外国人材が退職する際の手続き一覧!ハローワークや入国管理局への届出も解説
外国人労働者 2024.10.22
外国人材が退職する際は正しく手続きをおこなわなければいけません。基本的には日本人と同様の手続きとなりますが、一部外国人材特有の手続きが必要となります。
外国人材本人におこなってもらうこともありますが、外国人材は手続きや流れについて知識がないケースが多いので、企業側がしっかりと管理・サポートをおこなう必要があるでしょう。
本記事では、外国人材が退職する際に企業がおこなう手続き・外国人材本人がおこなう手続き、そして注意すべきポイントについて詳しく説明します。
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企業がおこなう手続き
外国人材が退職する際には、以下の手続きを行う必要があります。
- 日本人と同じ退職手続き
- ハローワークへの届け出
- 退職証明書の発行
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日本人と同じ退職手続き
原則として、次のような日本人と同様の手続きを行います。
- 健康保険証の回収:退職日までに健康保険証を回収し、社会保険の脱退手続きを進めます。
- 雇用保険の離職票の発行:ハローワークに「離職証明書」を提出後、ハローワークから送付される離職票を退職者に渡します。
- 源泉徴収票の交付:最後の給与支給後に、退職者へ源泉徴収票を発行します。
- 住民税の未納分手続き:「給与所得者異動届出書」を自治体に提出して、住民税の残額について支払い手続きを行います。
企業によっては、制服やロッカーキーなど貸与品の回収、転職後の守秘義務を誓約させる誓約書の提出など、社内のルールに則って手続きをおこなってください。
ハローワークへの届け出
外国人材が退職する際には、ハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出しなければいけません。退職日の翌日から10日以内に提出することが求められているため、期限に注意しましょう。
退職証明書の発行
外国人材から退職証明書の発行を求められた場合、退職時に発行・交付をおこなわなければいけません。退職証明書は、転職先での入国管理局への提出や、海外での就職に必要となります。労働基準法第22条に基づいて、企業が正しく発行しなければいけません。
発行する際の注意点として、退職者が求めていない事項を記入してはいけません。退職者が記載を希望した事項のみを記載するようにしましょう。一般的に退職証明書に含まれる情報は、以下の通りです。
- 雇用期間
- 担当業務の種類
- 在職中の役職
- 給与
- 退職理由(解雇理由がある場合)
外国人材本人がおこなう手続き
これまでに企業側が行う手続きについて説明してきましたが、次は外国人材自身が行うべき手続きについて解説します。
- 出入国在留管理庁への届出
- 在留資格の更新・変更
それぞれ詳しく見ていきましょう。
出入国在留管理庁への届出
外国人材が退職や転職をおこなう際、受け入れ機関の所在地を管轄する出入国在留管理庁へ報告をおこなわなければいけません。退職後14日以内に「契約機関に関する届出」を提出しなければなりません。届出は、インターネットもしくは郵送での手続きとなります。
在留資格の更新・変更
在留資格の有効期限が短くなっていたり、転職後の職種が既存の在留資格で許可されていなかったりする場合は、在留資格の更新・変更が必要となります。
原則外国人材本人が手続きをおこないますが、企業が代理人としておこなうことも可能です。
外国人材が退職する際の注意点
外国人材の退職手続きは少し細かい部分がありますが、トラブルを防ぐためにも確実におこなうことが重要です。以下の注意点をおさえて段取りをおこないましょう。
- 提出期限を厳守すること
- 雇用保険の加入者でない人材の場合は「外国人雇用状況の届出」を提出
- 退職後の状況を確認・把握しておく
- 転職する場合、3ヶ月以上のブランクがあるとビザが取り消される可能性がある
- 本人が行う手続きについても確実に周知する
- 外国人材も失業保険を受給可能
提出期限を厳守すること
企業はハローワークへ届出をおこなわなければいけませんが、期限を厳守しましょう。雇用保険被保険者資格喪失届は、「退職日の翌日から10日以内」に提出することが定められています。期限を過ぎてしまうと、罰金などの処罰を受けてしまうおそれもあるので、確実に対応しておくようにしてください。
雇用保険の加入者でない人材の場合は「外国人雇用状況の届出」を提出
雇用保険の加入者でない外国人材の場合は「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。雇用保険の加入者の場合は「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出ですが、提出書類が異なるので注意しましょう。届出方法は、直接ハローワークへの提出か、電子申請をおこなうことが可能です。
退職後の状況を確認・把握しておく
外国人材が退職する際、退職後の動きを確認・把握しておくようにしましょう。
転職して職種が変わる場合は、在留資格の変更手続きが必要となります。しかし、外国人材は変更が必要なことを理解しておらず、放置してしまう恐れがあります。在留資格の変更を怠って問題が生じた場合、以前勤めていた企業に対して出入国在留管理庁から問い合わせがくる可能性もあります。
トラブルが発生しないように、退職後も動きを確認するようにしましょう。
転職する場合、3ヶ月以上のブランクがあるとビザが取り消される可能性がある
すぐに転職する場合は問題ないですが、退職後3ヶ月以上働かないとビザが取り消される可能性があります。
外国人材が企業で働く場合、基本的に「技術・人文知識・国際業務」のビザで働くことがほとんどです。このビザは、就労が認められた受け入れ機関で働くことを許可する資格のようなものになります。そのため退職してしまうと、この許可の意味を失ってしまうため、できるだけ早く転職をおこなって雇用されることが必要となります。
外国人材のなかには、再就職活動をせず正当な理由なく3ヶ月以上過ごしてしまうケースもあります。しかし、3ヶ月以上働いていないことは「ビザを発行した意味がない」と認定されてしまうため、取り消しの対象となってしまいます。
本人が行う手続きについても確実に周知する
先ほども触れましたが、退職の際は外国人材本人がおこなうべきおこなうべき手続きも存在します。具体的には、会社を辞めた後14日以内に「契約機関に関する届出」を出入国在留管理庁へ提出しなければいけません。この届出を忘れると在留資格の更新ができない恐れがあります。
しかし、外国人材は日本の法律や退職手続きについて十分な理解がありません。本人がおこなう手続きについてはサポートをおこない、徹底させるようにしましょう。
外国人材も失業保険を受給可能
雇用保険に12ヶ月以上加入している場合、外国人材も失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取る資格があります。この基本手当を受け取る場合は、ハローワークで手続きする必要があります。
基本手当は企業で働いた期間に応じて90日分、120日分、180日分など長期にわたって受け取れます。しかし、基本手当をもらっている期間は「失業中」となっているので、「技術・人文知識・国際業務」のビザの満了日が来てしまうと更新はできません。
この場合はビザを「短期滞在」に変更して就職活動をおこなうことができますが、ビザの変更が許可されるかは出入国在留管理庁の判断となります。変更や更新が許可されないこともあるので注意しましょう。
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ポイントをおさえて不備のない退職手続きを
本記事では、外国人材が退職する際に必要な企業の手続き、外国人材自身が行う手続き、そして退職時の留意点について説明しました。
外国人材が退職する際は、日本人の場合より細かな手続きが必要になってきます。しかし、正しくおこなわなければ罰金などの処罰を受けてしまうおそれもあるので、確実に対応しておくようにしましょう。
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