の対応、緊急時における連絡先など、円滑に社会生活をおこなうための説明を実施する必要があります。情報提供する事項の例は以下の通りです。

  • 金融機関の利用方法
  • 医療機関の利用法
  • 交通ルール
  • 交通機関の利用方法
  • 生活ルール・マナー
  • 生活必需品の購入方法
  • 気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等
  • 日本で違法となる行為の例

生活オリエンテーションも、外国人が十分に理解することができる言語でおこなう必要があるので、国籍にあわせた言語で実施するのがよいでしょう。

日本語学習の機会の提供

日本で円滑に業務をおこなったり、生活をしたりするために、日本語学習の機会の提供をおこなう必要があります。日本語教室や日本語学校の情報の提供、日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報の提供をおこない、外国人材の希望に基づいた支援をおこなうようにしましょう。

相談または苦情への対応

受け入れ機関は、外国人材から日常生活や社会生活に関する相談または苦情を受けた場合、適切に対応することが求められます。必要な指導や助言の実施や、相談・苦情の内容に対応する適切な機関の案内など、外国人材が安心して過ごせるようにサポートをおこないましょう。

これは任意ですが、外国人材が必要な手続きを直接おこないやすくするために、相談窓口の情報を一覧にして、あらかじめ手渡しておくとよいでしょう。

日本人との交流促進の支援

外国人材がいち早く日本の文化になじめるように、日本人との交流促進の支援をおこなう義務があります。地方公共団体やボランティア団体などが主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や案内をして各行事への参加の手続きの補助をおこない、交流の機会を提供するようにしましょう。

また、外国人がイベントに参加を希望した場合、業務に支障がない範囲で行事に参加できるように、勤務時間の調整や有給休暇の付与もおこなうことが推奨されています。

転職支援(受け入れ側の都合により雇用契約を解除する場合)

人員整理や倒産など受け入れ機関側の都合で特定技能外国人との雇用契約を解除する場合、外国人材が他の機関と雇用契約をして特定技能としての活動ができるように、転職の支援をおこなわなければなりません。転職先を探す手伝いや推薦状の作成、有給休暇の付与や必要な行政手続きの情報の提供を実施しましょう。

定期的な面談の実施、行政機関への通報

受け入れ機関は、特定技能外国人の労働状況や生活状況を確認するため、外国人と外国人の監督者と3か月に1回以上の定期的な面談を実施する必要があります。面談は必ず対面で直接話をするようにしてください。

面談をおこなって、長時間労働など労働基準法に違反していると思われる場合は、労働基準監督署やその他の関係行政機関に通報する必要があります。また、資格外活動や在留カードの取上げなど、その他の問題が発生した場合は、その旨を地方出入国在留管理局に通報する必要があります。

参考:1号特定技能外国人支援に関する運用要領|法務省

登録支援機関とは?

特定技能に関連がある機関に、「登録支援機関」と呼ばれるものがありますが、これは受け入れ機関とは全く別のものとなります。

受け入れ機関は特定技能を持った外国人を実際に雇用する企業や団体のことを指しますが、登録支援機関はその受け入れ機関から依頼を受けて、特定技能外国人を雇用する企業がおこなうべき支援を請け負う企業や団体のことを指します。

今回解説したように、受け入れ機関が特定技能外国人におこなうべき支援は多岐にわたり、状況によっては受け入れ機関の負担が大きくなることも予想されます。その負担を軽減するために、登録支援機関はサポートの役割を担っているのです。

登録支援機関は、地方出入国在留管理局へ登録申請書と手数料納付書を送ることで申請ができますが、特定技能外国人に対する支援の全てをこなせる環境が整っている必要があるため、一定の条件が求められます。登録の要件は以下の通りです。

  • 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
  • 以下のいずれかに該当すること
    • 登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に中長期在留者(就労資 格に限る。)の受入れ実績があること
    • 登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に報酬を得る目的で,業として,外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
    • 選出された支援責任者及び支援担当者が,過去5年間に2年以上中長期在留者  (就労資格に限る。)の生活相談業務に従事した経験を有すること
    • 上記のほか,登録支援機関になろうとする個人又は団体が,これらと同程度に支 援業務を適正に実施できると認められていること
  • 外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していること
  • 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
  • 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
  • 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行っていないこと

※引用:登録支援機関登録の要件|出入国在留管理庁

特定技能受け入れ体制を整えよう

特定技能外国人の受け入れ機関には多くの基準が求められ、雇用するにはさまざまな手続きや準備が必要です。

特定技能外国人の受け入れを検討している場合は、特定技能の制度に関して理解を深めておくことが大切です。記事内で紹介した基準や要件をよく確認して、スムーズな受け入れが行えるよう準備をすすめましょう。

もし、「自社で特定技能外国人の支援が本当にできるか心配」という場合は、おこなうべき支援を請け負ってくれる登録支援機関に依頼するのもおすすめです。スムーズに特定技能外国人の雇用がおこなえるように、登録支援機関への依頼も検討してみましょう。

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