【在留資格まとめ】外国人雇用を行う企業が知っておきたい就労ビザについて解説

外国人労働者 2023.08.11

【在留資格まとめ】外国人雇用を行う企業が知っておきたい就労ビザについて解説

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外国人労働者を雇用する場合、必ず確認しなければならないのが「在留資格」です。日本に長期滞在する外国人は、必ず何らかの在留資格が与えられています。中には就労できないものもあり、全ての外国人が日本で仕事につけるわけではありません。

在留資格をチェックせずに外国人労働者を雇用してしまうと出入国管理及び難民認定法(入管法)に抵触し、雇用者もペナルティを課せられる恐れがあります。本記事では、在留資格の概要や就労可能あるいは不可能な在留資格を詳しく紹介します。

在留資格の確認方法についてもまとめていますので、併せて確認してください。

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在留資格とは

外国人を雇用したことがないと、「在留資格」の重要性が実感できないかもしれません。そもそも在留資格とはどのようなもので、何のために必要とされるのでしょうか?

在留資格の概要について紹介します。

外国人が日本に滞在するために必要な資格

日本は移民を認めていない国です。外国人が日本に長期滞在したり就労したりするためには特別な資格が必要となります。すなわち在留資格とは、外国人が日本国内に滞在し何らかの活動・労働を行う際に必要となる資格です。

在留資格は、入国目的・内容に合わせて異なります。1人の外国人につき一つだけと決まっており、複数の在留資格をまたいで取得することはありえません。どの在留資格を所持しているかで日本で許可される活動・期間は大きく異なります。

なお在留資格についてのルールは、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」によって厳密に規定されています。

在留資格によって就労の可否・内容が変わる

入管法によって認められている在留資格の種類は、2022年時点で30種類以上あります。種類は「活動内容に基づく在留資格」「身分に基づく在留資格」に大別できます。

参考:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」

このうち身分に基づく在留資格には、就労の制限がありません。この在留資格を所持している外国人は、日本人とほぼ同様に、どんな仕事・アルバイトにも従事できます。

一方で活動内容に基づく在留資格は、「定められた内容についてのみ就労可能」「申請の後許可が下りれば就労可能」「就労不可能」に分類されます。

「申請の後許可が下りれば就労可能」に該当する在留資格以外は、基本的に労働は認められていません。アルバイトとして外国人を雇う際は、「就労可能かどうか」を適切に判断してください。

また「申請の後許可が下りれば就労可能」の在留資格も、必ず許可が下りるとは言い難いのが現状です。

就労できない在留資格の外国人を雇った場合のペナルティ

就労できない在留資格の外国人を雇用した場合、雇用主は「不法就労助長罪」に問われる恐れがあります。有罪となれば「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその両方」が課せられるため注意してください。

外国人と接触する機会がない雇用主は、そもそも在留資格について知らないこともあるでしょう。

しかし、外国人労働者を雇う際の事前確認は雇用主の義務とされています。外国人の在留資格について「知らなかった」は通用しません。必ず詳細を確認するようにしてください。

参考:警視庁「外国人の適正雇用について」

就労が可能な在留資格一覧

在留資格のうち、特定の内容に限り就労が可能なものは以下のとおりです。どのような在留資格があるのかを確認してみましょう。

在留資格

従事可能な活動

具体的な職業例

在留期間

外交

外交使節と同様の特権・免除を受ける者、またはこれらの者と同一の世帯に属する家族としての活動

外国政府の大使や公使・その家族

外交活動期間中

公用

日本政府の承認した外国政府・国際機関の公務に従事する者またはその者と同一の世帯に属する家族としての活動

外国政府の大使館や領事館の職員・その家族

5年、3年、1年、3月、30日、15日

教授

大学または大学に準ずる機関・高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動

大学や専門学校の教授・研究者

5年、3年、1年、3月

芸術

商業的な音楽,美術,文学その他の芸術上の活動

大学または大学に準ずる機関・高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動

作曲家・小説家、音楽・美術・文学の仕事に従事する者

5年、3年、1年、3月

宗教

外国の宗教団体から派遣された宗教家の布教・その他の宗教上の活動

布教や宗教活動を行う者

5年、3年、1年、3月

報道

外国の報道機関との契約に基づいて行う取材・その他の報道上の活動

外国の報道機関の記者,カメラマン

5年、3年、1年、3月

高度専門職第1号イ

日本の公私の機関との契約に基づいて研究・研究の指導・教育をする活動

専門分野と関連する事業を自ら経営する活動

当該機関以外の日本の公私の機関との契約に基づき研究・研究の指導・教育をする活動

高度ポイント制度にて一定のポイントを獲得した者

5年

高度専門職第1号ロ

日本の公私の機関との契約に基づいて自然科学・人文科学の分野に従事する活動

関連事業を自ら経営する活動

高度ポイント制度にて一定のポイントを獲得した者

5年

高度専門職第1号ハ

日本の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行う活動

当該事業の管理に従事する活動

当該活動と併せ関連事業を自ら経営する活動

高度ポイント制度にて一定のポイントを獲得した者

5年

高度専門職第2号

1号を取得済みの人

法務省令の定める基準をクリアした、日本の利益に資する活動

高度ポイント制度にて一定のポイントを獲得した者

無期限

経営・管理

貿易その他の事業の経営をまたは当該事業の管理に従事する活動

企業等の経営者・管理者

5年、3年、1年、3月

法律・会計業務

外国法事務弁護士,外国公認会計士・その他法律上資格を有する者が行うこととされている、法律又は会計業務に従事する活動

弁護士・行政書士公認会計士等

5年、3年、1年、3月

医療

医師,歯科医師・その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療業務に従事する活動

医師・歯科医師・看護師

5年、3年、1年、3月

研究

日本の公私の機関との契約に基づき研究を行う業務に従事する活動

政府関係機関や私企業等の研究者

5年、3年、1年、3月

教育

各種学校もしくはこれに準ずる教育機関において、語学教育・その他の教育をする活動

中学校・高等学校等の語学教師等

5年、3年、1年、3月

技術・人文知識・国際業務

公私の機関との契約に基づいて行う理学・工学その他の自然科学の分野や、

法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務に従事する活動

外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する活動

機械工学等の技技術者・通訳・法律家・企業の語学教師・マーケティング業務従事者等

5年、3年、1年、3月

企業内転勤

日本に本店,支店がある外国にある事業所の職員が、日本の事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う活動

外国の事業所からの転勤者

5年、3年、1年、3月

興行

演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動

俳優・歌手・ダンサー・プロスポーツ選手等

3年、1年、6月、3月、15日

技能

機関との契約に基づく、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

外国料理の調理師・スポーツ指導者・貴金属の加工職人等

5年、3年、1年、3月

技能実習第1号イ

日本の公私の機関の国外事業所の職員、または日本の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の国外事業所の職員が、雇用契約に基づいて日本の事業所の業務に従事して技能等の修得活動

技能実習生

 

法務大臣が個々に指定する期間(1年以下)

技能実習第1号ロ

法務省令で定める要件に適合する、非営利団体の受け入れで行う知識の修得

当該団体の策定した計画に基づき,日本の公私の機関との雇用契約に基づいて行う技能等の修得活動

技能実習生

法務大臣が個々に指定する期間(1年以下)

技能実習第2号イ

1号イに掲げる活動に従事して技能等を修得した者

より習熟するため,法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて業務に従事する活動

技能実習生

法務大臣が個々に指定する期間(1年以下)

技能実習第2号ロ

1号ロに掲げる活動に従事して技能等を修得した者

より習熟するため,法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて業務に従事する活動

技能実習生

法務大臣が個々に指定する期間(1年以下)

特定技能1号

日本の公私の機関との雇用契約に基づいて行う、知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動

特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を要する技能を要する業務に従事する外国人

1年、6月、4月(最長通算5年)

特定技能2号

日本の公私の機関との雇用契約に基づいて行う、熟練した技能を要する業務に従事する活動

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人

3年、1年、6月

特定活動

法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動

外交官等の家事使用人・ワーキング・ホリデー・経済連携協定に基づく外国人看護師等

5年・4年・3年・2年・1年・6月・3月または法務大臣が個々に指定する期間(5年以下)

 

特定活動の一部については就労が認められていないものがあります。

また特定技能1号は、就業できる職種が限定的です。基本的には現状日本で人手が足りないとされている業種(介護・飲食店)でのみ就労できます。

参考:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」

就労できない在留資格一覧

在留資格の中で、就労が認められていない資格は以下のとおりです。

在留資格

従事可能な活動

具体的な職業例

在留期間

文化活動

収入を伴わない学術上・芸術上の活動

日本文化・技芸についての専門的な研究・専門家の指導を受けて修得するための活動

日本文化の研究者等

3年、1年、6月、3月

短期滞在

日本に短期間滞在して行う観光・保養・スポーツ・親族の訪問・見学・講習・会合への参加・業務連絡・これらに類似する活動

観光客,会議参加者等

90日、30日、15日以内の日を単位とする期間

留学

日本の各種学校・設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動

大学・短期大学・高等専門学校・高等学校・中学校・小学校等の学生・生徒

4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月、3月

研修

日本の公私の機関により受け入れられて行う、技能等の修得をする活動

研修生

1年、6月、3月

家族滞在

「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」「文化活動」「留学」の在留資格を外国人の扶養を受ける配偶者・子どもとして行う日常的な活動

在留外国人が扶養する配偶者・子

5年、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月、3月

 

参考:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」

上記に該当する外国人は「資格外活動許可」を申請すれば、就労可能となるケースがありますが、短期滞在の在留資格については、本来資格外活動許可の対象外です。

ただし新型コロナウイルスの影響により、やむを得ず短期滞在の在留資格で日本に留まっている外国人については、特例により資格外活動許可の申請が認められています。

就労制限のない在留資格一覧

下記にある在留資格を取得している外国人は、就労の制限がありません。日本人と同様に、自由に職業を選択できます。

これらの在留資格は「活動内容」ではなく「身分」に基づいて与えられた在留資格であるため、一般的には「身分系」と呼ばれます。

在留資格

従事可能な活動

具体的な職業例

在留期間

永住者

法務大臣が永住を認める者

法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く)

無制限

日本人の配偶者等

日本人の配偶者・特別養子または日本人の子として出生した者

日本人の配偶者・子・特別養子

5年、3年、1年、6月

永住者の配偶者等

永住者等の配偶者または永住者等の子として日本で出生、日本に在留している者

永住者・特別永住者の配偶者および日本で出生し引き続き在留している子

5年、3年、1年、6月

定住者

法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者

第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等

5年、3年、1年、6月、または法務大臣が指定する期間(5年以下)

 

参考:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」

在留資格を確認する方法

外国人と雇用契約を結ぶ前に、雇用主は必ず在留資格を確認しなければなりません。このとき、相手の在留資格を把握するための手掛かりとなるのが「在留カード」です。日本に滞在する外国人は、必ず在留カードを持っています。

このカードを見れば、雇用を検討している外国人がどのような資格内容で日本に滞在しているのかが分かるでしょう。

在留資格のチェックに有益な、在留カードと確認すべきポイントを紹介します。 

在留カードとは

在留カードとは、日本での「中長期滞在者」に発行されるカードです。カードには氏名・生年月日・性別・国籍・地域・住居地・在留資格・在留期間・就労の可否などが記載されており、個人情報が一目で分かるようになっています。16歳以上の外国人の在留カードには顔写真も貼付されています。

外国人は常に在留カードを携行し、必要があれば提示しなければなりません。

中長期滞在者には、以下の条件に該当しない外国人全員が当てはまります。「3月」以下の在留期間が決定された人

  • 「外交」または「公用」の在留資格が決定された人
  • 特別永住者
  • 「短期滞在」の在留資格が決定された人
  • 特定活動」の在留資格が決定された、台湾日本関係協会の日本事務所(台北駐日経済文化代表処等)の人
  • 駐日パレスチナ総代表部の職員またはその家族
  • 在留資格を有しない人

 

参考:出入国在留管理庁「知っておきたい!!在留管理制度あれこれ」

在留カードアプリでチェック

在留カードを提示されたときは、「偽造ではないか」という点を念のため確認しておくのが良いでしょう。偽造された在留カードを見破るためには、出入国在留管理庁が提供している「在留カード等読取アプリケーション」を使用する方法があります。在留カードにはICチップが埋め込まれており、在留カードを発行した時点の情報がそのまま記録として残されています。アプリを使って発行当時の在留カードを表示させれば、現在のカードが改ざんされていないか・本物なのかが判断できる仕組みです。

万が一アプリ上にエラーが出たり、記載内容が変わっていたりした場合、不法滞在者である可能性があります。

ひとまず雇用は避け、最寄りの地方出入国在留管理官署に連絡しましょう。

なお「在留カード等読取アプリケーション」は以下の出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。            

|出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション サポートページ」

 

ここからは提示された在留カードをどのようにチェックすべきか、ポイントを紹介します。

在留カードで見るべきポイント①在留資格

在留資格は、在留資格カードの左側に記載されています。

一覧表と照らし合わせて、雇用可能な在留資格かどうかを判断してください。

在留カードで見るべきポイント②就労制限の有無

就労制限の有無の項目は、中央部分の目立つ場所にあります。

「就労制限なし」とあれば、雇用上の問題はありません。一方「就労不可」では雇用できませんが、裏面の資格外活動許可欄に「許可」と記載されていれば、その条件付きで雇用可能です。

このほか「在留資格に基づく就労活動のみ可」とあった場合は、在留資格で認められた活動に関連する場合のみ就業できます。

在留カードで見るべきポイント③在留期間・有効期間

在留期間・有効期間には、その外国人の日本滞在の満了日が記載されています。満了日まで残りが少ない場合は、在留期間の更新手続きが必要です。

万が一有効期間が切れている場合は、不法滞在ということになります。         

【まとめ】

在留資格の種類を理解しよう

採用や雇用の募集をかけてもなかなか人が集まらない企業にとって、外国人労働者は非常に魅力的な人的リソースです。しかし法律の定めを理解しないままに雇用してしまうと、入管法に抵触してしまいます。

外国人を雇用する際は、「在留資格」を事前にしっかりとかくにんするようにしまsy

在留資格はさまざまありますが、就労可能なものは多くありません。雇用契約を結ぶ前に、自社で雇っても問題ないかどうか必ず明確にしましょう。

 

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