特定技能「鉄道」とは?従事できる業務や要件について解説!
介護外国人労働者特定技能 2024.10.09
目次
特定技能制度で新たに複数の分野が追加されることになりました。そのなかの1つに「鉄道分野」があります。
さまざまな業種のなかでも、鉄道分野は慢性的な人手不足が大きな問題となっています。そのため、専門性や技能を備えている外国人材を受け入れられる制度を活用できることは、業界の人手不足を解決するきっかけとなるでしょう。
ただし、制度を利用するには、外国人材側の取得要件と企業側の取得要件を満たしていることが求められます。制度を活用して外国人材を雇用する企業は、受け入れる側として概要を十分に理解していなければなりません。
本記事では、新しく追加された特定技能「鉄道」の概要や取得要件、企業側の要件について詳しく解説します。
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新しく追加された特定技能「鉄道」とは?
特定技能「鉄道」は、2024年3月に導入された特定技能制度の新しい分野です。
鉄道分野は慢性的な人手不足が続いており、年々深刻になっています。鉄道事業者の職員数の推移をみると、平成初期は職員が27万人以上いましたが、令和では約19万人まで減っているほどです。
しかし、そんな鉄道分野にも特定技能制度が導入され、専門性を持った外国人材を雇用できるようになりました。まだ制度に追加されたばかりなので詳細が未確定な部分はありますが、今後人手不足問題の解決につながることが期待されます。
従事する業務
特定技能「鉄道」では、以下の業務に従事できます。
- 軌道整備
- 電気設備整備
- 車両整備
- 車両製造
- 運輸係員
いずれの業務も「指導者の指導・監督」の下で「適切かつ安全にできる」レベルであることが求められます。
また、これらに関連する業務をおこなうことは差し支えありません。たとえば、作業場所の清掃や業務上必要な事務作業などです。ただし、この関連する業務を主として労働させることは禁止されているので注意しましょう。
受け入れ見込人数
特定技能「鉄道」の分野における受け入れ見込人数は、令和6年度から5年間で最大3,800人を政府は想定しています。(5つの業種を合わせて)
慢性的に人手不足が問題になっている鉄道業界にとって、外国人材を雇用できることは、人手不足を解決していくきっかけとなるでしょう。
特定技能「鉄道」の取得要件
特定技能「鉄道」を取得するには、各業務区分によって異なる「鉄道分野特定技能1号評価試験」と「日本語試験」の両方に合格する必要があります。ただし、軌道整備、車両整備、車両製造については、技能実習2号からの移行も可能です。以下の技能実習2号を良好に終了した場合は、試験が免除となります。
業務区分 |
職種 |
作業 |
軌道整備 |
鉄道施設保守整備 |
軌道保守整備 |
車両整備 |
鉄道車両整備 |
走行装置検修・解ぎ装 |
空気装置検修・解ぎ装 |
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車両整備 |
機械加工 |
普通旋盤 |
フライス盤 |
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数値制御旋盤 |
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マシニングセンタ |
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金属プレス加工 |
金属プレス |
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鉄工 |
構造物鉄工 |
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仕上げ |
治工具仕上げ |
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金型仕上げ |
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機械組立仕上げ |
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電子機器組み立て |
電子機器組み立て |
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電気機器組み立て |
回転電機組立て |
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変圧器組立て |
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配電盤・制御盤組立て |
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開閉制御器具組立て |
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回転電機巻線製 |
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塗装 |
金属塗装 |
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噴霧塗装 |
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手溶接 |
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半自動溶接 |
※参照:特定技能制度への鉄道分野の追加に関する説明会|国土交通省
日本語試験は、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」のどちらかに合格する必要があります。日本語能力試験はN1からN5まであり、業務区分によって合格が必要となる試験が異なります。運輸係員のみ、日本語能力試験「N3」(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベル)以上、それ以外は「N4」(基本的な日本語を理解することができるレベル)が必要です。
運輸係員の業務は、駅構内でのお客様の対応や運転士・車掌とのコミュニケーション、電車に関するアナウンスなどをおこなう必要があり、日本語で柔軟に対応するケースが多いです。そのため、他の業務区分より日本語能力の基準が高く設定されているのでしょう。
受け入れ機関の要件
特定技能「鉄道」の人材を受け入れる機関は、以下の要件を満たす必要があります。
- 鉄道事業法(昭和 61 年法律第 92 号)による鉄道事業者、軌道法(大正 10 年 法律第 76 号)による軌道経営者その他鉄道事業又は軌道事業の用に供する施設若しくは車両の整備又は車両の製造に係る事業を営む者であること。
- 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
- 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記2、3及び4に規定する必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
特定技能「鉄道」の人材を雇用する際の注意点
特定技能「鉄道」において外国人材を雇い入れる際には、おさえておくべき注意点がいくつかあります。ここからは、鉄道分野における人材を雇用する際の注意点を解説します。
必ず「鉄道分野特定技能協議会」に加入する
特定技能「鉄道」の外国人材を雇用する場合、「鉄道分野特定技能協議会」に加盟し、構成員となることが必須です。協議会は国土交通省によって設立され、外国人材の適正な管理と権利保護を目的としています。加盟後は、外国人材受け入れの状況報告や課題の把握、適正な雇用のための情報共有などの活動への協力が必要です。
国土交通省がおこなう調査に協力する必要がある
協議会への協力とは別に、国土交通省や委託を受けた機関が実施する調査・指導に対して、必要な協力をおこなうことも定められています。外国人材の雇用に関する指導や報告の要求、現地調査など、必要な協力をおこなうようにしましょう。
業務に必要な知識や日本語について指導をおこなう
外国人材が円滑に業務に取り組めるように、業務に必要な知識や日本語について指導をおこないましょう。外国人材は、業務区分ごとの評価試験や日本語試験を受けていますが、それだけの知識では不十分なことが多いです。鉄道分野は専門的な知識や経験が必要な分野なので、知識・ルール、日本語の習得のサポートをおこなうようにしましょう。
特に運輸係員の業務は、駅構内でのお客様の対応や他の運転士・車掌とのコミュニケーションなどをおこなう必要があり、日本語を柔軟に使いこなさなければいけません。問題なく業務に取り組めるように、雇用した後も日本語習得を支援しましょう。
支援計画を作成して支援の体制を整える
受け入れ機関は、外国人材が安心して就労できるように、業務や日常生活でのサポートに関する支援計画を作成・実施する必要があります。これらは「義務的支援」として、企業が実施することが義務付けられています。
業務に必要な知識や技術について指導をおこなったり、住居の確保や各種手続きのサポートをおこなったりなど、労働面・生活面ともに十分な支援をおこないましょう。
自社でおこなうのが大変な場合は、必要な手続きや支援業務を代行しておこなってくれる「登録支援機関」に委託するのもおすすめです。
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特定技能「鉄道」の採用で人手不足の解消へ
本記事では、新しく追加された特定技能「鉄道」の概要や取得要件、企業側の要件について詳しく解説しました。高い専門性を備えている外国人材を鉄道分野に受け入れられることは、人材不足を補うきっかけとなっていくでしょう。質の高い外国人材採用をおこなうために、適切に受け入れられる体制、外国人材が力を発揮できる支援の体制を整えておくことが重要です。
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