日本で働く外国人労働者の賃金は安い?平均賃金や賃金を決める際の注意点を解説

外国人労働者 2025.01.27

日本で働く外国人労働者の賃金は安い?平均賃金や賃金を決める際の注意点を解説

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外国人材の採用・雇用は、人手不足を解消する手段として注目されていますが、賃金に関するルールや待遇の条件などが難しく、「なかなか踏み出せない」という企業も少なくありません。

労働力不足が深刻な日本では、外国人材の力は必要不可欠です。しかし、受け入れを検討する際は、外国人材が満足する賃金や労働条件を与えることが重要となります。不利益な状況を与えることは、労働意欲の低下や企業に対する不信感などにつながってしまいます。

本記事では、外国人労働者の平均賃金や賃金を決める際の注意点などについて解説します。

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日本で働く外国人労働者の平均賃金は?

外国人材を受け入れる場合、国籍に関係なく、日本人と同じ条件で受け入れることが求められます。これは外国人材にも最低賃金法や労働基準法が適用されるためです。

しかし、実は日本で働く外国人労働者の賃金は、日本人より低いのが実態です。

日本人の平均賃金とは差がある

厚生労働省の調査によると、外国人労働者の賃金は月額232,600円(平均年齢33.3歳)です。日本人の賃金は月額286,000円(年齢階級30〜34歳)なので、日本人に比べて外国人労働者の賃金は低いことがわかります。

外国人材にも最低賃金法や労働基準本が適用されるため、賃金を低く支払うことは絶対にしてはいけません。ではなぜ、約5万円ほどの差があるのでしょうか?

これには次項で紹介する、在留資格が関係しています。

在留資格ごとにも差がある

厚生労働省の調べによれば、在留資格によっても平均賃金に顕著な差が存在しています。以下は在留資格区分別の賃金です。

在留資格区分

賃金

平均年齢

外国人労働者計

232,600円

33.0歳

専門的・技術的分野(特定技能を除く)

296,700円

31.8歳

特定技能

198,000円

28.9歳

身分に基づくもの

264,800円

44.7歳

技能実習

181,700円

26.2歳

その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)

231,300円

30.8歳

※参照:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|在留資格区分別にみた賃金

在留資格区分別に見ると、最も賃金が高いのが「専門的・技術的分野(特定技能を除く)」で月額296,700円、最も低いのが「技能実習」の月額181,700円と、同じ外国人労働者でも約11万円以上の差があることがわかります。

これだけ差がついているのは、在留資格ごとの仕組みに問題があると言われています。

技能実習は、日本で業務をおこなうことで知識や技術を身に着け、母国に持ち帰って経済発展に役立てていく国際貢献の推進が目的の制度です。もっとも賃金が低い水準ですが、この原因には技能実習生を受け入れる企業が監理団体を介していることが挙げられます。

監理団体や送出機関は最低賃金を基準にしており、受け入れ後の企業変更が原則不可であるため、技能実習生は不利な労働環境・立場に置かれがちです。そのため技能実習生は賃金を低く抑えられる傾向にあるのです。

また、「身分に基づくもの」は比較的高い賃金ですが、実は賃金の格差が大きい在留資格です。この資格を持つ人たちは原則としてどの職種にもつくことが可能ですが、多くが製造業やサービス業に従事しています。これらは比較的単純作業が多いため、昇給の可能性が低い職種となっているのです。せっかく就業可能な範囲が広いにもかかわらず、実際には低賃金の仕事に就くことが多いため、賃金の差が生じています。

なぜ外国人労働者は安い賃金でも働いているのか?

不利な労働環境・立場に置かれがちですが、それでも日本を出稼ぎの場として選ぶのには理由があります。

それは、彼らにとっては自国で働くよりも多く稼げる給与水準であるためです。来日している外国人労働者の多いベトナムやインドネシア、フィリピンは、日本に比べると非常に給与水準が低いです。そのため、日本は高収入を安定的に得られる魅力的な出稼ぎ場となっており、母国を離れて就労したい人が多くなっているのです。

また、日本の治安のよさも日本で働きたいと感じる理由の1つです。日本は世界的にみても犯罪が少なく、ルールや社会規範を遵守する意識が高い国です。日本であれば、生活も仕事も安定して過ごせるため、日本での就労は外国人材にとって非常に魅力的なのです。

安い賃金で雇用し続けるリスク

しかしそれでも、安い賃金で雇用し続けるのにはリスクがあると言えるでしょう。

現在の賃金で満足している人も多いですが、日々おこなっている業務に対して賃金が見合っていないと感じると、労働意欲の低下や企業に対する不信感などにつながってしまいます。

また、外国人たちは「たくさん稼ぎたい!」というハングリーな面もあります。そのため、自分の働きに対しての賃金が少ないと感じれば、離職や転職を検討するケースが多くなります。特定技能は転職が許可されているため、今より賃金が増える好条件な企業があると転職してしまうおそれがあるので注意が必要です。

外国人労働者の賃金を決める際の注意点

さまざまな産業で人手不足が深刻になっているなか、外国人材は不可欠な存在となりつつあります。しかし活躍してもらうためには、満足する賃金や労働条件を与えることが重要です。ここからは賃金を決める際の注意点について解説します。

最低賃金法が適用される

最低賃金法とは、雇用主が労働者に対して支払わなければいけない賃金の最低額を定めた制度です。最低賃金を満たしていない給与は違法となります。

最低賃金法は国籍に関係なく、外国人労働者にも適用されます。そのため外国人材を雇用する際にも最低賃金以上の給与を支払う義務があるということを理解しておきましょう。

日本人と同等の賃金で雇用する

国籍に関係なく最低賃金が適用されるように、労働条件や待遇なども日本人従業員と同じ基準である必要があります。

一部の企業では、外国人労働者を「安い賃金で利用できる」と考えて不当に雇用しているケースもありますが、国籍にかかわらず法律は遵守しなければいけないので注意しましょう。

割増賃金についても定めておく

時間外労働や休日労働に対する割増賃金についても定めておくようにしましょう。割増賃金の支払いも、労働基準法に基づいて日本人労働者と同等におこなう必要があります。

外国人労働者のなかには残業などを積極的におこなってたくさんお金を稼ぎたい人材も少なくありません。時間外労働や休日労働に対する割増賃金についてしっかり定めておけば、外国人労働者にとってかなり魅力的です。

雇用内容についてしっかりと説明をおこなう

外国人材を受け入れる際は、事前に賃金や待遇についてしっかりと説明をして、お互いに納得したうえで採用・雇用をおこないましょう。

外国人材は、労働条件をあまり理解していなくても理解したつもりになっていることがあります。後々トラブルにならないように、詳しく雇用内容を伝えて理解させることが重要です。そのためには、国籍に合わせた母国語で作成した雇用契約書・労働条件通知書を用意し、正しく理解するまで時間をかけて確認することが大切です。

福利厚生を充実させておく

賃金だけでなく、福利厚生を充実させておくことも満足度に影響します。社会保険や退職金、賞与、健康保険など、安心して就労できるような環境を整えてあげましょう。

また、業務に限らず、住居の準備や家賃負担、食事補助、家具・家電の準備など、生活におけるサポートをおこなうのも効果的です。まだまだ日本に慣れていない外国人材は、どのように日本で生活していけばいいか分からず、必要なものを自分で準備するとなるとかなり大変です。安心できる生活環境を整えてあげることで、業務上でも力が発揮できるようになるでしょう。

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まとめ

労働力不足が深刻な日本では、外国人材の力は必要不可欠です。しかし、受け入れを検討する際は、外国人材が満足する賃金や労働条件を与えることが重要となります。外国人材が安心して業務に取り組んだり、日常を過ごせたりするように、充実した賃金・待遇を準備しましょう。

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