【解説】特定技能の二国間協定とは?

特定技能 2023.08.11

【解説】特定技能の二国間協定とは?

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特定技能は、2019年4月に新しく設けられた新しい在留資格です。

特定技能を持った外国人労働者を、円滑に受け入れ・送り出すために、日本と各国で協定が締結されるようになりました。

2022年9月時点で、特定技能の二国間協定が締結されている国は15カ国となっています。[注1]

そのなかには、特定技能の外国人労働者の約60%となっているベトナムも含まれています。[注2]

 

本記事では、特定技能の二国間協定を徹底解説していきます。

ベトナムを含め、特徴的な手続きやルールなども紹介しているので、外国人労働者を受け入れている企業は、本記事でしっかりと理解しておきましょう。

 

[注1]出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」

[注2]厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」

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特定技能の二国間協定とは?

協定技能の二国間協定とは、外国人労働者を受け入れる日本と、送り出した国との間に交わす取り決めです。

 

日本では外国人労働者の受け入れが年々増加しており、その需要は高まりつつあります。実際に、出入国在留管理庁が発表した調査では令和元年に外国人労働者数が過去最高記録を更新しました。[注3]

昭和元年と比較すると、外国労働者数は増加傾向にあり、現在は約2倍の外国人労働者が日本の企業を支えています。

上記のように、外国人労働者の受け入れが日常的になっているなか、各国とルールを明確に定めることで、労働者の受け入れと送り出しを円滑に行なっています。

2022年9月時点で、日本と協定を結んでいる国は、15カ国であり、2021年と比較すると3カ国増えています。

 

補足として、二国間協定を締結していない国から外国人労働者を受け入れることも可能ですが、手続きや申請が協定を結んでいない国と比べるとより複雑で難易度の高いものとなります。

 

[注3]出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」

 

二国間協定の目的と必要性

特定技能の二国間協定は、大きく分けて下記3つの目的を実現するために締結されました。

  • 特定技能外国人の円滑かつ適正な送り出し・受け入れをするため
  • 特定技能外国人の保護するため
  • 両国の相互利益の強化するため

 

そもそも特定技能は、2019年4月に設けられた新しい在留資格です。特定技能制度を設けたことで、単純労働とみなされている業種においても外国人の就労が認められるようになりました。

 

そのため介護や建設など、現在日本で人材不足となっている業種で、外国人労働者が活躍できる場がより増えるように。出入国在留管理庁の発表した資料によると、令和4年の時点で特定技能在留外国人は約87,000人ほど日本におり、今後さらに増加する可能性が高いです。[注4]

 

[注4]出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」

 

 

その一方で外国人労働者の日本での労働環境は、明確な制度が確立されておらず、曖昧な部分がありました。そのため、悪質なブローカーによって、外国人労働者が過剰労働をさせられたり、賃金を未払いにされたり、ひどい扱いをされていたケースも少なくありません。

 

上記の事例があったことも踏まえて、年々増加する外国人労働者を円滑・適正に送り出す・受け入れを行い、保護することを目的に、特定技能の二国間協定が締結されました。特定技能の二国間協定が締結されたことで、外国人労働者がより日本で働きやすくなっただけでなく、両国にとっての相互利益の強化に繋がりました。

二国間協定を締結している国と手続き方法

特定技能の二国間協定を締結している国は下記15カ国です。[注5]

フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド、マレーシア、ラオス

協定内容は統一されておらず、国ごとに協定内容や手続きが異なります。

受け入れ予定の外国人材の国との協定内容は、企業も必ず確認しておきましょう。

[注5]出入国管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」

 

特徴的な手続きやルールがある協定国

前述したとおり、協定内容は統一されておらず、国ごとに協定内容や手続きが異なります。本章では、特定技能の二国間協定のなかで、とくに特徴的な協定国の手続きやルールを解説していきます。

 

特徴的な手続きやルールがある協定国は下記の通りです。

  • ベトナム
  • フィリピン
  • インドネシア
  • タイ
  • ミャンマー

それぞれの手続きやルールを理解し、該当する国の外国人労働者をスムーズに受け入れられるように準備しておきましょう。

ベトナム

ベトナムは、日本で働く特定技能人材のなかでも最も割合が多いです。

実際に出入国在留管理庁の発表した資料によると、特定技能の外国人労働者の約60%はベトナム人であると分かります。[注6]

 

企業側が外国人を受け入れる際に、ベトナムからの人材であるケースが多いため、手続きなどのルールを覚えておくと良いでしょう。

ベトナム人を労働人材として受け入れる場合は、認められている送り出し機関を介する必要があります。

送り出し機関を通じて、下記が行われます。

  • ベトナム人:送り出し機関を通して働ける日本拠点の企業を探す
  • 日本企業:送り出し期間を通してベトナム人の求人を出す

この際、日本企業はベトナムの管理局であるDOLAB(労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局)または大使館に推薦者表交付の申請を行わなければいけません。

上記どちらかに申請後、政府の承認一覧に企業名が記載されたあと、ベトナムからの人材を受け入れられます。

[注6]出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」

 

フィリピン

フィリピンから外国人労働者を6名以上受け入れる場合、フィリピン現地の海外労働事務所が認めている認定送出機関を経由して手続きを行う必要があります。

 

また、フィリピンの労働人材を雇用する場合は、下記2つで申請手続きをする必要があります。

  • 駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO)
  • 海外雇用庁(POEA)

まず、企業側はPOLOに必要書類を提出して申請を行います。

POLOでの申請が終了したら、POEAで特定技能所属期間として登録されます。

上記の手続きが完了すれば、フィリピン人材の採用活動が可能です。

日本で働く予定のフィリピン人はPOEAで、海外雇用許可証(OEC)を取得しましょう。OECは、フィリピンを出国する際に提示する必要があります。

インドネシア

インドネシアは、日本で働く特定技能人材のなかでもベトナムの次に割合が多いです。

実際に出入国在留管理庁の発表した資料によると、特定技能の外国人労働者の約10%はインドネシア人であると分かります。[注7]

[注7]出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」

10人に1人はインドネシアを受け入れる可能性があるため、ベトナムと同様に企業側は手続きなどのルールを覚えておくと良いでしょう。

インドネシアから人材を雇用する場合は、インドネシア政府が管理している労働市場情報システム(IPKOL)への登録が推奨されています。

労働市場情報システムを通して、日本企業とインドネシアの求人者の意向が一致した場合、雇用契約を結ぶことができます。

雇用予定となったインドネシアの人材は、インドネシア政府が管理する海外労働者管理システム(SISKOTKLN)に登録し、ID番号を取得しておきます。

海外労働者管理システムに登録後、移住労働者証(E-KTKLN)を受け取りましょう。

その際、企業側は在留資格認定証明書を申請し、交付された証明書を、対象となるインドネシアの人材へ送付します。

証明書を受け取った人材は、移住労働者証と在留資格認定証明書をインドネシアにある日本国大使館・総領事館に提出し、ビザ申請を行います。

タイ

タイの人材受け入れは、タイの労働省が認定する送り出し機関を経由する以外に、直接雇用も認可されています。

しかし、現地での求人活動が行えないため注意しましょう。

タイの労働省が認定する送り出し機関を経由する場合は、まず先に在日タイ大使館労働担当官事務所の認証を受け、雇用契約書を在留資格申請時に提出してから雇用契約を締結します。

直接雇用する場合は、雇用契約を締結してから、在日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書と在留資格認定証明書を提出しましょう。

ミャンマー

ミャンマーの人材を雇う場合は、ミャンマーの政府から認定を受けている現地の送り出し機関を通す必要があります。

日本企業で雇用予定のミャンマーの人材は、送り出し機関と雇用契約の締結をし、ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)に海外労働身分証明カードを申請する必要があります。

受け入れ予定の外国人労働者の出身国との二国間協定は把握しておきましょう

協定技能の二国間協定とは、外国人労働者を受け入れる日本と、送り出した国との間に交わす取り決めです。

 

特定技能の二国間協定は、大きく分けて下記3つの目的を実現するために締結されました。

  • 特定技能外国人の円滑かつ適正な送り出し・受け入れをするため
  • 特定技能外国人の保護するため
  • 両国の相互利益の強化するため

年々増加する外国人労働者を円滑・適正に送り出す・受け入れを行い、保護することを目的に、特定技能の二国間協定が締結されました。

特定技能の二国間協定が締結されたことで、外国人労働者がより日本で働きやすくなっただけでなく、両国にとっての相互利益の強化に繋がったと言えるでしょう。

 

2022年9月時点で、日本と協定を結んでいる国は15カ国となっています。

2021年と比較すると3カ国増えていることから、今後もますます協定国が増えてくることが予想されます。

 

協定内容は統一されておらず、国ごとに協定内容や手続きが異なってきます。受け入れ予定の外国人材の国との協定内容は、企業も必ず確認しておきましょう。

 

 

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